#35 2012年11月26日放送
今週のテーマ:「大名の暮らし」
強大な権力と財力を手にしていた大名たち。彼らは一体どんな暮らしをしていたのか。そして幕府による厳しい統制の中、藩を守りぬくために大名たちがとった意外な秘策とは何か、今回は「大名の暮らし」に秘められた謎解き!
俗に「三百諸侯」ともよばれ領地の統治を任されていた大名。実際の数は、260から280ほどだったと言われています。一般的には、御三家など、将軍の親族である「親藩」、関ヶ原の戦い以前から徳川家の家臣だった「譜代」、それ以降に仕えた「外様」と分類されていますが、当時の序列は、それぞれの家の格式に基づいていました。「格式」は「家柄」「石高」「役職」「官位」が複雑に絡み合って構成されます。特に「官位」は、幕府の内諾によって朝廷から与えられたもので、大名の序列を決めるうえで重要な役割を担っていました。現代の我々から見ると難解ですが、こうした「格式」によって大名の地位を固定するという絶妙な統制策により江戸幕府の安定が成り立っていたともいえるのです。「格付け」「ランキング」が好きな国民性もこのあたりから来ているのかもしれません。
成巽閣は江戸時代も終わりに近い文久3年(1863)に、加賀藩十三代藩主前田斉泰が母・真龍院の隠居所として建てられました。主室となる謁見の間は上段・下段に分かれ、境には極彩色花鳥透し彫りの見事な欄間がかかっています。他にも柱が一本もない「つくしの縁」や数寄屋造りの客間、オランダ渡来のギヤマンなど建築マニアをもうならせる要素がふんだん盛り込まれています。門や塀以外で大名屋敷が残されている例は極めて少なく江戸時代の大名の暮らしを体感できる貴重な場所となっています。
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