#31 2012年10月29日放送
今週のテーマ:「田沼意次」
江戸時代の経済を語る上で欠かせない人物、それが田沼意次。田沼が表舞台で政治をした十数年間は田沼時代と呼ばれ、俗に賄賂政治家などとも非難されたと言われている。その真実とは如何なるものか、今回は「田沼意次」に秘められた謎解き!
田沼意次は賄賂好きの悪徳政治家、というイメージが付けられています。その大きな原因は、田沼が行った経済政策にあります。農民からの年貢徴収が当たり前だった時代に、田沼は商人から現金を徴収するという重商主義の考え方を導入しました。今でこそ納税は国民の義務ですが、それまで商人にはほとんど税金がかけられていませんでした。田沼は商人の反発を和らげるため、彼らに独占的営業権を与えました。それが「株仲間」です。株仲間とは、同一業者の組合のようなもので、新規参入を認めませんでした。商売敵が現れないため、儲けを保証したようなものです。その代わりに税金を納めさせました。商人たちは株仲間に公認してもらおうと、こぞって役人に働きかけます。これが賄賂という形で現れたのです。田沼本人が賄賂好きだったという確かな記録は残っていません。世の中の風潮が賄賂好きのレッテルを張ったのです。
100円均一で様々な商品が並ぶ100円ショップ。江戸時代にも似たようなお店がありました。「四文屋(しもんや)」です。4文(約80円)均一で、お菓子やおでん、煮魚など、ちょっとした食べ物を屋台で売っていました。四文屋が登場したのは田沼時代のこと。明和5年(1768)に発行した四文銭がきっかけでした。コイン1枚で物が買える利便性と、庶民にとって手頃な単位だったことが、四文屋という新商売を生み出したのです。
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