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2003年12月28日(日) テーマは
『健康ニュース・2003 』

今週のドクター 今週のドクターは、
順天堂大学 総合診療科
林田 康男先生



【略歴】

’68年

順天堂大学医学部卒。
同大学第一外科講師、助教授、教授を経て

現在 順天堂大学医学部付属 順天堂大学医院総合診療科主任教授。専門は消化器外科、消化器内視鏡、老年医学

【ドクターの一言】
診療時のモットーは患者さんの最も願っている事は何かをまず知る事。診断から治療まで納得してもらうまで説明します。これからの医療は元気で健康な老人を作る為の予防医学が最も重大な課題です。


【著書】

「胃・腸手術後の人の食卓」 保健同人社
「名医のわかりやすい膵臓の病気」 同文書院
「胃・十二指腸潰瘍の人の食事」 女子栄養大学出版部


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム
データ当番組、健康DNAでは今年も、イヤ〜な「水虫」から命に関わる「ガン」まで、様々な病気を取り上げてきました。今日は、今年の医療や健康に関するニュースを4つのキーワードで紐解いていきます。あなたの来年の健康に役立ててください。今年はじめ、猛威を振るった「正体不明のウイルス」。世界保健機関、WHOは、この疾患を、重症急性呼吸器症候群、データSARS」と名づけ、世界中に警告を発したのです。日本でも厚生労働省が急遽、感染者が報告された地域への旅行を控えるよう注意を促しました。SARSは「39度以上の高熱」「痰を伴わない咳」「呼吸困難」、ついには、死に至る「正体不明」の病気。2月21日、香港のあるホテルに宿泊していた医師Aデータ彼は、2月22日に病院に入院して、その翌日に死亡しました。そして、この医師と同じ香港のホテルのフロアにいた宿泊客が、次々と正体不明の病気に感染。さらにその宿泊客が母国へと帰ることによって、世界の各地域で正体不明の病気が広まりました。3月中旬までに、香港で150人死亡、ベトナムで56人、シンガポール、カナダと次々に死者が発生しました。緊急事態を受け、3月中旬からWHOは、SARSの原因究明に取り組みました。そして4月16日、SARS患者の分泌物から、データ風邪や肺炎を引き起こす「コロナウイルス」の一種を発見。こちらが、発見されたウイルス。これまで発見されたコロナウイルスとは違う新種のウイルスでした。WHOはこのウイルスを、「SARSウイルス」と命名。感染源はいまだに不明のまま。中国で食用とされているハクビシンが、ウイルスの感染源ではないかという説や、データ中国広東省に生息している鳥から、感染したのではないかとも言われてきました。このようにいくつかの説が取りざたされてきましたが、全て決めてとはならず、現在でも「飛沫感染」により感染するウイルスとしかわかっていないのです。その後、猛威を振るい続けたSARSは、北米・南米、さらにはヨーロッパ全土にも感染が広がりました。今年7月までの感染者は8098人、死者は実に774人にまで上りました。交データ通機関の発達した現代社会では、新しい感染症が起こると瞬時に世界中に広がってしまう危険性があるのです。現在も世界各国でSARSに有効な検査や治療法の研究が、行われています。そして9月には、SARSに感染しているかどうかを素早く判別する、画期的な検査キットが開発されました。これまでの、痰や血液などからウイルスを見つけ出す方法だと、検査結果が出るまでに、最低、半日はかかっていました。ところが、データ国立感染症研究所の研究チームらが開発した検査キットは、30分〜1時間という短時間で判別が可能となったのです。空港などで検査できれば、感染者をすぐに隔離でき、感染拡大を防ぐことができます。検査方法はまず、血液か喉の粘液を採取します。次に、採取した血液や粘液を試薬に混ぜて、およそ65度で30分程、保温します。保温することで、データSARSウイルスの遺伝子の一部を急速に増やすことができるのです。感染していれば、このように白く濁り判別できます。そしてついに、SARSウイルスの遺伝子を使ったワクチンが12月に開発されました。見事、SARSウイルスを無毒化し、撃退することに成功したのです。
EXAMINATION 検査

2003年、医療や健康に関する検査法や法律などに、大きく変わろうとした年でした。まずはじめの「変わる!」データは「乳ガン検診」です。1987年から老人保健法に基づいて義務付けられてきた「乳ガン検診」。この「乳ガン検診」の検査方法が変わります。現在、半数近い市町村では、乳房を触って「しこり」の有無を調べる、視触診のみの検診が行われてきました。しかしこの検査だけでは、乳ガンを見落としてしまう可能性が高いことが以前から指摘されていました。そこで今年の9月、厚生労働省はデータ乳ガン検診を見直す方針を固めたのです。これまでは50歳未満は視触診のみの検診が行われていました。これを廃止して「乳房エックス線撮影」、「マンモグラフィー」が全面導入されつつあります。白く映し出されているのが「乳ガン」の部分です。データ日本では乳ガンになる人の年齢は、40〜49歳がピークです。ところが、今までマンモグラフィーの対象者は50歳以上でした。そのため対象者を現在の50歳以上から、40歳以上へ年齢を引き下げるべきだということなのです。続いての「変わる!」は「健康増進法」です。日本人の「平均寿命」は、過去最高を更新し、女性が85.1歳、男性が78.3歳となデータりました。ところで、みなさん「健康寿命」ってご存知でしょうか?健康寿命とは健康で明るく元気に生活できる年齢のことで、男性が71.4歳女性が75.8歳です。日本は、この平均寿命・健康寿命ともに、世界一の長寿国。しかし、健康で過ごせる「健康寿命」と平均寿命の間には数年の開きがあります。つまり晩年、痴呆や寝たきりなどで過ごす人も多いということです。そこで国民一人一人の健康づくりを社会全体で支えるデータ健康日本21」を法律にしたのが「健康増進法」です。国民みんなが元気で長生きを目指すために生まれた、法制度なのです。この法律で特に世間の注目を浴びたのが、第25条の「受動喫煙の防止」です。受動喫煙とは、タバコを吸わない人が、自分の意志に関わらずタバコの煙を吸わされることです。私鉄の駅構内が全面禁煙になったのも、データ「健康増進法」の中の「受動喫煙の防止」によるものでした。あるデータでは、タバコを吸わなくても、受動喫煙をすると心筋梗塞の死亡率が、1.3倍肺がんでは、1.2倍に上がるという調査結果も出ています。最後の「変わる!」は「除細動器」使用方法の変更です。日本では、毎日100人近くの人が心臓疾患による突然死で亡くなっています。その多くは、心臓の心室が突然震えだし、血液を送り出すポンプ機能が失われる「心室細動」が原因です。この震えを電気ショックで刺激し、データ心臓の機能を正常化させるのが「除細動器」です。呼吸停止から2分後までに除細動を行えば、90%は息を吹き返します。しかし、5分後に除細動を行えば息を吹き返す確率は、25%まで下がってしまうという統計があります。この突然死を防ぐために変わったのが、「除細動器」の使用条件でした。今年の年3月までは、救急救命士が使用する時は、医師の許可が必要でした。それが4月からは、医師の許可がなくても、データ救急救命士が使用できるようになったのです。では、除細動器はどのような手順で動かすのでしょうか?まず、家族に除細動を行ってもよいかを確認します。心室細動の心電を確認してから電気ショックを与えていくのです。実は、来年の春から一般の人にも、条件付きで「除細動器」の使用を認める考えです。そのため、一般の人への使用認可に合わせ、公共施設などへの除細動器の設置も進められています。命を救い、健康を守るために医療技術や制度は常に変わり続けています

FRONTIER 最先端技術
紀元前5世紀、ヒポクラテスが現代医学の基礎を確立して以来、人は病原菌と闘い、体の仕組みを解き明かし、新たな治療法を探り医学を発展させてきました。「健康DNA」の中でも、最先端医療として、毎回新たなテクノロジーや手術法などを紹介してきました。そこで、今日の最先端医療は、データ今年特に印象の強かったものをお送りします。そのキーワードは・・・「痛くない」!まずは、カプセル内視鏡「NORIKA3」です。NORIKAは、薬のようなプラスチックカプセルで、内部に小型カメラが内臓されています。飲み込むだけで、痛みは伴わず、消化器官の中をクリアに見ることが出来るのです。しかも、体外から操作することも可能で、データカプセル内に薬やレーザーなどを内臓し、検査と同時に治療も行えます。さらに、NORIKAは従来の内視鏡では難しかった小腸内の検査も行えるというメリットがあるのです。現在は開発中ですが、これが実用化されれば、消化器官の検査がより簡単にできるようになりそうです。そしてもう一つ、痛みが全くない内視鏡があります。データそれが、「仮想内視鏡」、バーチャル・エンドスコピーです。バーチャル・エンドスコピーは、CT画像をコンピューターで処理し、画像を構築することであたかも内視鏡を体内に入れているかのような画像を作り出します。これは、大腸内の映像です。さらに、体内の臓器を立体映像として映し出すことも可能です。データこちらは、心臓の上に大動脈瘤ができている患者の映像です。このように病変も様々な角度で映し出せるため、その後の治療におおいに役立つのです。病気の検査や治療には、痛みや苦しさを伴うという常識がなくなる日は、そう遠くないのです。

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