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2003年11月16日(日) テーマは
『疲れと慢性疲労症候群』

今週のドクター 今週のドクターは、
テーオーシービル診療所
姫野 友美先生



【略歴】

東京医科歯科大学卒
テーオーシービル診療所、こころとからだの元気プラザ、女性のための生涯医療センターViVi心療内科勤務日本心身医学会認定医、日本東洋医学会専門医、温泉療法医

【ドクターの一言】
体のSOSは心のSOS。病気はストップサイン。自分のライフスタイルや行動様式を見直す絶好のチャンスである自分の心と体を大切にして、前向きに生きてほしい。


【著書】

「ピンチをチャンスにかえる心療内科」
悠飛社
「なぜか恋愛運のいい人の小さな習慣」
海竜社


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム

データ人生はまさに疲労との闘い。激しいスポーツの後の肉体的疲労や仕事で感じる疲労、そして、人間関係で感じる精神的な疲労、あなたはどんな時に疲れを感じますか?現代人は疲れている!厚生労働省の行った調査でも、「疲労感」を感じている人は全体の6割。その数4720万人。つまり働く大人はみーんな疲れている。まさに疲労大国日本!もし疲れても、寝れば治る、回復する、というなら問題はありません。しかし!強い疲労感が続き、日常生活にも支障をきたしてしまう。これはまさしく病気です。今、そんな病気が増えているんです。それが、「慢性疲労症候群」!今から約20年前、突如として現われた恐ろしい病気です。データ切り傷などけがで感じる「痛み」や風邪を引いた時に現われる発熱などは体の異常を知らせる危険信号。同じようなもう1つの危険信号が「疲労」なんです。つまり、「疲労、疲れ」とは体が発している警告。これ以上無理をしてはいけない、休息を取りなさいというメッセージを体から受け取ったということです。スポーツなどで肉体を酷使した時から説明していきましょう。激しいスポーツなどをするとき、筋肉を始めとして私達の細胞は栄養素であるグリコーゲンをとりこんで、エネルギー、ATPを作り出しています。このATPによって、体を動かすことができます。しかし、グリコーゲンを使ってエネルギーを作り出す時に実はいらないものが2つ作られてしまいます。データいわゆる残りカス。それが、炭酸ガスと乳酸です。一方の炭酸ガスは呼吸として体外に排出されますが、もう一方の乳酸が問題!過酷なスポーツなどで体を動かし、たくさんのエネルギーを使うとグリコーゲンが減って乳酸が大量に増えてしまいますが、その乳酸はいったん血液の中に送り出されるのです。乳酸が増えると同時にエネルギーを作り出すグリコーゲンも底をつくため、脳には「エネルギー切れ」という連絡が送られます。これがだるさの正体なのです。この乳酸が増えてしまった状態で更に運動を続けると、今度は脳の視床下部が、「ストレスを受けている」と判断して、ストレスに対抗するホルモン、コルチゾールを副腎で大量に生産します。このコルチゾールはデータ血圧を上昇させて、ストレスに対抗しようとするのです。ところが、さらに大量に分泌されると脳の神経伝達の活動が障害を受けてしまうのです。コルチゾールによる神経伝達の不具合。激しいスポーツをした次の日、体全体の大きな感じるだるさの正体がこれ。体を激しく動かしたあとに感じる肉体疲労のメカニズム。しかし、たいして体を動かしたわけでもないのに疲れを感じる事、ありますよね。仕事での人間関係やちょっとした悩み事でも精神的な疲労を感じます。データ実はこうした精神的な疲労のメカニズムは、はっきりと解明されてはいないのです。しかし、先ほどの肉体的な疲労も、この精神的な疲労も、脳のある部分が活発になって起こるものだということが最近、分かってきたのです。ある部分というのは、ここ。眼の下の眼窩分野と呼ばれるところです。脳の血流量を測定してみると、データ疲労を感じ始めるとこの部分の血流量が増大することがわかっています。これぞまさしく「疲労回路」。この「疲労回路」の研究が疲労のメカニズムを解く鍵になるのではと期待されています。先程のように肉体や精神が疲れたとしても、睡眠などで疲れが解消されれば何の問題もありません。しかし、疲れに見合った休息がとれないと疲労はどんどん蓄積して行きます。いわば疲労の貯金です。こうなるといつでも疲れている状態、いわゆる慢性疲労。単に疲労が慢性化した慢性疲労とよく似た名前の病気があります。それが「慢性疲労症候群」です。慢性疲労症候群というのは、強い疲労感が続いてデータ日常生活に支障をきたしてしまうれっきとした病気で、1984年にアメリカで報告されました。慢性疲労症候群は、慢性疲労と名前こそよく似ているものの、実は全く別の病気。慢性疲労症候群の主な症状は、まず、激しい疲労が半年以上続き、何も手につかなくなります。続いて、微熱が続くのどが痛む。そして、関節や筋肉が痛む。思考力が低下して、データ何も考える気にならない。うつ症状に陥るなどとなっています。いったい何が原因でこうした症状が現れるのか。現時点での有力な説は・・・慢性感染。ウィルスやマイコプラズマ、クラミジアなどの細菌に感染したり、また、小さい頃に感染して体の中にずっと持っていたものが、何らかの原因で再び活発に活動をはじめてしまう。しかし、その細菌やウィルスがあからさまな病気の症状までは起こさずに免疫機能、内分泌機能などにじわりと異常を起こす、というものです。こうした細菌やウィルスが活発になってくると私たちの体は、別の免疫物質を作りだしこれに対抗しようとします。データその代表的なものがインターフェロン。インターフェロンは体内で作られている免疫物質ですが、あまりにも強力なので生産されると同時に、強い疲労感を生み出したり、熱が出たりしてしまうのです。さらに、慢性感染は、内分泌異常もおこすと考えられています。慢性感染を起こした患者さんは血液中のアセチルカルニチンという成分が少なくなってしまう。実は、このアセチルカルチニンこそ、栄養素を細胞に運ぶ働きを担っているのです。データ細胞に栄養が十分に送られないと細胞は、エネルギー、ATPを作りだせなくなってしまいます慢性感染によってアセチルカルチニンが低下すると、体のエネルギー不足によって強い疲労感が出るというわけです慢性疲労症候群は慢性感染や、内分泌異常、免疫異常などが複雑に入り、混ざって形作られている病気なのです。

肉体疲労のメカニズム
エネルギー源のグリコーゲンを使い果たして
乳酸が溜まり 筋肉の疲労(部分的疲労)が起こる

乳酸が増えて抗ストレスホルモンコルチゾールを大量に分泌

コルチゾールが神経細胞の働きを障害

体全体の倦怠感(全身疲労)

EXAMINATION 検査
慢性疲労症候群の診断
問診 疲労の続く期間・筋肉や関節の痛みの有無
聴診 扁桃の腫れを調べる
触診 リンパ腺や甲状腺の腫れを調べる
血液検査・胸部レントゲン検査・心電図検査など

疲労度を測定する検査
自律神経検査 疲労による自律神経の乱れを調べる
ATMT法 周辺視野注意力から疲労を測定する
MEDICAL TREATMENT&MEDICINE 治療と薬
FRONTIER 最先端技術
データ疲労を数字に置き換えて計測する。その方法はとても難しいことです。いろいろな試みがなされる中で、現在、人間の声から疲れを事前に読み取ろうという研究が電子航法研究所で行われています。研究主任の塩見博士にお話を伺いました。そういえば、私達の声はいつも一定ではありませんね。それは脳の活動の状態が影響していたようです。これは、塩見博士の作りデータ上げた認識装置で捕らえた「あ」の音声。正常な状態はこのように表されます。右は疲労した状態。どちらも同じ人の声ですが、疲労によるノイズが多いとゆがんで表れます。このように、人間の声に潜むノイズから疲労を読み取ろうと言うのです。さっそく実験してみましょう。本の一部を朗読してもらいます。まずは通常の状態。上に行くほどノイズが入って声に揺らぎが現われているということ。データ最も高いところでも400前後に収まっています。続いて、片耳を塞いで読んでみます。ほんのわずかですが環境の変化を与えてストレスをかけてみたのです。これがわずかなストレスをかけた場合のノイズデータです。後半が高くなって450を超えていますね。これは脳にストレスが加わり、ノイズが増えた事をあらわしています。 比べてみると良く分かります。こうしたストレスがかかりつづけるとやがて大きな疲労へとつながってしまいます。この測定装置を使って60分間の朗読実験をしてみたデータがこちらです。朗読を続けてしばらくは、ストレスを受けて、脳が活発に働き上昇を続けています。データしかし、丸の部分で乱れが生じます。つまり疲労が始まってきたのです。しかし、声に疲労が現われ始めて本人が自覚するまで約20分間時間差があります。この装置を使えば、音声のノイズから本人が自覚する前に疲労を捕らえることが出来るのです。この装置があれば、あらゆる交通機関の運転手やパイロットの通信から事前に疲労を検知でき、事故などの防止に役立つのではと考えられています。ただ、疲れたというだけでは休みにくい職場。しかし、安全に関わる場面ではこの、疲労を客観的に判断できるシステムは大きな貢献が期待できます。
SELF MEDICATION 自己管理

データデータデータデータデータデータデータ

生き生きとした人生を送るために疲れを残さない事はとても大切。そこで、昔から疲労回復に効果があると言われているものをご紹介しましょう。それは、ズバリ「お酢」!実はこの酢の効用が今年科学的に実証されたのです。人間のエネルギーに利用されるのはグリコーゲンや脂肪に蓄えられている長鎖脂肪酸です。グリコーゲンは長鎖脂肪酸より先にエネルギー源として使われます。使われたグリコーゲンが乳酸へと変化し、これが蓄積して疲労の原因となるのです。もし、脂肪に蓄えられている長鎖脂肪酸を先に使うことができれば、肝臓や筋肉にあるグリコーゲンが使われず残るため、疲労はあらわれにくいということになります。そこで「酢」。実は酢に含まれている酢酸は肝臓や筋肉にあるグリコーゲンが使われてしまうのを防ぎ、長鎖脂肪酸から先にエネルギーに変えるようにしてくれるのです。名古屋大学の佐藤教授は酢酸の効用を実験で証明しました。一方のラットは1日2回、5日間、普通のエサを与え、もう一方のラットには食用の酢を加えたエサを与えました。そして、食事前と食後2時間のグリコーゲンの量を計測したところ・・・食用酢を与えたラットの方がグリコーゲンの量が多いことが証明されたのです。酢は疲れを防ぐ、ということが証明されたわけです。昔から、食生活の中に、酢を上手に取り入れてきた日本人。

毎日の食事に、意識して酢を使った料理を取り入れることが
疲れにくい体を作ることになるのです。

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