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2003年10月5日(日)
テーマは『秋の健康診断』

今週のドクター 今週のドクターは、
三井記念病院総合健診センター所長

山門 實先生



【略歴】

’72年

群馬大学医学部卒業後、三井記念病院内科入局
オハイオ医科大学内科留学後、
東京大学医学部第二内科で医学博士を取得

’94年より

三井記念病院総合健診センター所長、現在に至る

【ドクターの一言】
健康はあなた自身の、また家族のそして社会の財産です。一人の健康の経済効果は約一億円に相当するとされています。健康診断や人間ドックを利用し「健康を自分で守る」という考えを持って下さい。

【著書】

「治療薬マニュアル」 医学書院
「今日の治療指針」 医学書院
「循環器疾患―state of arts」 医歯薬出版
「病院で受ける検査がわかる事典」 成美堂出版


内視鏡検査

データ春に続いて、今日のテーマは健康診断です。今や食道や胃の検査だけでなく、手術にも使われる内視鏡。様々な病気の検査や治療に活躍する内視鏡。では実際の検査はどんな手順で行われるのでしょう?そこで三井記念病院総合健診センターで、内視鏡検査を受診しました。まず行うのが問診です。その他にも手術歴の有無がんの家族歴データ喫煙や飲酒の習慣などが聞かれます。こうした情報を参考にして、食道や胃をしっかりと調べるのです。初めて内視鏡検査を受ける人は、緊張して体が硬くなるため、苦痛も大きく感じてしています。そのため、緊張感を和らげるために、緊張緩和剤を注射するのですが、データ利用するかどうかは受診者次第。東さんは使うことにしました。内視鏡検査を受けるためには、食事から12時間経過させ、胃を空っぽにする必要があります。さらに水分も必要最低限しか取れません。すると粘液が濃くなり、泡だってくるのです。それを抑えるための薬を飲みますデータまずはのど麻酔をして、内視鏡が入りやすくします。続いて、胃の蠕動運動を抑える薬と、緊張を緩和する薬を注射します。準備も終わり、内視鏡検査スタートです。検査では、内視鏡を噛まないように、マウスピースで固定します。今、口から喉へと移動しています。内視鏡検査で最も辛いのが、喉の辺りです。慎重に喉の先、食道へと内視鏡を送り込みます。データこちらが食道です。モニターを見ながら、さらに奥深く内視鏡を入れていきます。そしてここからは胃です。胃壁のヒダの形まで、よくわかりますね。この赤い所は胃潰瘍のごく初期段階のびらんのようです。重度の胃潰瘍は、胃壁に穴を開けてしまいデータますが、この程度なら心配はありません。さらに内視鏡は奥に進み、胃の出口である噴門近く、この先は十二指腸になります。十二指腸に入りました。十二指腸に異常はなかったようです。次に内視鏡を胃に戻して、びらんデータ以外に異常がないか特殊な色素で染色して検査を続けます。念のため先ほどのびらんの細胞を採取して生検してみることになりました。カンシを挿し入れて、他の細胞を傷つけないように慎重につまみ取ります。これで検査はすべて終了です。内視鏡検査は、わずか10分程度の簡単な検査です。見た目ほどは苦しくありませんので、40歳以上の方は、ぜひ検査をおすすめします。

胃内視鏡検査
問診 手術歴の有無、がんの家族歴、飲酒喫煙の有無
内視鏡挿入の準備
 ・検査前12時間は食事をとらない
  (水分は最低限とって良い)
 ・胃粘膜を整える薬を服用
 ・胃のぜん動運動を抑える薬を投与
 ・緊張緩和剤を投与(患者による選択)
内視鏡を挿入する時は体の力を抜いてリラックスする
健康寿命ドック
現在、従来の人間ドックより専門的な分野を調べる新しい形の人間ドックが誕生しています。その一つがこちらの高輪メディカルクリニックで行われている健康寿命ドックです。動脈硬化老化をチェックする、健康寿命ドック。ではどんな検査を受けるのでしょうか?まず向ったのが血液検査。データ50項目は調べるために採取する血液は20ml、献血のわずか10分の1の量です。このように試験管を振っているのは、血液が凝固しないようにするためです。血液検査の次は不整脈を調べる、心電図検査を行います。深沢さん、異常はありませんでした。続いて、身体測定と体力検データを行います。身長は、171.3センチでした。次は、体脂肪、筋肉量測定です。この検査では、インボディという検査機を使います。この測定機器は、台の上に乗り、スチールの棒を握っているだけで、体脂肪と筋肉量がすぐにはじき出されるという最新機器です。測定した深沢さん、どんな結果がでるでしょうか?このインボディの優れたところは、左腕、右腕、左足、右足、など、データ各部の筋肉量もわかることです。そのデータから、どの筋肉が強くてどの部分が弱いのかも分かります。各部の筋肉量を表す棒グラフの長さが揃っているとバランスの良い筋肉の付き方ということ。深沢さん、筋肉のバランスはなかなか良いみたいですね。続いては重心動揺検査を行います。目を開いて直立した時と、目を閉じて直立した時で、どの程度の重心のブレがあるので見るというものです。こちらの方も、問題ないようですね。続いては握力測定です。さて、どのぐらいの握力があるかというと、51キロ。ほぼ年齢の平均の強さです。さらに背筋力も調べます。どのくらいの記録が出るのでしょうか?データなんと162.5キロ。背骨を支える大切な背筋力は、平均を大きく超えていました。深沢さん、体力面での問題は全くなし!!ご覧のように、年齢の平均を遥かに超えています。後は、バスト、ウエスト、ヒップの3サイズを測って身体測定は終了します。続いては動脈硬化検査を行います。まずは頚動脈エコー検査です。これは頚動脈に動脈硬化があるかどうかを見ていくもの。データこの黒く映っている部分が動脈です。動脈硬化があると、このように盛り上がって見えます。左は深沢さんの頚動脈。問題ないですね。同じように、心臓エコー検査もします。深沢さん、心臓エコー検査も正常とのこと。全く、問題ありませんでした。そして、続いてはこちらも重要な、動脈硬化度を調べる検査です。この検査は、データ左右の手足の血圧を計測する事で、あらわされるABIという数値が、0.9以下であれば動脈硬化がかなり進んでいる事になります。こちらも大丈夫のようです。この他にも骨量を測定。これで自分の骨年齢がどのくらいか、骨粗鬆症になりやすいかどうかがわかります。また先ほど採血した血液を使って、サラサラ度も診断します。ただし、このサラサラ検査、これだけでは何も判断できません。先程、採取した血液検査の結果の50項目と合わせて診断することで初めて生かされるのです。そして、この他にも肺機能検査や平衡感覚を調べる重心動揺検査などを行い、全検査は終了。さあ、高輪メディカルクリニック院長、久保明先生の診断結果は?結果は、このように点数となって表されます。深沢さん、85点。6年以内で心筋梗塞などを引き起こす可能性は、1%未満。とても良好な状態です。ただし、気のなる点も。それは、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪などが高めなこと。これらは全て動脈硬化を引き起こす原因となるもの。ちょっと注意が必要です。そして、もう一つ血液中のホモシステインの数値も高い。データホモシステインは肝臓で代謝されるアミノ酸の残りカス。このホモシステイン、研究によって心筋梗塞アルツハイマーの危険因子の一つであることがデータ分かっています。このホモシステインを低下させるためには、ほうれん草などに含まれる葉酸あさりなどに含まれるビタミンB1が効果的です。深沢さん、普段の食生活に取り入れてみて下さい。健康寿命ドックはわずか2時間で自分の血管の状態や老化の程度を知ることのできる新しい形の人間ドックです。
アレルギー検査
スギ花粉に代表される、花粉症を初めとして、室内のハウスダストなど様々な原因で起こるアレルギー症状。このアレルギーの治療のためにも、原因物質を特定する事は大事です。実は、アレルギーが起こりにくい、この時期こそ、アレルギー検査の絶好のチャンスなのです。このアレルギー検査は、一体どんなことをするのでしょうか?データ皮内テストとは数種類の抗原エキスを注射して、どの抗原でアレルギー反応が起こるかを調べる検査です。わずか15分で結果が出るため、とても簡便な検査です。まずは右腕に、生理用食塩水を注射します。これは注射による刺激で、腫れが起きているのか、それとも抗原エキスが原因かを見分けるためです。次に、ハウスダストの抗原エキスを注射します。やはり反対の左腕にも、生理用食塩水を注射。そしてこちらの腕には、スギ花粉の抗原を注射します。さあ、15分後どうなるのでしょうか?東さんのスギ花粉アレルギーは、プラス2データ最も重症であるプラス3の1つ下。かなり重いアレルギーと言えます。さらにアレルギーの程度を詳しく調べるために、ディスク誘発テストというものを行います。鼻の粘膜に抗原を染み込ませた、紙を貼り、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど鼻のアレルギーを症状が、5分間の間にどのぐらい出るか、確認する検査法です。方法としては、米粒大の抗原ディスクに、特定の抗原を染み込ませ、粘膜に貼り付け検査を行うのですが、特にくしゃみは重要。6回以上のくしゃみが起こった時は、最も重症のアレルギーです。では東さん、ディスク誘発テストの開始。まずは右の鼻にディスクを入れます。このように、データ小型CCDを使い、慎重に鼻の粘膜にディスクを貼り付けていきます。さあ、結果はいかがでしょうか?早速くしゃみが出た東さん。続いて左側にもディスクを入れます。東さん、早い反応です。こうして5分後の反応を見ますが、いかがでしょうか・・・。東さん、くしゃみもひどいですが、鼻水もかなり出ている様子。さらに鼻の粘膜が腫れて、鼻詰まりも起こしています。東さんはかなり重症のスギ花粉アレルギーであることが確定しました。鼻に入れたディスクを取り除き、アレルギーを抑える薬を塗って、検査は終了です。念のために血液検査も行ってみることにしました。ただし、血液検査は結果が出るまでに1週間ほどかかります。花粉やほこりが増える季節が来る前に、自分のアレルギーの原因を知っておくことはとても大切です。
PET検査
データ日本人の死亡原因の第1位なのが、がん。そのガンを治療する上で、重要なのが、早期発見することです。現在、ガン検査で主に行われているのが、CT検査、そしてMRI検査です。そんな中、わずかミリ単位のガンも発見できる検査として、今、世間の注目を集めているのが、PET検査、「ポジトロン断層撮影法」です。こちらがPETによって撮影された、画像です。この赤く、濃くデータ映っているのが、初期の乳がんです。ではこのPET検査とはどのような検査なのでしょうか?通常、細胞はブドウ糖をエネルギーにして活動しています。がん細胞も同様にブドウ糖により活動しています。しかもガン細胞は通常の細胞よりも、増殖が早い細胞。そのため、エネルギーであるブドウ糖を、5〜8倍多く消費します。この細胞レベルでの働きを捕らえようとするのが、PET検査です。検査を受ける人はまず、特殊なγ線を放出する薬剤を合成した擬似ブドウ糖液を、静脈に注射します。この擬似ブドウ糖が多く集まる、がん細胞から発せられるγ線を撮影し、ガンを見つけ出すのです。では、実際の検査はどのように行われるのでしょうか?データまずはγ線を放出するための、擬似ブドウ糖液静脈に注射します。これが細胞に行き渡るまで、およそ40分間かかります。PET検査で欠かせないのが、擬似ブドウ糖液ですが、この薬剤を合成するには、データサイクロトロンという特殊な設備が必要となります。こちらがそのサイクロトロン。1.5メートルの分厚い壁に囲まれた設備です。このサイクロトロンの中で、放射性物質を合成します。作られた放射性物質は、このチューブで別室に送られます。放射性物質が送られる先がこちら、データホットラボラトリー。放射性物質を安全に取り扱える設備が整っています。このホットラボラトリーでは、送られてきた放射性物質を、ブドウ糖の基となるゴルコースと合成します。こうして、ようやく、PET検査薬である、擬似ブドウ糖液が完成するのです。しかし、この擬似ブドウ糖液の効力はわずか数時間。そのため作り置きが出来ないのです。このサイクロトロンという特殊設備と、わずかな使用期限。これがPET検査普及の大きな障害となっています。擬似ブドウ糖を静脈注射してから、細胞に行き渡るまでの40分間は、安静にしていなければなりません。いよいよ検査です。擬似ブドウ糖液は体内に吸収されるとγ線を放出します。このγ線を、特殊なカメラで撮影します。γ線という放射線を用いる事で被爆が気になるところですが、実はPET検査は単純X線検査の約半分の被爆量。人体に影響はありません。PET検査機に横たわって安静にすること50分。全身を撮影して検査は終了します。これが撮影された画像です。赤く濃く映る部分ががん細胞です。このPET検査の最大の長所は、ミリ単位のがんが発見できる事だけではありまデータせん。このCT画像に映る白い影が腫瘍ですが、CTでは、良性の腫瘍か、悪性のがんなのかは分かりません。ところがこれをPETで撮影してみると、右側のがん細胞だけが、はっきり映っています。細胞を採出して調べなくても、画像だけで良性の腫瘍かガンか見分ける事が出きる、これがPETの長所です。ただし、データこのPET検査も、短所はあります。このように、どの画像にも、必ず映り込んでしまう臓器があります。それは、腎臓と膀胱です。検査に必要な擬似ブドウ糖液は、代謝されて尿として排出されます。そのため、尿を作る腎臓や尿が溜まる膀胱も、このように赤く濃く映ってしまいますという欠点があります。ミリ単位のがん細胞も発見できる、PET検査。CTやMRIと並行して使うことで、その優れた能力を発揮します。

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