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2003年9月21日(日) テーマは『頚椎の病気』

今週のドクター 今週のドクターは、
九段坂病院診療部長
兼整形外科部長
東京歯科医科大整形外科 臨床教授
中井 修先生



【略歴】

’75年

東京医科歯科大医学部卒

’81年

同大助手

’96年 アメリカ留学を経て、年間500例を超える脊椎手術をしている

【ドクターの一言】
頚痛、腰痛をはじめ、脊柱の病気は、よく分かっていないものですが、できるだけ原因を探り、それに即した治療を心掛けています。


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム

データ朝起きてみると・・・首がまったく動かない!無理して動かすと、アイタタタタッ・・・みなさんも一度は経験があるでしょう。寝違え!これは首の骨『頚椎』の病気なんです!大切な頭を支えている首には頚椎という骨が7個あります。首が長い人も短い人もみんな平等に7個。じゃあ、長〜い首のキリンさんもやっぱり7個データ人間と同じ数の頚椎であの首を支えているのです。さて、その7個の頚椎のどこかに障害が起きると頭、手足、さらに全身あらゆるところにまで様々な症状があらわれてしまいます。残念ながら、日本人は「首が弱い」民族であることもわかってきました。頭と体をつなぐ首には、人間の生命を支える重要な器官がたくさんつまっています。なかでも一番大切なのが神経の束である「脊髄」データ首の骨、頚椎の中を通っている最重要器官。つまり首の骨、頚椎は、この脊髄を守るという大きな役割も果たしているわけです。脊髄からは、全身にいきわたるいくつもの神経がむかでのように枝分かれしています。脳からの指令を体に知らせ、体で起こった情報をまた脳に知らせるという役割をはたしています。たとえば、熱いものに触れたとき、「熱い」という刺激が知覚神経を通り脳に送られて初めて「熱い!」と認識するのです。そのほかにも、心臓の拍動をデータ調節している「自律神経」。手や足を自由に動かす「運動神経」などなど脊髄からは31対もの神経が全身に伸びていって様々な役割を果たしているのです。頚椎には、脳の指令を全身に送る伝達網が集結しているといえます。ですから、頚椎に障害が起こると、脊髄にもダメージが加わり、頭、手足、そして全身に障害が現れるのです。実は私たち日本人は首が弱く、頚椎の病気を引き起こしやすいと言われます。それは、データ神経の束である脊髄が入っている「脊柱管」という組織が深く関係しています。そもそも日本人は欧米人に比べて骨が小さくできていますよね。首の骨も小さめ。そして、この脊柱管も小さいため、脊髄の入るスペースが狭いのです。通常15ミリほどある脊柱管ですが、日本人の中には11〜2ミリの人も多く、ちょっとした刺激を受けただけで頚椎の病気になってしまうことも少なくありません。頚椎の病気を原因別にみると、一番多いのは老化!長年使っている頚椎は「変形性脊椎症」という病気になることが多くなります。7個の頚椎のそれぞれに椎体と呼ばれる部分があります。データこの椎体と椎体がぶつからないように、クッションの役割を果たしているのが「椎間板」。「椎間板」が薄くなってしまうことで起こります。これは正常な頚椎のレントゲン。骨は規則正しく並び、椎間板の厚さも十分あります。老化のため、データ椎間板から水分が失われると椎間板は薄くなり、骨は変形 して骨棘(こつきょく)という棘のようなものができます。老化のせいで、頚椎はこんなにダメージを受けるんです。骨が変形してできた棘のような骨棘。この骨は、神経の束である脊髄や神経根を圧迫します。データ6番目だと親指と人差し指。7番目だと中指。8番目の神経根が圧迫されたときは薬指と小指に痺れが出ることがわかっています。脊髄そのものが圧迫を受けたときは手や腕以外にも障害が起こってきます。「どうも足がつってしまう」「足に力が入らなくて歩けない」など日常生活に支障のある症状も少なくありません。続いては「頚椎後縦靭帯骨化症」これは、靭帯の老化が原因で起こります。7つの頚椎を上下に結び付けている組織が靭帯データ老化によって、この靭帯がだんだんと硬くなり最後には骨に変わってしまうのです。初期には、首の痛みや、よく回らない、動かしにくいといった症状があらわれます。これは、骨化した靱帯がひとかたまりとなって首の動きを 著しく制限するため起こるものです。さらに骨化した靱帯は、脊椎、神経根を圧迫して手足や全身に障害を起こします。老化や、外部からの衝撃が原因で起こる頚椎の病気が「頚椎椎間板ヘルニア」です。私たちは頚椎のおかげで、首を自由に動かすことができます。このとき、データ一番負担がかかっているのは・・・第5と第6頚椎の間椎間板と第6と第7頚椎の間の椎間板です。そのためこの部分は一番椎間板ヘルニアを起こしやすいといわれています。もし、外部から首に大きな衝撃が加わり、椎間板が飛び出してしまいます。その飛び出した椎間板が脊髄や神経根を圧迫して、手足をはじめ、全身に障害を与えることになるのです。全身をつなぐ経の通り道、「頚椎」。頚椎の病気は、思わぬところにまで影響を及ぼしてしまうのです!

EXAMINATION 検査
MEDICAL TREATMENT&MEDICINE 治療と薬
頚椎の病気の治療
薬物療法
筋弛暖剤・・筋肉の緊張を和らげる
消炎鎮痛薬・・炎症を鎮め痛みを抑える

装具療法

カラーと呼ばれる装具をつけ頚椎を安静にする
頚椎牽引療法
頭部を引き上げ筋肉を伸ばし緊張を緩和する
温熱療法 筋肉の緊張を取り除き患部の血行を促進する

症状が改善されない場合には「手術」を行う
FRONTIER 最先端技術
データ命に関わる大切な器官がぎゅっとあつまっている首。しかし、その割には細くて頼りない・・・。と思いませんか?そう、残念ながら大事な首は実はとても弱いのです。頚椎損傷これは頚椎の病気の中でも、最も恐ろしいものです。障害を受けた部分によっては、全身麻痺を引き起こし、寝たきりになることも少なくないのです。損傷した脊髄は、二度と元には戻りません。しかし!今世界中で脊髄再生を課題として研究が進んでいます。そのひとつが鼻の嗅覚細胞を使った脊髄を修復するというもの。最初の再生手術は、2001年のオーストラリアで実施されました。脊髄を切断したラットに鼻の嗅覚細胞を移植したところ数週間後には神経繊維が両足を動かせるまでになったのです。手術は大成功。データ翌2002年。今度はポルトガルで、実際に人間の患者さんに臨床治験が開始されました。脊椎に損傷を受けた患者さんの鼻の粘膜を4分の1ほど取り出し、それを脊髄の損傷部分に移植します。患者さんは一時的に嗅覚を失いますが、数週間後にはまた元に戻ります。実は人間の嗅覚細胞は、ウィルスや細菌などに感染して破壊されることが多いため、一生の間に何度も再生し続けると考えられているのです。さて、鼻の粘膜細胞を移植された患者さんは7人データそのうち6人までが、知覚神経と若干の運動神経 まで回復させることができました。これはかなりの好成績!脊椎損傷や頚椎損傷で、絶望してしまう必要はない。最先端医療は、そんな時代を作り出しているのです。
SELF MEDICATION 自己管理
私たちがごく普通に立っているとき。後頭部から首筋にかけてデータ、頚椎は自然な曲線を描いています。では、寝ているときにもその自然な曲線を維持できることが大切!寝て起きたとき、首や肩にコリを感じていたとしたら、寝ているときの姿勢に問題があるのかも・・・頚椎の健康を保つためには、毎日使っている枕が重要となるのです。


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【枕の高さ】
そこで、頚椎に負担をかけない枕の条件まずは「高さ」高すぎる枕は、首に無理な力がかかるため首筋のコリや肩コリの原因になります。では、低い枕はどうでしょう。低すぎる頚椎が伸びてしまい、筋肉が緊張してこちらも、首筋のコリや肩コリの原因となるのです。こちらでは、頚椎に負担をかけない理想的な枕を見つけることができます。「形状・圧力センサー」という機械で枕と頭が接触している面の圧力分布を測定します。枕にかかる圧力はピンク色で表示されます。このように、首や後頭部にかかる圧力が均一になっていれば、頚椎に負担がかかっていないと言えます。後頭部だけに圧力がかかっていれば枕が首にちゃんと当たっていないことになります。枕の中には、自分で高さを調節するのもあります。枕の中に入っている詰め物を増やして首筋があたる高さを調節することで頚椎に負担がかからなくなります。そして、自分の首のカーブの深さを埋める枕の高さも測定することができます。肩のラインから後頭部までの高さ肩のラインから首の付け根までの高さを調べます。彼女の場合は頭の高さ1.6cm首の高さ5.6cmでした。自分の頭と首の高さに合った枕を使うことで頚椎の自然な曲線を維持することができます。
【枕の大きさ】
頚椎に負担をかけない枕の条件、続いては「大きさ」。人は一晩のうちに20回以上も寝返りをうちます。頚椎に負担をかけないためには、寝返りをうったとして、簡単には落ちない大きさの枕が必要。肩幅より10センチ以上広いのが望ましく、理想的な枕は肩幅の1.7倍です。形状圧力センサーで計測した結果を元に自分にあった理想の枕を見つけることが頚椎を守ることになるのです。しかし、理想の枕にめぐりあったとしても当て方にもポイントがあります。「枕は頭にあてるもの」・・・これ、常識ですよね、しかし!実は、「枕は肩にも、あてるもの」。肩口から頭までを支えてこそ、枕の真髄を発揮するのです。後頭部から首筋にかけての全体で頭を支えるので、首のこりや肩こりを軽くすることができます。
【自宅で測定】
自宅でも簡単に、頭と首の高さを測る方法です。壁に頭と背中とお尻をくっつけて、自然にたってみます。その状態で壁から頭と首までの距離をそれぞれ測るのです。
自分の頭と首の高さを知って、頚椎にやさしい枕を探す
少しでも負担を減らして、
頚椎の老化を遅らせる努力をしてみましょう!

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