Self Docter Net
BS-i TOP

健康DNA ロゴ
ONAIR
CONTENTS TOP番組紹介今週のDNA!!
今週のドクター
ドクターQ&A
ご意見募集
バックナンバー
著書紹介

バックナンバー
2003年7月6日(日) テーマは『十二指腸潰瘍』

今週のドクター
今週のドクターは、
慶應義塾大学医学部
一般・消化器外科
大谷 吉秀先生



【略歴】

’81年

慶應義塾大学医学部を卒業。
米国留学の後

’93年

慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科
専門は消化器外科
胃・十二指腸の病気の診療が中心
内視鏡や腹腔鏡の治療に数多くの経験を持つ
潰瘍の病態、がん転移の研究を行っている

【ドクターの一言】
外来では患者さんにわかりやすい言葉で説明するよう心掛けています。治療の方法を決めるときに、「すべてお任せします」といわれる患者さんがいますが、病院を選ぶのと同様に、治療法も選択できる時代です。いろいろ情報を集めて、担当医と相談しながら納得のいく治療をお受けになってください。


【著書】
「胃疾患(良性)消化器疾患と分子生物学的アプローチ」(北島政樹監修)
大谷吉秀、桜井嘉彦、亀山香織、北島政樹
メデイカルレビュー社
東京 1996 
pp.108〜1225
「腹腔鏡を用いた潰瘍治療の現況.消化性潰瘍 21世紀への道標」(寺野 彰編)
大谷吉秀、大上正裕、熊井浩一郎、
久保田哲朗、北島政樹
国際医書出版 
東京 1996 
pp.217〜226
「外科治療の現況と展望 プラクテイカル内科シリーズ 2 消化性潰瘍」(浅香正博編)
大谷吉秀、北島政樹
南江堂 
東京 1998 
pp.102〜108
「コラーゲン代謝と消化器がん転移 基礎研究の臨床応用 がんの浸潤・転移」
(北島政樹編)
大谷吉秀、横山剛義、木全 大、和田則仁、
金 容日、北島政樹
医学書院 
東京 1998 
pp. 197〜206
「胃手術後障害.ホームメデイカ家庭医学館 小学館・家庭医学館編集委員会編」 小学館 
東京 1999 
pp. 1474〜1477
「第3章開腹手術の周術期管理 胃切除 エクセルナ−ス「消化器編」」
北島政樹、木村チヅ子監修
メデイカルレビユー社
東京、1999 
pp.280〜282


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム

データ 何だか胃の調子が悪いなぁ。胸焼けやゲップが出る。こんな状態がある時、胃に何か異常があると思いがち。しかし、ほかの場所に異常がある場合も。それが十二指腸。十二指腸は胃の先にある臓器。そして胸焼けやゲップの原因になっている病気が十二指腸潰瘍なのです。現在、十二指腸潰瘍は日本社会で増え続け、近い将来、その発生頻度は胃潰瘍を上回ると言われるほどそもそも十二指腸とはどんな臓器なのかというと、十二指腸は小腸の一部。胃の出口から小腸の入り口まで胃と小腸の橋渡しをしている部分です。十二指腸という変わった名前の由来は、指を十二本並べたのとほぼ同じ、およそ20〜30センチの長さである所から。私たちが食べたものは胃に送られ、胃が分泌する胃酸によって消化されます。そのため、胃データと繋がっている十二指腸へ送られた時、食べ物はペーハー2という強い酸性になっています。この時、胃自体の壁は胃線から分泌される粘液によって強い酸から守られています。しかし、胃から先で消化を司る臓器は、強い酸に耐えられません。そこで十二指腸がアルカリ性の分泌液を出してこの酸を中和しているのです。また同時に十二指腸のファーター乳頭から膵液と胆汁も出しています。このファーター乳頭には膵臓と胆嚢が繋がっており、膵臓からは膵液が、胆嚢からは胆汁が十二指腸に流れ込む仕組みになっています。このうち、膵液には蛋白質を消化するトリプシン澱粉を消化するアミラーゼ、志望を消化するリパーゼなどが含まれています。一方、胆汁には脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸がが含まれています。こうして十二指腸は消化の手助けをしているのです。潰瘍とは体の組織が欠損してしまった状態。データその欠損が粘膜筋層に達しない傷を「びらん」と呼びそれより深い場合を「潰瘍」と呼んでいます。それが更に、腸壁を貫通する「穿孔性潰瘍」にまでなってしまうと命に関わる大事となります。十二指腸潰瘍の主な症状としては、胃の痛み、胸焼け、ゲップ、出血による腹部の膨張感、食欲不振などがあります。胃潰瘍の場合は胃の分泌する消化液で胃の粘膜が破壊される自己消化が潰瘍の原因。一方、十二指腸の場合は、胃酸で酸性になった食物を中和しているのですが、胃酸過多で胃酸を中和し切れなかったり十二指腸の中和能力が何かしらの理由で低下。データ粘膜が酸に晒されて傷付き潰瘍になってしまうのです。実際、十二指腸潰瘍の多くは十二指腸の入り口である十二指腸球部に発症します。なぜならここは胃から流れてくる胃酸に最もさらされやすいところだからです。胃酸過多や粘膜が弱ったり、十二指腸の機能の低下のその最も大きな要因はなんと心身のストレス!ストレスによって交感神経と副交感神経のバランスが崩れると胃酸が不必要なほど分泌されてしまいます。また、ストレスによる興奮によって胃や腸壁の血流が滞り、粘膜の分泌が不十分になり、胃酸が十二指腸に流れ込みやすくなります。更に、ストレスによる膵臓や胆嚢の機能低下も十二指腸の負担を増加させ、潰瘍の元となります。そのほかタバコも大きな要因の一つ。タバコは胃や腸管の筋肉を収縮させ、血流を悪化させます。そのため、粘膜の分泌が滞ったり、機能が低下して、データ十二指腸に潰瘍を作ってしまうもとになるのです。また、ヘリコバクターピロリ菌も一度発症した十二指腸潰瘍を長引かせる原因となっています。ピロリ菌が胃に感染する事はよく知られていますが、実は十二指腸にも感染するのです。ピロリ菌は十二指腸の粘膜に潜入すると毒素を出して粘膜を破壊します。この事が本来は自然に治癒させる十二指腸の働きを妨げ、潰瘍を悪化させているのです。このように十二指腸は様々な危険に晒された臓器なのです。

十二指腸潰瘍の症状と原因
症状
胃痛   胸焼け  ゲップ
食欲不振  貧血によるめまい・息切れ
出血による腹部の膨満感
原因
ストレスによる自律神経バランスの乱れ
喫煙による腸管の収縮と血液循環障害
ピロリ菌感染
EXAMINATION 検査
十二指腸潰瘍の検査
内科
問診・聴診・打診・触診
内視鏡検査
単純レントゲン検査

ピロリ菌検査

ウレアーゼ試薬の反応でピロリ菌の感染を調べる
尿素呼気反応検査
MEDICAL TREATMENT&MEDICINE 治療と薬
十二指腸潰瘍の治療
薬物療法

H2ブロッカー
プロトンポンプ阻害薬

胃の壁細胞に作用して胃酸分泌を抑制する
粘膜防御因子増強薬 粘膜からの粘液の分泌を促進する
三剤併用療法 三種類の薬を服用しピロリ菌を除菌する
外科療法
内視鏡による治療 内視鏡を使って出血している血管をクリップで止血する
腹腔鏡を用いた手術 腹腔鏡を用いて潰瘍穿孔部を閉鎖
FRONTIER 最先端技術
データ消化性潰瘍の治療に不可欠の内視鏡ですが、従来のものは麻酔をしても飲む時に患者は苦しさを伴う、という短所がありました。その点、画期的なのが、以前胃潰瘍の回でもご紹介した、イスラエルで開発されたカプセル内視鏡。いわば「飲みこめる小型カメラ」で、体内から毎秒二枚の写真を送信出来る優れものでした。 飲みこむだけで消化器官をクリアに撮影。患部の様子もリアルタイムでモニターに映し出せます。現在は更に研究開発が進データんでいるのですが日本において画期的なカプセル内視鏡が誕生しようとしています。 進化したカプセル内視鏡。その名はノリカ3。カメラを内蔵したカプセルを飲み込むのは、従来のものと同じですが、1つ目の優れた点としてカプセル自ら体外のモニターに向けて信号を発信することで体内でのカプセルの位置や傾きがわかるということ。更に電磁コイルを内蔵!磁力により外からコンデータトローラーを使って操縦ができる!これにより検査だけでなく患部の治療も行えます。さらに胃カメラや大腸スコープにはできない小腸の検査の行えます!現在はまだ開発中ですが、胃カメラは飲みづらいなんて、もう思い出話になりそうです。
SELF MEDICATION 自己管理
データここは関東近郊の自動車教習所。皆さんの中にも、免許を取るため、お世話になった方が多いのではないでしょうか。あっちへフラフラ、こっちへフラフラで時間オーバー。運転している生徒さんも大変ですが、教える方の教官の皆さんも大変なんですよ。服部さん「車の運転は命にかかわること。胃がいたくなり胃薬をたびたび飲みます。」胃が痛くなった時、飲む薬といえば胃腸薬ですよね。しかし、胃腸薬と一言で言っても、

データ




データデータデータデータデータデータ

胃酸を抑える「制酸薬」と、胃酸を出す「胃腸機能調整薬」、まったく違う二つのタイプの薬があります。服部さんはどちらのタイプの胃腸薬を飲んでいらっしゃるのでしょう。
服部さん「気にしたことないですね。」
これはいけません。例えば、食事をした後に胃が痛んだり、胃がもたれたりするのは胃酸があまりでていない場合が多いのです。ならば、胃酸を出す薬を飲むのが正解。一方、ストレスによる胃の痛みが起きている場合は、胃酸が出すぎている事が多いもの。この時は、胃酸を抑える薬を飲む必要がある訳です。
服部さん「痛くなった時に飲んでます。」
こちらは正解。胃酸が出過ぎの場合は胃痛の時にすぐ薬を飲みましょう。但し、説明書はよく読み、飲むタイミングはちゃんとチェックしましょう。食前や食後に服用とある時は食事と30分の間隔をあけるのが目安。食間や就寝前の時は食事から2時間の間隔が目安です。そして特にきをつけなければならないのが、アルコールの摂取は控えるということ!
服部さん「水で飲んでます」
これも正解。薬を飲むときは必ず水かぬるま湯で飲むのが正しい利用法です。そう、お茶ではタンニンが薬の成分と結びつき、吸収されにくくなってしまうんです。アルコールの摂取は中枢神経に影響を及ぼして、薬の効果を妨げてしまうんです。
服部さん「保存する時は適当に棚の上などにおいてますねえ」
これではダメです。薬の保管は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所でなくてはいけません。そして使用期限をすぎた薬は使わないようにしましょう。

胃腸薬は身近な薬。だからこそ、油断は禁物です。

copyright(C)