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2003年5月25日(日) テーマは『口内炎』

今週のドクター
今週のドクターは、
慶應義塾大学医学部 
歯科口腔外科学教室
永井 哲夫先生



【略歴】

’70年 東京歯科大学卒業
現在 現在慶應義塾大学医学部 歯科口腔外科学教室専任講師
日本心身医学会
日本歯科心身医学会(理事・評議員)他13学会
専門 口腔粘膜学 歯科心身医学 漢方

【ドクターの一言】
東洋医学に「心身一如」という言葉があります。心と身体は一体で病気を考える時には常に両面から配慮することが必要です。これからも身体だけでなく心のケアも大切にします。



【著書】
「口腔疾患カラ−アトラス」
永井哲夫、酒泉和夫、富田汪助 (共著)
クインテッセンス出版
「耳鼻咽喉科・頭頚部外科Mook増刊
耳鼻咽喉科薬物療法 再発性アフタ」
永井哲夫、海老原務 (共同執筆)
金原出版
「舌痛症へのアプローチ 第1版
舌痛症治療の実際」
永井哲夫、宮岡等 (共同執筆)
書林

「漢方医学の基礎知識 口腔疾患とエキス
漢方製剤」
(共同執筆)

星和書店
「看護のための最新医学講座 第23巻
歯科口腔系疾患 口腔粘膜疾患」
(共同執筆)
中山書店
「心因性疼痛の診断と治療原因不明の
口腔疼痛を訴える症例」
角田博之、永井哲夫 (共同執筆)
真興交易(株)
医書出版部


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム

データ 食事をするとイタタタ。口の中が痛んだり、強くシミたり。もしかすると口内炎かも。口の中を間違えて噛んでしまったり、食べ物で火傷をした。そんな後、口の中の痛みや違和感で口内炎に気づく、という事が多いようです。歯以外、口の中は全て柔らかい粘膜で出来ています。口内炎とは、唇や頬の内側、舌や歯茎など、粘膜に複数の場所に起こる炎症のことです。表面が白い膜で覆われ、周囲が赤く腫れるのが代表的な症状。口の中の粘膜は三つの層にわかれています。データ何らかの理由で粘膜の一部が傷つき、炎症を起こす。これが口内炎の始まりです。炎症が悪化する理由。例えばビタミン不足もその一つ。ビタミンB2が不足すると、傷ついた粘膜が修復されにくくなります。また、ビタミンCが不足すると、傷口に細菌が感染しやすくなり炎症が悪化します。ビタミンは十分な量を摂っていても、胃腸の調子が悪いとうまく吸収されません。炎症が悪化するもう一つの理由。それには唾液が関係しています。通常、我々の口の中では唾液によって細菌の活動が抑えられていますが、唾液の質や分泌量が低下すると細菌の活動が活発になり、炎症が悪化します。疲れが溜まったり、寝不足が続くだけでも唾液の質や量は低下します。炎症で深く傷ついた粘膜は、アフタと呼ばれる潰瘍になります。このタイプの口内炎は「アフタ性口内炎」と呼ばれています。「アフタ性口内炎」は数や大きさでさらに細かく分類されます。データ直径10ミリ以上の潰瘍が出来るのが「大アフタ型」。10ミリ以下を「小アフタ型」と呼びます。さらに1〜2ミリのアフタが多発する場合もあります。原因は不明ですが、再発を繰り返しやすいため、「再発性アフタ」とも呼ばれています。また、外部からのウィルスの感染で起きる口内炎もあります。その代表が「単純疱疹ウィルス」による口内炎。このウィルスに感染すると、まず発熱や食欲不振といった症状が現れます。同時に、唇の端に水疱が出来ます。この水疱は口の粘膜の至る所に幾つも現れます。また、この水疱は破れやすく、破れるとアフタに変化します。食事や歯磨きも出来ない程の痛みに襲われます。更に、口の中にいる細菌が原因の口内炎もあります。その代表は、データカビの一種であるカンジダ菌によるもの。本来、カンジダなど、口の中にもともといる細菌は唾液の働きなどで活動を抑えられています。しかし、何らかの理由で細菌のバランスが崩れるとカンジダ菌は粘膜の表面で繁殖、コロニーを作り始めます。やがて、カンジダ菌の影響で粘膜の組織が変化し壊れはじめ、こうして、口内炎が引き起こされます。「口腔カンジダ症」と呼ばれるこの口内炎は白い苔のように広がります。疼くような痛み、味覚異常といった症状があらわれます。しかし、実はもっと恐ろしい口内炎もあるのです。それは、長年の喫煙習慣が原因で起こるデータニコチン性口内炎」!但し「ニコチン性」と言っても、その原因は、タバコの熱によるものです。喫煙の習慣によって、長期間、タバコの熱にさらされていると、口の中の粘膜組織が次第に変化を起こします。変質した組織は「白斑」と呼ばれます。実は大変危険な状態。潰瘍を伴っている「白斑」は大変危険な状態。何とこの「白斑」は、やがて舌癌などに変化する可能性が高いのです。

口内炎の種類
アフタ性
口内炎
直径数ミリの原因不明の潰瘍と
周囲の発赤
再発を繰り返す
口腔カンジダ症 カビの一種カンジダ菌の増殖が原因
うずくような痛みや味覚異常を起こす
ニコチン性
口内炎
タバコの熱が原因
粘膜が白く変化
がん化する可能性が高い
EXAMINATION 検査
口内炎の検査
血液検査 炎症の程度を調べる他
免疫能・アレルギーの有無を調べる
ガム試験 唾液分泌量を測定して唾液腺の機能を調べる
口腔内電流
検査
口内炎の原因として金属アレルギーの可能性がありかどうかを調べる検査の一つ
組織検査 肉眼所見と合わせ診断する
心理テスト
(MMPIなど)
症状と心理面との関わりを判断する目安となる
MEDICAL TREATMENT&MEDICINE 治療と薬
口内炎の治療
ステロイド包有の局所治療剤
軟膏剤 口内炎ができている箇所に塗布
付着型錠剤 口内炎ができている箇所に貼付
軟膏剤より保護効果が高い
噴霧性粉末剤 口内炎が多発している場合に噴霧
FRONTIER 最先端技術
データ1990年代、アメリカでは「代替医療」という新しい考え方が注目されるようになってきました。これは欧米的な科学的医療に加え、食事療法・免疫療法・アロマテラピーなど、東洋的な医療を病気の予防や治療に活かそうという考え方です。欧米の医学は病気の患部に直接対処する治療が基本。一方、東洋医学は、体全体のバランスを取り戻す治療が基本。実は最近、日本でも「再発性アフタ」に、漢方薬を使う研究が進められています。漢方では体のバランスが崩れ、病気に罹った状態を「」と呼んでいます。データ病気を治すにはその証に適った薬を用いるのが大切。従来の漢方独特の問診「自覚症状調査」を加える事によって、より的確に「証」を把握することができるようになりました。21の項目に分類された質問事項が基本。それぞれの項目は漢方の定めている病気の状態、「証」と対応しています。この項目に自覚症状を書き込み、点数をつける事で、把握しにくかった「証」を確定して行きます。データ次にこの漢方薬の一覧表と、点数から導かれる縦横の組み合わせを見れば、自分の「証」、病気に適した漢方薬を確実に選択する事が出来るという訳です。この「自覚症状調査」による治療で現在まで73%近い患者さんに有効な結果が出ています。「再発性アフタ」の治療に関して漢方への期待は益々高まりそうです。
SELF MEDICATION 自己管理
管楽器のプロにとって何よりも大切なお口の健康。データトロンボーン演奏者、洗足学園音学大学助教授、岸名和己さん50歳。大学の講義や個人レッスンのかたわら、年に十数回のコンサートに出演されるプロの演奏家。口が大切なお仕事だけに、口内炎には気をつけていらっしゃるでしょうね。


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岸名さん「口内炎になる前に、ビタミン剤を飲むようにしています。」
この予防法は大正解。ビタミンには水溶性で余分な物は体の外に排出されるB群とC、脂溶性で余分な物は体の中に溜まって行くA、やD、などの二種類があります。このうち、水溶性のB2は粘膜組織を作るのに必要なビタミン。同じく水溶性のCは殺菌効果を高め、粘膜を保護するビタミンです。どちらも口内炎の予防には不可欠。なのに体の中に溜められません。口内炎の予防上も、不足分はビタミン剤で補充するのが正しいのです。
岸名さん「ついつい、たくさん飲めば効果的と思って、指定の量より飲んでしまうんですよ」
この回答はやや疑問あり。口内炎予防に、ビタミンB群やCを摂るのは良いのですが、やはり薬は適量が大切。特にビタミンCを摂りすぎた場合、「腎臓疾患」や「痛風」の持病がある人の症状を悪化させる危険性があるので要注意です。塗り薬はどのように使ってらっしゃるのでしょうか?
岸名さん「塗り薬は患部にすり込むようにつけます」
薬の塗り方は残念ながら間違いです。軟膏など、口内炎の塗り薬は患部を覆うように、ソッと塗らないと折角の効き目が弱まってしまいます。また、あまり沢山の量を塗っても、薬が落ちやすくなるなど、かえって無駄。口内炎をカバー出来るだけの分量が適切なのです。
液体状の塗り薬をうまく使うにもひと工夫あります。容器の先端を患部に軽く押し当てるようにしながら薬をぬっていきましょう。また、塗りにくい場所は一度ガーゼに塗り、それから患部に当てる使い方も有効です。一方、貼るタイプの薬にも注意点があります。間違えやすいのが薬の裏表。表側に薬は付いていますから、シートから取る時は、薬の裏をソッと剥がします。裏表を確かめて患部に当てたら3秒間押さえていて下さい 。これで十分固定され、そのまま食事をしても大丈夫です。

様々なタイプの薬。使い方に注意して活用してください。

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