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2003年4月13日(日) テーマは『腰痛』

今週のドクター
今週のドクターは、
高山整形外科病院
伊藤 博志先生



【略歴】

’83年 東京慈恵会医科大卒
同附属青戸病院整形外科医長、
国立長野病院整形外科医長などを経て
’99年

医療法人社団高山整形外科病院院長となる

【ドクターの一言】
腰痛にはさまざまな原因がありますが、整形外科単科専門病院にふさわしい専門性を生かし、神経ブロック療法などを駆使してまず第一に“とにかく今の痛みをとる”ことを心がけています。



CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム

データ突然、激痛が腰を襲った!長年、腰に鈍い痛みがある!あなたや、あなたの周りには、必ずいるはずです。そもそも腰痛は、人間が進化し、二足歩行になってから生まれたもの。上半身の体重を支える腰骨に、大きな負担が掛かるようになったからです。こうして人間は、長い間腰痛に、悩まされ続けているのです。60〜80%が、一生のうち一度は腰痛を経験すると言われています。平成13年、全国で2700万人の人が、痛みに悩み、病院に通ったというデータもあるほど。人間の身体の中心には、脊椎という骨が通っています。その脊椎の下5つの腰椎その周辺から発せられる痛みを腰痛と言います。データ腰椎には、骨と骨の間にクッションの役割をしている椎間板があります。この椎間板の異常が原因で起こる痛みがあります。それは前回DNAでも取り上げ、皆さんもよく知っている、椎間板ヘルニアです。椎間板に負荷が掛かり続けることで、椎間板の組織が飛び出し、神経を圧迫して起こる腰痛です。また、骨同士を繋ぐ椎間関節の異常で起こる腰痛もあります。これは、椎間関節の変形や老化が原因で、神経が通っている脊柱管が狭くなってしまい、神経を圧迫して痛くなる、脊柱管狭窄症があります。どちらも原因は、神経。神経が圧迫されて、痛みが起こります。また、足に痛みやシビレがあるのが特徴です。もうひとつ、突然激痛に襲われ、安静にしていても痛みが治まらない腰痛があります。これは、脊椎に出来た腫瘍により起こるものです。脊椎に腫瘍が出来ると、脊椎が破壊されていき、起きて歩くことも困難になります。また、データ脊椎に細菌が感染して起こる痛みもあります。椎間板ヘルニアなど、神経の圧迫が原因で起こる痛みや、腫瘍や炎症などで起こる痛み以外にも、腰痛で悩んでいる方もいます。慢性の腰痛で、なかなか痛みが取れない。炊事やデスクワークなど、日常生活の中で、すぐ腰が痛くなり、仕事に集中できない、この様な方が意外と多いのです。腰痛の約80%を占めているのが腰痛症です。その原因は、病気以外にあるといわれています。これこそが皆さんを苦しめている、腰痛症なのです。この腰痛症には、今のところ2つの要因があると言われています。一つは、現代社会ならでわの病、ストレスや悩みなど、心理的要因から起きていると言われているのです。なんと腰痛にストレスが関係していたのです!?しかしメカニズムはまだ解明されていません。もう一つは、同じ姿勢を長く続けたり、悪い姿勢をとったりすることで起こる腰痛です。ではなぜ、姿勢が悪いと、腰に痛みが起こるのでしょうか?そもそも人間の背骨は、S字を描いています。正常な腰椎は、「前弯」といって、横から見ると前方に突き出た状態で並んでいます。姿勢が悪いと前弯がなくなり、まっすぐになっています。逆に猫背では、前弯が曲がりすぎて良くないのです。正常な前弯が保てなくなると、データ椎間関節やその周りの靭帯に負担がかかり、腰を動かすと痛みを感じるのです。また、同じ姿勢を長く続けると、起こる痛みは、筋肉の緊張が関係していると言われています。人間は立っていても、座っていても、上半身の重みは、常に腰椎に掛かっています。背筋や腹筋を中心とした、腰の周りの筋肉が、腰椎への負担を和らげる役割を果たしています。この、筋肉の緊張も、腰痛の原因です。同じ姿勢や悪い姿勢を長時間続けると、データ筋肉が緊張し、筋肉内の血流が、悪くなっていきます。血流が悪くなると筋肉は、酸素不足の状態になります。この状態が続くと、乳酸、ブラディキニン、プロスタグランディンなどの痛みを起こす物質が蓄積されます。これらの物質が、神経を刺激するため、痛みが起こるのです。この痛みはさらに筋肉を緊張させ、痛みを起こす物質の発生を増やす、と言う悪循環が生まれるのです。同じ姿勢、悪い姿勢が、腰痛症をもたらします。まさに、生活習慣病ともいえます。

腰痛の種類
椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症
  神経の圧迫が原因
脊椎炎・脊椎、脊髄腫瘍
  感染・腫瘍が原因
腰や脚の筋肉の緊張や腰椎の前弯の変化(腰痛症)
  長時間の同じ姿勢や悪い姿勢が原因
ストレス(腰痛症)
  心理的社会的問題が原因
EXAMINATION 検査
腰痛の検査
問診 生活環境・習慣・自覚症状は?
いつ・どんな時・どの様に痛むか?
反応テスト おじぎ動作・下肢伸展挙上テスト・
ハンマーによる反射など
画像診断 エックス線検査・MRI など
MEDICAL TREATMENT&MEDICINE 治療と薬
腰痛の治療(保存療法)
牽引療法 腰を引っ張り椎間板に加わる圧力を
軽くし筋肉の緊張をほぐす
電気温熱療法 筋肉を温め血流を良くする
溜まっていた乳酸などが流れる
腰痛体操 筋肉の緊張をほぐすストレッチ
筋力強化
神経ブロック 神経に局所麻酔薬を注射して痛みを遮断
FRONTIER 最先端技術
データ現在の内視鏡技術の発展は目覚しく、狭い血管の中まで入り込み、治療をすることが出来ます。この内視鏡が、腰痛の治療にも使われるようになり始めています。すでにアメリカでは、太さわずか0.9ミリの内視鏡を使った、神経ブロック治療が成功を修めています。内視鏡を使った神経ブロック療法は、日本でも椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの、治療に試されています。それが、硬膜外腔内視鏡です。まず内視鏡を仙骨裂孔から硬膜外腔内に入れます。仙骨とは、腰椎の一番下、お尻の少し上の骨。硬膜外腔とは、脊椎の神経を包む硬膜の外側、数ミリの隙間のことです。内視鏡はゆっくりと、神経を圧迫している患部まで進んでいきます。硬膜外腔内には脂肪が多くあり、思うように内視鏡が進みません、それを生理食塩水で押しのけながら進んでいきます。安全を考えて、X線で透視しながら行います。この内視鏡治療が可能になったことで、新たに分かったことがありました実は、硬膜外腔内にデータ癒着が多い人ほど、腰痛がひどいことが判明したのです。これは、線維性の癒着組織が、神経を引っ張るため起こる痛みだと考えられています。この癒着を剥離することで、痛みが少なくなることも、分かってきました。そして、神経を圧迫している患部を探し、直接、局所麻酔剤を投与し、神経をブロックします。神経ブロック療法を、内視鏡で見ながら出来るようになったことで、より確実な治療へと期待が持てます。
SELF MEDICATION 自己管理
東京・赤坂にある洋食レストラン。大人の街に相応しい、落ち着いた雰囲気と洗練された味で、人気のレストランです。この店「フリッツ」のシェフを務めるのが、斉藤元志郎さん。その熟練した腕前にホレ込み、長年通いつめる人が多いそうです。特にオムライスは絶品。味だけでなくヘルシーな一品です。しかし1日中の立ち仕事は、重労働。悩みは持病の腰痛です。
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【湿布】
シェフ:「立ち仕事が続いて腰が痛くなると冷たい湿布を貼るんです
D:これは、正しい判断です。激しい運動、仕事による筋肉の炎症や打ち身、 捻挫の時は、患部を冷やす冷湿布で、炎症を取ることが大事なのです。これで、痛みが和らぎます。
一方、慢性の痛みがある時は、温湿布で血流を改善してあげることが、痛みを和らげるコツです。特にお風呂に入って楽になる痛みには、温湿布が効果的です。
【保存】
シェフ:「冷蔵庫に入れて保管してます
D:残念ながらこれはあまり、良いことではありません。確かに冷湿布を冷蔵庫に保存しておくと、貼った時気持ちがいいものですが、薬品の成分が変化してしまうことがあるのです。冷湿布、温湿布両方とも、なるべく日の当たらない場所で保存してください。
【貼り方】   
シェフ:「2〜3時間たってひんやり感が無くなったら代えるようにしてますね
D:これは良い使い方です。湿布薬を長時間貼り続けると、皮膚が赤くなって、痒くなることがあります。湿布薬を使う時間は、皮膚の弱い人は、1日2,3時間。皮膚が強い人でも、半日が目安となります。
更に貼り方もワンポイント!湿布薬は痛みのあるところだけでなく、痛みのある筋肉全体を覆うようにすると効果が高まります。なるべく覆うように伸ばしながら、貼ってください。 
【貼るタイミング】
シェフ:「お風呂からあがったときに貼ると気持ちいいですね
D:これも良い方法ですね。風呂上りは身体の毛穴が開いているので、薬の成分が早く浸透します。だから一番効果的なのです。ただし、中には風呂上りに使うのを避けるよう指示している、湿布薬もありますので、注意をしてくださいね。

湿布薬を上手に使って、健康管理に役立てて下さい。

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