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2003年3月23日(日) テーマは『更年期障害』

今週のドクター今週のドクターは、
東京医科歯科大学大学院
生殖機能脇関学 産婦人科学
麻生 武志先生


【略歴】

1940年生まれ、
京都大学医学部卒・大学院修了、医学博士。
スウェーデン、アメリカに留学。
福井医科大学産婦人科学助教授を経て
現職:東京医科歯科大学教授。日本更年期医学会理事長。

【ドクターの一言】
身体だけでなく心に問題はないか?症状だけでなく全身がどのように変化しているか?データだけでなく患者さんと真剣に向き合うことが診療の基本です。一人一人のナイスエージングのために!

【著書】
中高年女性の健康管理:
心と身体の変化をその背景:図説産婦人科VIEW-11
メジカルビュー社発行
ホルモン補充療法:
インフォームドコンセントのための
図解シリーズ
医薬ジャーナル社


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム
データ最近、「肩凝りが酷い」「手足の冷えが激しい」「なんだか落ち着かず、イライラする」「暑くないのに汗をかきやすい」「顔がほてる」もしかしたら更年期障害かもしれません。更年期。それは女性ホルモン「エストロゲン」が急激に少なくなり、体内の環境が大きく変る時期。その結果、心身にも激しい変動が起こり、データ様々な症状や病気を招きます。更年期障害は女性だけのものと思われがち。しかし、最近の説では男性にも起こると考えられています。 女性としてこの世に生まれたなら、いつか必ず訪れる。それが更年期の宿命。この時期、心身に現れる様々なトラブル。それが更年期障害。更年期に見られる症状や病気は女性ホルモン「エストロゲン」の減少が重要な引き金になって起こります。まず、脳の一部「視床下部」が「下垂体」に「エストロゲンを分泌しろ!」という命令を出します。すると、下垂体からエストロゲンの分泌を促す「卵巣刺激ホルモン」が分泌されます。データ「卵巣刺激ホルモン」の指令を受けた卵巣がエストロゲンを分泌。このエストロゲンが血液によって卵巣から全身へと運ばれるのです。エストロゲンが月経・妊娠・出産などの営みを調節しています。その働きの一つが血管を守ること。これはエストロゲンが、動脈硬化を悪化させる悪玉コレストロールを抑える作用と、動脈硬化を改善される善玉コレステロールを増やす作用の両方を持っているためです。そのため、心筋梗塞や脳梗塞など動脈硬化が原因となる病気にかかりにくいのです。 また、骨を破壊する細胞を調節したりカルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にします。その他、肌の張りを保つコラーゲンの合成を助け、弾力のある肌を保つのもエストロゲンの働きです。しかし、年齢と共に卵巣機能が低下し、閉経に近づくとエストロゲンの分泌量が減少。それでも、「視床下部」からは「エストロゲンを分泌しろ」という命令が出されます。しかし、「卵巣刺激ホルモン」が分泌されても卵巣では、エストロゲンを分泌することができません。データエストロゲンが分泌されないと‥「視床下部」では「エストロゲンをもっと出せ」という命令を出します。エストロゲンの分泌不足、卵巣刺激ホルモンの増加。といったホルモンパランスが崩れた状態になります。これまでのエストロゲンの効果が無くなることで様々な症状や病気が引き起こされるのです。例えば、悪玉コレステロールが増え、総コレストロール値が高くなって高脂血症を招きます。そのため、動脈硬化を引き起こす危険が高くなります。骨を丈夫にするエストロゲンが減ると骨がスカスカになり、骨粗鬆症を招くことも ‥、肌から水分が失われ、カサカサになったり、シワが増えるのもエストロゲンの減少が原因です!更年期障害の原因のもう一つは自律神経の失調です。エストロゲン分泌の司令塔「視床下部」。ここでは自律神経のコントロールも行っています。そのため、ホルモンのバランスが乱れると自律神経にも影響が及び、それまでテキパキとこなしてきた家事が億劫になる、といった精神的症状が現れることがあります。他にも、体温をコントロールする自律神経が乱れると上半身の血管が必要以上に広がデータって、その結果、顔が突然カーッと熱くなる。一方、手足の血管が縮まりすぎて、冷たくなる。という、正反対の症状が同時に現れます。また、心臓の拍動をコントロールする自律神経が乱れると運動もしていないのにドキドキしたり、息が苦しいといった症状が現れます。これら症状の強弱は、人によって大きく異なります。日常生活に大きな支障を来す人もいれば、ほとんど気づかずに見過ごしてしまう人も少なくありません。実は、心理的な問題も深く関係しています。更年期とは、子供の親離れ、夫の定年退職など、家庭や社会環境の大きな変化により、心の問題を抱えやすい時期でもあるのです。かつて更年期は女性特有の物とされていましたが、最近では男性にもあると考えられています。データ勿論、男性の場合も心身両面に症状が現れます。男性の更年期障害の背景には、男性ホルモン「テストステロン」の減少があります。しかし、女性のように急激な変化ではないため男性の更年期障害の原因はまだ十分に明らかにされていないのです。「精神・心理的な要因」がより強く関係していると考えられています。更年期障害。それは心身に症状が現れる厄介な病気なのです。
EXAMINATION 検査
更年期障害の検査
問診 更年期症状自己チェックリスト
症状の強さ・生活習慣や環境
月経の周期や閉経の時期などを聞く
身体機能検査 身長・体重・握力・前屈・棒反応・皮下脂肪
体脂肪・安静時エネルギー消費量
血液検査 エストロゲン・卵巣刺激ホルモン
骨量測定 骨量を測定する
婦人科診査 細胞診・超音波画像検査

更年期症状自己チェックリスト
症状
 1. 顔がほおてる 10
 2. 汗をかきやすい 10
 3. 腰や手足が冷えやすい 14
 4. 息切れ、動悸がする 12
 5. 寝付きが悪い、眠りが浅い 14
 6. 怒りやすく、イライラする 12
 7. くよくよしたり、憂うつになる
 8. 頭痛、めまい、吐き気がよくある
 9. 疲れやすい
10. 肩こり、腰痛、手足の痛みがる
0〜25点   異常なし
26〜50点   食事と運動を注意する
51点以上   更年期障害の可能性が高い
MEDICAL TREATMENT&MEDICINE 治療と薬
ホルモン補充治療
目的
更年期症状(ほてり、発汗異常、不眠、いらいら、膣の乾燥感、など)の改善
骨量減少の予防治療
方法 エストロゲンと黄体ホルモンの飲み薬または
貼り薬を用いる
治療中は定期的に効果と副作用をチェックする
FRONTIER 最先端技術
データホルモン補充療法は、女性ホルモン「エストロゲン」と「黄体ホルモン」の2つを補充。更年期に起こる「骨量の低下」や「ほてり」などの症状を予防し改善させる治療です。その反面「子宮内膜の異常」「乳ガン」などを併発させる危険な副作用を伴っているのも事実です。しかし最近、エストロゲンと同じ働きで、副作用のない薬がアメリカで開発されました。骨量だけを増やす夢のような薬「ラロキシフェン」です。骨が脆くなる「骨粗鬆症」も 閉経後のエストロゲンの減少が原因の1つです。しかし、「ラロキシフェン」は乳腺や子宮内膜の細胞には働きかけないが、骨の細胞には働きかけ、骨量を増やし骨を丈夫にします。では、この薬は体の中で、どのように作用するのでしょう? 元々、データエストロゲンにはαとβ、2つの受容体があります。子宮内膜ではエストロゲンはαの受容体から入り、細胞を活性化させます。骨では反対にβの受容体から入り、細胞を活性化させているのです。従来の治療法では、αとβの受容体からエストロゲンが入り、子宮内膜と骨、両方の細胞を活性化させていました。そのため、骨は丈夫にするものの、子宮で働いた場合は、ガン細胞の発生を促す危険も一方、「ラロキシフェン」はβの受容体だけを選択する性質を持っています。そのため、「ラロキシフェン」は子宮内膜には作用しません。結果的に、骨量の減少を食い止め「骨粗鬆症」とその後に起こる骨折を予防する薬としてその効果が期待されています。この「ラロキシフェン」、日本でも今年中の発売が予定されています。
SELF MEDICATION 自己管理
女性ホルモンは様々な形で女性の体を守っています。ところが、更年期を迎えると女性ホルモンが急激に減少し、高脂血症・骨粗鬆症などの病気に罹りやすくなるもの。そう、更年期になたら、それまで以上に自分の体は自分で守る意識が必要なのです。
データデータデータデータデータデータデータデータデータデータ

そこでキーワードとなるのが「安静時エネルギー消費量」。先程申し上げたように、1日に必要な最低限のエネルギー消費量の事です。更年期の女性の平均値は1日約1100キロカロリー。それを下回ると手足の冷え・肩凝り・腰痛といった症状が強く出ます。
「安静時エネルギー消費量」の増えるオススメ運動、それはダンベル!
【1】
入念な準備体操の後、まずダンベルを両肩に担ぎ、そのまま片腕ずつ交互に上げ下げしましょう。
【2】
体を少し前に倒して。両手のダンベルをゆっくり、10〜20回上げ下げします。
【3】
腰を落として屈伸運動。ゆっくりすることが大切です。
【4】
両手を伸ばして左右にダンベルを振りながらお腹の筋肉を捻ります。
【5】
両腕を真っすぐ伸ばし観音扉を開けるように左右に開きます。
【6】
体を前に傾けて両手を左右に開きます。
【7】

ダンベルをぶら下げたまま、両腕をゆっくり巻き上げ、巻降ろします。
【8】
片手を膝の上に置いて支え、もう片方の手でダンベルをゆっくり巻き上げ、肘を支点に上げ下げします。
【9】
同じ姿勢で片方の手に持ったダンベルを巻き上げ、巻下げします。
【10】
片手に持ったダンベルを前後にゆっくりと振り子のように振ります。

体調に合わせてダンベルの重さを変えながら、
無理せず持続して行う事が大切です。

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