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2003年3月16日(日) テーマは『骨折』

今週のドクター今週のドクターは、
順天堂大学医学部 整形外科
スポーツ医学
桜庭 景植先生


【略歴】

’78年 順天堂大学医学部卒業。
現在同大学スポーツ健康科学部スポーツ医学教授。
日本オリンピック委員会強化スタッフ(スポ―ツドクター)
’00年 シドニーオリンピック パーソナルドクター

【ドクターの一言】
骨折は一度起こすと日常生活に出る支障が非常に大きいのでなるべく注意しましょう。特に高齢者では骨が弱いと骨折しやすくなりますので予防を含めて骨を強くするため、骨を動かしましょう。

【著書】
「ヒューストンクリニック
スポーツ現場の医療マニュアル(訳)」
ライフサイアンスインターナショナル。 1999年
「今日の整形外科治療指針」
第4版 分担執筆
医学書院 2000年
「スポーツ外傷学W」
第1版 分担執筆
医歯薬出版 2001年
「今日の治療指針」
2001年度版 分担執筆
医学書院 2001年


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム
データバランスを崩して転んじゃった!こんなとき起こるのが・・骨折!!決して人ごとではありません!転ばなくても、激しい咳やくしゃみで骨折してしまうことも。さらに、女性は中高年になると、ホルモンの関係で骨粗しょう症にかかりやすくなります。骨の中味はすっかすか!気がつかないうちに、骨が押しつぶされたり負担の大きい部分が耐え切れず、骨折していることさえあるのです。運動をしているから、という油断は禁物!データ私たちの体は大小合わせて206個の骨が、絶妙に組み合わさっています。骨というのは外側の「皮質骨」と内側の「海綿骨」という部分からできています。皮質骨というのは、骨の表面全体を覆っている非常にぶあつい部分。普段、動く時のさまざまな重力に耐えるという役割を果たしています。一方の海綿骨は、小さな骨が縦横無尽に組み合わされたスポンジのような組織。いろいろな衝撃を吸収する役割があります。この2つの組織のおかげで骨は硬くて丈夫にできているわけです。「骨」というと私たちは、ひとつのまとまった棒のようなものを思い浮かべますよね。骨折とは、この骨の連続性が断たれた状態のこと。これが骨折の医学的な定義です。連続性が断たれるということは、ぽきんと折れることはもちろん、ヒビがはいったり、かけたりしても骨折なんです。骨折には、衝撃力筋力、そして骨の強さの3つが関係しています。たとえば、体重50キロの人が、時速2キロで歩いていて、データ転んで手をつくと・・手にかかる力はなんと100キロ!しかし、筋肉がクッションの役割を果たし、力を弱めてくれて、骨自体に衝撃に耐えうる強度があれば、簡単に骨折することはありません。問題は、個人差があること。筋肉の量が少なくて、クッションの役目を十分に果たしてくれなかったり、骨にかかる力が、骨にとっての限界を超えていたとき骨折してしまうのです。つまり、男性に比べると筋肉の量の少ない女性の方が骨折しやすいことがわかりますね。一口に骨折といっても折れ方にはいろいろな違いがあります。不注意からドアに指がはさまれた!そんな時、指の骨を折ってしまう・・・このように、衝撃がそのまま骨に直接伝わる力を「直達外力」といいます。骨がストレートに強い力を受けるので耐えられません。一方、つまずいて転んだときに、ひじをぶつけたのに鎖骨が折れることがあります。その場合、ぶつけたデータ衝撃がひじを通って鎖骨に伝わったということですが、これを「介達外力」といいます。骨の中でも折れやすい場所!それは、鎖骨!鎖骨はSの字型に曲がっているので外部からの衝撃と、自分自身の体重の左右両方がかかります。すると、骨のくびれた部分に力が集中するので折れやすいというわけです。もう一箇所、太ももの大腿骨頚部。骨がくびれていて、しかも、上半身の体重がかかっているために折れやすいのです。骨折は骨の折れ方のよって、いろんな種類があります。たとえば自転車にのっていて、ふいにバランスを崩してしまったとき。転んで骨を折ることがあります。この場合、皮膚の中で骨折していることが多く、単純骨折と呼ばれます。骨そのものがどんなに複雑な形に折れていようと、皮膚から骨が飛び出していなければ単純骨折です。反対に、事故などで、折れた骨が皮膚の外に出てしまう場合。これが複雑骨折です。複雑骨折は、骨折以外に細菌感染から骨が膿をもつ骨髄炎などになる危険があります。また、歩いていて、なにかのはずみで足をひねってしまったときに起こる骨折もあります。足首など関節には、骨と筋肉をつなぐ腱というものがありますが、足をひねった拍子に腱がひっぱられ、くっついていた骨がはがれてしまデータう。これが剥離骨折です。ゴルフのスイングなど、繰り返し同じ運動を続けていると、骨折してしまうこともあります。これが疲労骨折。同じ動きを繰り返すことで、同じ骨に負担をかけていると、少しずつ骨が細かくくだけて、欠けていくというものです。進行が分かりづらく、始めは自覚症状を感じないことが多い、発見が難しい骨折です。ほかに、中高年の女性に特有の骨折もあります。女性は、女性ホルモンが減少して骨の中のカルシウムの量が急激に減ることで皮質骨や海綿骨がすかすかになりますが・・・すると、自分の体重によって腰の骨、腰椎がつぶれてしまうんです。これが圧迫骨折!この圧迫骨折があると、急に背中が曲がったり、背が低くなったりします。一方、子供特有の骨折もあります。大人の骨はすでに成長して硬くなっていますからはずみでぽっきりと折れますが・・まだ成長の途中で柔らかいこどもの骨はぽきんとおれるのではなくデータぐにゃっと曲がるのです。幼少から15歳くらいまでの成長期の子供に多い骨折で、若い木のように骨が柔らかいことから、「若木骨折」と呼ばれます。子供は上手に痛みを伝えることができないので、痛そうにしているときは、注意が必要です。転倒などの事故だけでなく誰にでもありうる骨折は、いろんなケースで骨折は起こりえます。
骨折・・・骨の連続性が断たれた状態
骨折の種類
単純骨折・・・ 骨折部が外界に触れることなく折れる
複雑骨折・・・ 皮膚から骨折部が出た状態
(細菌感染の危険があり治療上問題が生じる
剥離骨折・・・ 筋肉の強い収縮によって骨が引き剥がされる
疲労骨折・・・ 小さな外力が繰り返し作用する結果
微小骨折を生じる
圧迫骨折・・・ 骨が圧迫によりつぶれたじような状態になる
若木骨折・・・
子供特有の骨折で曲がったように折れる
EXAMINATION 検査
骨折の検査
レントゲン検査 骨の状態を調べる(転位など)
MRI検査 圧迫骨折・病的骨折・疲労骨折など
レントゲンでは分かりにくい骨折を調べる
骨シンチグラフィー 疲労骨折・がんの転移など
分かりにくい骨折を早期診断する
MEDICAL TREATMENT&MEDICINE 治療と薬
骨折の治療
保存療法
ギブスで患部を固定して
骨の再生を待つ
手術療法 折れた骨同士を
医療金属(チタンなど)で
固定して骨の再生を待つ
FRONTIER 最先端技術
データ骨折すると普通はギプス固定や手術で治癒していきますが、治りにくい骨折もあるんです。たとえば、手の付け根にある舟状骨というところを折った場合、1年たっても骨がつかないことがあるんです。すると、骨折したところが関節のように動く「偽関節」という状態が起きてしまい、周りの組織が折れた骨で傷ついてしまう。これを解消するために超音波を使った新しい治療法が登場しました。患部に低出力の超音波を当てると、超音波は筋肉や脂肪を通り抜けて骨だけに刺激を与えます。その刺激により、骨を作る骨芽細胞の働きが活発になって、骨の再生が促されるのです。日本では、偽関節など、治りにくい骨折に対しての治療に使われているだけですが、実はあのベッカムがワールドカップ直前に足の甲を骨折したとき、イギリスでこの治療を受けたといいます。注目される治療法です。もうひとつ注目の治療法があります。骨が大きく欠損してしまった骨折の場合、通常は骨盤からとった骨の組織を移植するという自家骨移植という方法がとられますが・・・この方法は採取できる量にも限界があり、データ大きな欠損の場合には修復をあきらめるしかありませんでした。そこで注目されているのが、「骨形成たんぱく質」。スポンジ状にしたコラーゲンにこのたんぱく質をしみこませて欠損部に移植すると、たんぱく質がカルシウムの吸着を促し、骨の形成が促進されるというのです。いままであきらめていた骨折の再生、修復。医療の最先端では、新しい日々行われています。
SELF MEDICATION 自己管理
骨折の予防。その第一歩は、なんと言っても転ばないようにする事。普通の生活をしているかぎり、骨折してしまうという状況は、そうあるものではないのです。



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そのためには、体を支える太もものまわりの筋力を鍛えることが大切です。
そこで簡単な方法を先生に教えていただきました。
【筋力の鍛え方1】
一方の足を軽く曲げ、もう一方の足に1キロほどのおもりを乗せて15度ほど上にもちあげる。ゆっくり5〜10数えたら反対側。両足でワンセット。これを一日20回続けると、太ももの前の部分、大腿四頭筋が強化されます。
【筋力の鍛え方2】
次は横向きに寝て、上に足を持ち上げます。やはり1キロほどのおもりをかけておくと効果が高くなります。5〜10数えたら反対側。これも左右20回ずつ行いましょう。太ももの横の筋肉、大腿筋膜張筋が強くなります。
【筋力の鍛え方3】
仰向けに寝て膝をたてます。膝の間にボールをはさんで力を入れて膝を閉じる。これもゆっくり5〜10秒間。1日20回がおすすめです。太ももの内側、内転筋を鍛えることができます。
【筋力の鍛え方4】
最後はうつぶせになって、片方ずつ、膝から下をもちあげます。ゆっくり5〜10数えたら戻す。これも左右交互に1日20回。太ももの後ろ側の筋肉、大腿二頭筋など全体が鍛えられます。
運動をした後は、筋肉をほぐすストレッチをお忘れなく。
【ストレッチ1】
足を体の外側に曲げて体を倒します。これで10〜30秒。 左右どちらも、無理をせず、できるところまで行いましょう。
【ストレッチ2】
膝を上から押すことで、膝の裏側を伸ばす。これも左右両方行ってください。
【応急処置】
さて、それでももし、あなたが骨折してしまったら・・応急処置が肝心です。 先生に伺いました!つまり腕を骨折したら、その上下の関節を固定するということ。硬いものを添えてハンカチなどで3箇所を固定します。足首の場合、このように新聞紙を丸めて折ったものを足首を外側から包むように固定します。

パニックにならずにとりあえず応急処置
そして、もちろん速やかに専門家の治療を受けてください!

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