顎関節症は治療して完治したとしても、しばらくたって、再発したり、症状が以前より重くなっていることがあります。そこで、何が原因で再発するのか、木野先生は、1年間に渡り、患者の生活習慣から性格まで徹底的に調査したのです。「生活障害・疼痛調査票」という質問用紙を家で記入してもらいました。
調査票の内容がこちら。 |
顎を使って日常生活で困ったことは?
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13項目 |
ハンバーガー、寿司などの大きな食べ物を口にいれられるか? |
フランスパン、スルメなどのかたい食品を噛み切れるか?
…など |
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食品摂取支障度も調べています。ありとあらゆる食品について、細かく丁寧に調べているのですね。 |
食べ物の口にいれた時の顎の状態?
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3つの回答 |
大きく口を開けられないために口に入れられなかった。 |
かみきろうとして痛みを感じた、。 |
痛みはないが、すりつぶすことが困難と感じた。 |
174品目
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あわび
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とうもろこし |
ほうれんそう |
ゆで卵 |
魚介類 |
肉 |
野菜 |
果物…など |
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痛みの感じ方を徹底的に調査したのです。 |
痛みの感じ方は?
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24種類 |
ビーンと痛みを感じましたか? |
じわっとにじむような痛みですか? |
ずきずきするような痛みですか? |
にぶい痛みですか? |
はれたような痛みですか? |
うずくような痛みですか?
…など |
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1週間で感じた不安感も調べています。 |
1週間どのように感じた?
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14項目 |
毎日楽しく過ごしていますか? |
悩みごとがよく心に浮かびますか? |
緊張感を感じることが多いですか?
…など |
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自分が神経質な性格なのかどうかも調べています。12個の質問で性格診断をするのです。 |
神経質な性格ですか?
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12項目 |
自分は活発な方であると思いますか? |
気分の波が激しい方ですか? |
きまぐれな方ですか?
…など |
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この他、「生活習慣」から「スポーツ」「職場」「食いしばり・歯ぎしり」の有無まで、ありとあらゆる質問が用意されています。例えば、「あまり寝返りはうたない方である」など…、歯をくいしばりやすい生活かどうかを、尋ねます。さらに、「仕事は忙しいですか?」といった、ストレスを感じやすい環境かどうかを調べるのです。そして「歯ぎしりを指摘されたことはありますか?」など、寝ている時の食いしばりや歯ぎしりに関する質問も当然あります。この検査結果の集計から、神経質な性格が顎関節症の再発や悪化を招くことが分かりました。神経質な性格の人は、不安感が強く、痛みを感じやすい。さらに放っておくと「口を大きく開けられない」「眠れない」などの睡眠障害などが起こるのです。そのため、こういう患者には、精神安定剤などで不安感をとりのぞく治療を行う必要があると判断されます。今まで「この病気には、この薬が効く」というように、病気の種類によって決められた治療法が行われてきました。しかし本来は、患者一人一人に適した治療法こそ必要。これを「テーラーメイド治療」といい、現在、注目を浴びている治療法の考えた方なのです。
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