慢性腎炎の
約5割を占める
IgA腎症。この病を発症しやすくする
厄介な遺伝子が、昨年1月、東京大学医科学研究所の中村教授によって特定されました。IgA腎症は、体内に侵入した細菌やウイルスによる感染などから体を守る、
免疫グロブリンの一つであるIgAというたんぱくが腎臓の糸球体に付着。そのために炎症が起きる病気で根本的な
治療法はいまだに
見つかっていません。これまでの研究で白血球の働きに関係する「
セレクチン」という2種類の遺伝子が発症に関係するとされていました。
中村教授の研究チームはIgA腎症の患者と健康な人の遺伝子を比較。ある違いを発見したのです。IgA腎症の患者は「セレクチン」という遺伝子の特定部位に変異がある事がわかりました。また、この
遺伝子を持つ人は変異がない人に比べ
3倍も発症しやすいことがわかりました。これを糸口として、患者個々にあった治療法や薬の開発につながるのではと期待が高まっています。