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2003年1月26日(日) テーマは『花粉症』

今週のドクター今週のドクターは、
医療法人財団神尾記念病院顧問
斎藤 洋三先生


【略歴】

’58年

東京医科歯科大学医学部卒業
同大学医学部助手、講師、助教授を経て

現在 医療法人財団神尾記念病院顧問
耳鼻咽喉科学専門
’98年まで 東京都花粉症対策検討委員会会長を務める

【ドクターの一言】
花粉症は毎年繰り返し起こるものですから、医師などによるメディカルケア、患者自身のセルフケア、両人が共に動くことが大切です。両人共に動いて初めてケアは成功するものです。


【著書】
「新編 花粉症の最新治療」 主婦と生活社
「新健康 教育シリーズ 
写真を見ながら学べるビジュアル版 花粉症」
少年写真新聞
「花粉症の科学」 科学同人


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム
データ止まらないくしゃみ、とめどなく流れる鼻水、辛い、鼻詰まり、そして目のかゆみ・・・。そう、「花粉症」の季節到来です! 現在、花粉症患者は、日本人の10人に1〜2人。推定1200万人以上はいるといわれている「国民病」。しかも最近は、子供にも花粉症が増えているのです。特に、猛暑の翌年の春先は、要注意。飛散するスギ花粉の量が多くなるため、今年は4年連続の当たり年になるとか。皆さん、気をつけましょう!データこれが日本人の花粉症の最大の原因である、スギ花粉です。この花粉が、目や鼻に入り、粘膜にくっつくと、「くしゃみ」、「鼻水」、「鼻詰まり」、「目のかゆみ」といった症状を引き起こします。いわゆる、これが花粉症の4大症状。花粉症は、風邪と良く似た症状が出ますが、それぞれ特徴があります。くしゃみは、7、8、10数回というように続けざまに出ます。鼻水は、水のように透明でサラサラしていています。鼻詰まりは、風邪の時よりももっとひどくなります。そして、風邪と見分ける最も大きな特徴は「目のかゆみ」。実は、花粉症を発症するのは、アレルギー体質の人だけ。このアレルギー体質の人を、仮にアレルギーという名の、コップを持っていると考えて下さい。一方、アレルギー体質でない人は、コップを持っていません。誰でも細菌やウイルスなど、体の中で繁殖する異物に対して、抗体を作ります。再び、同じ異物が体内に入ってきても、この抗体が異物を攻撃して、病気が発症するのを防ぎます。これが、いわゆる免疫機能です。ところがデータ、アレルギー体質の人は、花粉のように体の中で繁殖もしない異物に対しても抗体を作ります。(これがIgE抗体です。)このIgE抗体が花粉症にかかるか、かからないかの大きなカギ。lgE抗体は、鼻や目の粘膜に集まり、肥満細胞と結び付きます。そしてこのIgE抗体は、再び花粉が入ってくると、コップの中に徐々に溜まっていきます。そしてこのIgE抗体があふれたとき、肥満細胞から、ヒスタミンなどの化学物質を放出。これが知覚神経や血管を刺激して、花粉症が発症します。この水があふれる時期は、生活環境と大きく関係しています。最近の花粉飛散量の増加、排気ガスなどの大気汚染、そして、雨とともに、土に沈むはずの花粉がアスファルトに残り再び舞う・・・。こういった環境が、lgE抗体を作りやすくし、水があふれるのを、早めてしまうのです。 データさらに、油っぽい物が好きな人は、要注意。高タンパクな食事をとり続けていると、lgE抗体を作りやすくします。この花粉症、20〜40代の働き盛りに多いのが特徴。lgE抗体が蓄積され、花粉症の症状が出るには、ある程度の年月が、かかるからです。ところが、今まで小さな子供に少なかった花粉症がなんと、ここ数年急激に増加しているのです。その理由は、アレルギーというコップを持つ子供が増えてきたこと。さらに、コップがもともと小さいために、すぐに許容量がいっぱいになって、水があふれだしてしまうからです。ある日、突然発症するつら〜い花粉症。原因となる花粉を避けることはもちろんのこと、生活環境にも気をつけたいものです。
くしゃみ
10数回連続して起こる
鼻水
透明でサラサラしている
鼻づまり
風邪よりひどい
目のかゆみ
風邪では起こらない
EXAMINATION 検査
花粉症かどうかを調べる
鼻鏡検査
鼻汁中好酸球検査
エックス線検査

原因の花粉をつきとめる 皮内テスト
血清抗体検査
MEDICAL TREATMENT&MEDICINE 治療と薬
FRONTIER 最先端技術
データ現在、花粉症の治療は薬が主流。しかし、薬を飲み続ける期間は長いし、副作用も心配。そこで、花粉症を根本的に治療し副作用もないといった、画期的な免疫療法が開発されています。それが、「ペプチド減感作療法」。スギ花粉が侵入すると、花粉を敵だと感知するTリンパ球が、スギ花粉のペプチドと呼ばれるタンパクと反応します。このスギのペプチドのみを減感作療法のように、体内に入れて、身体を抗原に慣らすという治療法です。データこの方法の最大の利点は、副作用がきわめて少ないという点です。治療期間の短縮や高い治療効果も期待でき、現在動物実験中です。そして、もう一つ注目されている治療法が、DNAワクチン。DNAワクチンは、減感作療法に代わる治療法。スギ花粉からアレルギーの元となる抗原遺伝子を取り出して、運び屋を使って患者の細胞に、データ投入するというもの。花粉アレルゲンの遺伝子を、体の中に入れて、花粉に慣れさせようというものです。動物案験では、一年前花粉症で皮膚アレルギーを起こした犬が、DNAワクチンを投与した一年後に症状が軽くなったことがわかりました。花粉症の新しい免疫療法が開発され、根本的に治療する日も近いかもしれません。
SELF MEDICATION 自己管理
今年は、花粉が大飛散します。そのため、花粉症対策も、しっかり行わなくてはなりません。花粉症予防の基本は、まず「花粉を避ける」こと。そして「花粉を持ちこまない」こと。花粉を避けるためには、やはり目と鼻をガードすることが大切です。


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そこで先生のお勧めは、マスクメガネ帽子の3点セット。
【マスク】
マスクをするだけで、69.2%の人が、症状の緩和につながったというデータもあります。さらにこの時マスクの内側に、湿らせたガーゼをはさんでおくと、花粉症予防効果はグンと高まります。外出の際に、マスクを必ず着用するようにしましょう。
【メガネ】
またメガネは、目に花粉が付着するのを、実に3分の1も防いでくれます。目の横まで覆うメガネが、望ましいのですが、普通のサングラスやメガネでも効果が期待できるので、花粉症シーズンには、必需品です。
【帽子】
そして、髪の毛に花粉が、付着するのを防ぐ帽子。でも、この時ちょっと気をつけてください。長い髪の毛が、帽子からはみでていませんか?髪を束ねてから帽子をかぶると、髪に花粉がつきにくくなります。もちろん、帽子は、つばが広いものがお勧めです。
【首】
さらに、見落とされがちなのが首筋。首筋に花粉が付着すると、皮膚炎を起しやすいので、スカーフを巻くなどして、しっかりガードしましょう。
【素材】
上着の素材にも注意が必要です。この時期、ウールを着る方多いですよね。実は、ウールはこのように、花粉をつけてしまうんです。この付着した花粉を家に持ち帰ると、症状はなかなか改善しません。できれば上着の素材は、ポリエステルなど、サラサラしたものの方が、花粉が滑って落ちやすくなります。花粉を家に持込まない工夫も大切です。
【帰宅時】
家の中に入る前には、衣服や髪についた花粉を十分に落としましょう。さらに、「手洗い」、「うがい」をして、皮膚や粘膜についた花粉を落とします。これもまた花粉症対策の基本です。
【花粉の飛び具合】
特に今年は、大量に花粉が飛ぶ可能性が高いので、「いつ、どれだけ花粉が飛ぶのか」という情報チェックを忘れずに。よく晴れた風の強い日は、花粉の飛ぶ量が多くなるので、注意しましょう。また、1日のうちでは、昼の12時〜午後3時までが、多くなります。その時間帯の外出は、特に気をつけましょう。
花粉症予防は、何より花粉を避ける事が大切。
こうしたちょっとした工夫で、花粉症から身を守りましょう。

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