プロテアソームの発見により、世界のタンパク質研究をリードする田中先生!2001年には、ノーベル賞受賞者を決める、
「ノーベル会議」のメンバーにも選ばれています。プロテアソームの研究、それは今後の医療に、
どんな発展をもたらすのでしょう?事実、
プロテアソームの研究で、パーキンソン病の原因が判明しました。
パーキンソン病とは、身体を動かす指令が、脳から上手く伝わらなくなる病気。徐々に全身が動かせなくなります。パーキンソン病に冒された脳の神経細胞。その中には、
寿命が尽きたのに分解されなかったタンパク質が溜り、指令の伝達を妨害していたのです。また、パーキンソン病の患者さんからは、
不思議なユビキチンを作る遺伝子も、見つかりました。この
ユビキチンがタンパク質にくっついても、プロテアソームは、そのタンパク質を壊そうとしません。それは、目印にならない、異常なユビキチンだったのです。そのため、
神経細胞に不要なタンパク質が次々と溜り、病状を進行させていました。
プロテアソームの研究が進み、不要なタンパク質が細胞内に溜まらないように出来れば、将来、パーキンソン病の治療や予防が可能になると期待されています。一方、脳が徐々に萎縮し、
認知症が起きる、アルツハイマー病の場合、病に冒された脳を調べると・・・・
「老人斑」と呼ばれる、このようなシミが見つかります。このシミも、実は
アミロイドベータという、異常なタンパク質が脳の神経細胞の外側に溜まったもの。そして、神経細胞の中には、
さらにタウという異常なタンパク質が溜まります。この
タウが溜まると、神経細胞は死んでしまうのです。アルツハイマー病の原因も、
プロテアソームが壊せない異常なタンパク質が、脳の神経細胞に溜まっていくことだったのです。