インフルエンザにかからないためには、やはり
ワクチンを接種するのが一番。インフルエンザ・ウイルスは、確かに毎年のように変化していますが、ワクチンも、毎年中身が変えてあるのでしょうか?その
ウイルスの変化を予想して、毎年作られているのです。北里生命科学研究所
中山哲夫 先生は、インフルエンザ・ウイルスのワクチンを製造し、その効果を調査研究しています。それにしても、先生、どうやってインフルエンザ・ウイルスの流行を予測しているんですか?その動きは、アトランタ・メルボルン・ロンドン・東京を中心に、世界中で常に見張られているのです。
流行すると予測されたウイルスは、「ワクチン株」として全世界に送られ、世界中でワクチンが製造されます。「ワクチン株」は、Aソ連型・A香港型・B型のウイルスからそれぞれ1種類ずつ発表されます。
注目の今年は、Aソ連型はニューカレドニア、A香港型はニューヨーク、B型は上海のウイルスがワクチン株として、それぞれ選定されています。日本では、WHOの発表を元に、国立感染症センターがワクチンの製造法を検討し、
4月にワクチンの製造を決定します。インフルエンザ・ワクチンとは、
特殊な薬を使って身体に害を及ぼす力だけを弱めたウイルスです。ワクチンを摂取すると…、身体は免疫という働きによって抗体という物質を作ります。この
抗体は、ウイルスの棘になっているような場所にくっついて、ウイルスが細胞の中に侵入できないようにします。一度、抗体ができると、本物のウイルスが入ってきた時に、この抗体がすぐにウイルスの棘にくっつ
いて、ウイルスが細胞に侵入するのを防ぎます。しかし、
ウイルスの型が変わり、棘の形が変わると、抗体が働かなくなってしまいます。そのため、毎年新しいワクチンを打たなければいけません。今年のワクチンには、Aソ連型・A香港型・B型のそれぞれの「
ワクチン株」が全て入っています。中山先生は、今年、製造したワクチンが、身体の中で正しく働いて、抗体を作っているか、ということを日々調べています。
たくさんの窪みがあるトレイ。ここには、あらかじめワクチンを打って
抗体ができている血液が濃度を変えて入っています。ここに、インフルエンザ・ウイルスを加えてゆきます。ワクチンが身体の中で上手く機能しているかどうかは、
赤血球で判断します。このように赤血球が集まって、真ん中に赤い塊ができていれば、
ワクチンは
上手く働いています。ワクチンが、上手く働いていない場合は、赤血球が集まらないので赤い固まりはできません。ところで、少しずつ濃度を薄めていった血液でワクチンの働きを調べるのはなぜでしょう?
ワクチンの働きは、抗体がどれだけたくさん作られたかによって判断されます。薄い血液の中でも、赤血球が集まっていれば充分な抗体が作られていて、ワクチンが正しく働いているということになります。
今年のワクチン作りはうまくいっているそうです。ところで、中山先生、もう12月も半ば。まだ、
ワクチンを接種してない人でも、間に合いますか?十分有効性はあります。
今からでも受けることをお勧めします。