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2005年12月11日(日)、18日(日)
テーマは『インフルエンザ』

今週のドクター
今週のドクターは、
水谷内科呼吸器科クリニック 院長
水谷 清二先生


【略歴】

'77年

名古屋市立大学医学部卒業。
結核予防会複十字病院呼吸器内科部長を経て

’01年 練馬区にてクリニック開設
’02年 呼吸器レントゲン診断のためヘリカルCTを
クリニックに設置

【ドクターの一言】
地域での呼吸器専門医として質の高い医療の提供を目指す。今の医学ではまだ治せない病気も近いうちに治療法が見つかります。それまで共に焦らず今以上に悪化させないように努力を継続しましょう。

【著書】
「結核医療の基本とその解説」   結核予防会
「非結核性抗酸菌症」   結核予防会
「図説病態内科講座」   共同執筆 Medical View社

〈素朴な疑問〉
〜どうしてインフルエンザは冬に流行する?〜

データ12月も半ば。インフルエンザが猛威を振るう季節です。今年の予防接種は、もう済ませましたか?それにしても、普通の風邪なら一年中ひくのにインフルエンザは、毎年、この時期にしか流行しないような気がします。インフルエンザ・ウイルスって本当に冬限定のはやりもの?夏は流行しないの?国立感染症研究所 小田切孝人は、インフルエンザ・ウイルスの増殖や病気を起こす仕組みを研究しています。東南アジアを中心に世界各国を巡り、データ日夜インフルエンザの研究に没頭する小田切先生。今年の夏にインフルエンザがしっかり流行していた事実が明らかになりました!6月には、沖縄の小・中・高 合わせて5学級が学級閉鎖に追い込まれ、8月には兵庫・奈良で、相次いで、100人程の集団発生が確認されたのです。インフルエンザ・ウイルスは、冬だけではなく、一年中、私たちを狙っているんです!!でも、インフルエンザが本格的に流行するのは、やはり冬。都合のいい条件データ例えば、インフルエンザ・ウイルスは、くしゃみや咳と一緒に、空気中を飛んで、別の人に感染しまが・・・そのウイルスは、口から、唾液などの水分と一緒に飛び出すため、その重みで、通常は、1〜2m飛んで地面に落ち、人にはうつりにくくなります。データところが、湿度が40%以下になると、ウイルスと一緒に飛び出した水分が蒸発してしまいます。すると、普通は、水分の重みですぐに地面に落ちてしまうウイルスが、軽くなって、空気中を漂う時間が長くなるのです。しかも、インフルエンザ・ウイルスは、温度が低い方が、強い感染力を保ち続けます。つまり、乾燥して、寒くなるデータ冬はインフルエンザ・ウイルスが、強い感染力を保ったまま長時間、空気中を漂うことになります。さらに、冬場の乾燥によって、私たちの喉や鼻も乾燥し、インフルエンザ・ウイルスを排除する働きが弱まってきます。そうなると、ウイルスが身体に侵入しやすくなり、インフルエンザにかかりやすくなります。
『インフルエンザ』とからだ
データ冬に流行するインフルエンザ。 同じように、寒い季節になると風邪をひく人もぐっと増えます。実は、インフルエンザも風邪の仲間、「風邪症候群」の一種です。ただし、ただの風邪とは全く違うんですよ。インフルエデータンザは、このインフルエンザ・ウイルスによって引き起こされます。インフルエンザ・ウイルスが感染するとわずか1〜3日程度の潜伏期間で、突然38〜40度もの高熱が出ます。同時に、頭が激しく痛む、体の節々が痛くて動けない、全身がだるくデータなるといった症状が現れます。こうした激しい症状が、ただの風邪との大きな違い。インフルエンザの場合、鼻水や喉の痛みなどの症状も風邪より激しく現れるのです。とにかく、かかるとつらいインフルエンザ。 そのとき、ウイルスは、体の中でいったい何データをしているのでしょうか?インフルエンザ・ウイルスは直径が1万分の1ミリという非常に小さな、微生物。表面に棘のような突起があるのが特徴です。この、表面に生えている棘で、私たちの身体の細胞の中へ、細胞膜を破って、侵入するのです。次に、このウイルスは、 データ自分の遺伝子を細胞核に組み込み、次々と自分のコピーを作らせます。どんどん増えるインフルエンザ・ウイルス。しかし、これだけでは飽き足らないウイルスは最初に入り込んだ細胞を出て、他の細胞に潜り込みます。そこで、再び爆発的な増殖を続けますデータその増殖力は想像を絶する速さ!1万分のミリの、たった1個のウィルスが16時間後には1万個に、24時間後には100万個にも増えてしまうのです。この増殖の驚異的なパワーによって、インフルエンザの激しい症状が引き起こされるのです。あっという間に、全身に勢力を拡大するインフルエンザ・ウイルスは、しばしば合併症を引き起こします。もし、身体に備わってデータいる、ウイルスをやっつける働きが弱いと、鼻や喉に感染していたウイルスが、徐々に、気管支、そして肺へと侵入してゆきます。ウイルスガ気管支に感染すれば、気管支炎を、さらに、肺の奥にまでウイルスが侵入し、感染すると、肺炎を引き起こしてしまいます。特に抵抗力の弱い高齢者は肺炎を併発する可能性が高く、インフデータルエンザによって死亡する危険性も高いのです。一方、鼻や喉に感染していたウイルスが、耳に感染する事もあります。インフルエンザがもとで急性中耳炎にかかる。これは、子供が最も起こしやすい合併症なのです。鼻や喉に感染したウイルスは、耳管という管を通って、中耳という場所に感染し、炎症を起こします。この時、耳の中はどうなっているのか…データこのように、全体が真っ赤に腫れています。さらにひどくなると…、ウミが溜って、鼓膜を内側から押し上げるようになります。この時、耳に強い痛みが起こります。最後には、鼓膜が破れて、耳垂れが出ます。でも、どうして、子供のほうがインフルエンザから中耳炎を起こしやすいのでしょう?実は、データ子供の方が、大人よりも耳管が太く短いため、中耳にインフルエンザ・ウイルスが感染しやすいのです。インフルエンザによるこわい合併症。インフルエンザ・ウイルスは、さらに、血液によって、全身に広がり、命に関わる合併症を引き起こすことがあります。全身に広がったインフルエンザ・ウイルスによってなんと心臓がダメージを受けます。ウイルスが全身に広がると、サイトカインという物質が作られ、その影響で心臓の筋肉が破壊されてしまうことがあるのです。最悪の場合は、心臓の筋肉が壊死を起こし、突然死を招く可能性もあります。さらに、近年、乳幼児に増えている、命に関わるデータ合併症が、インフルエンザ脳症。インフルエンザ・ウイルスの影響で作られたサイトカインが、大脳や延髄にダメージを与えてしまう合併症です。インフルエンザ脳症は、病気の進行が極めて早いため、3分の1が命を落とし、3分の1に重い後遺症が残ります。脳の細胞がダメージを受けるため、データ後遺症として運動機能が失われたり、知的障害が生じてしまうのです。高熱を出して、48時間以内に、長い痙攣を起こし、ぐったりするなどの意識障害が起こった時は、インフルエンザ脳症の疑いが極めて高いといえます
セルフメディケーションポイント!  
『インフルエンザ』と病気

データ毎年のように猛威を振るうインフルエンザ・ウイルス。この、インフルエンザ・ウイルスには、大きく分けてA型、B型、C型の三種類があります。この中で、毎年のように流行して問題となっているのは、A型とB型です。中でも最も症状が重く、世界的に流行するのがA型。更にこのA型の中にも、香港型、ソ連型などといったタイプの違いがあります。しかも、データインフルエンザ・ウイルスは、少しずつ変異し続けているのです!!並みのウイルスであれば、一度感染すると、免疫という働きによって、同じウイルスによる病気にはかかりにくくなります。しかし!!インフルエンザの場合は、一度、A型に感染しても、次の年にウイルスの性質が変わっていると、免疫が役に立たず、また感染してしまう事があります。そして、データ恐ろしいことに10〜40年の周期で、突然、全く新しい形に変異したインフルエンザ・ウイルスが誕生しているのです。1918年、世界中で流行し、4300万人もの命を奪った、スペイン風邪。その40年後、200万人の命を奪ったアジア風邪。その10年後、100万人の命を奪った香港風邪。多くの犠牲者を出した病気の原因は、データすべて突然変異で誕生した新型のインフルエンザ・ウイルスなのです。実は、毎年流行するAソ連型は、スペイン風邪のウイルスの子孫、A香港型は、香港風邪のウイルスの子孫。インフルエンザウイルスは、形を変えていまだに生き延びているんです。そして、現在、こうした新型インフルエンザ・ウイルスが、いつ生まれてもおかしデータくない状態だという危機感が世界中で高まっています。心配の種は、H5N1型鳥インフルエンザ。これまで、鳥インフルエンザは、鳥からヒトには感染しないと考えられていました。というのも、スペイン風邪などの大流行を起こした新型インフルエンザ・ウイルスは、鳥とヒトのウイルスがまず豚に感染。豚の中で強力な新型ウイルスに変異して、再びヒトに感染したと考えられています。そのため、人と、鶏、豚が一緒に暮らす、中国や東南アジアの農村で新型ウイルスデータが発生する可能性が高いと考えられてきました。ところが、近年見つかり始めている、ヒトに感染した鳥インフルエンザ・ウイルスの中には、鳥からヒトに直接感染し、ヒトの身体の中で変異が起きたとしか考えられないウイルスが発見されたのです。2002年以降、鶏が次々と死んでしまう、強い性質を持つデータ鳥インフルエンザ・ウイルスは世界26カ国で発見されています。そのため、新型ウイルスに対する危機感は急激に高まっているのです。日本政府は、新型ウイルスが流行した時の感染者を4人に1人と想定し、その場合、死者が17〜64万人に上ると考えています

セルフメディケーション
〜からだにいい生活〜
データインフルエンザにかからないためには、やはりワクチンを接種するのが一番。インフルエンザ・ウイルスは、確かに毎年のように変化していますが、ワクチンも、毎年中身が変えてあるのでしょうか?そのウイルスの変化を予想して、毎年作られているのです。北里生命科学研究所 中山哲夫 先生は、インフルエンザ・ウイルスのワクチンを製造し、その効果を調査研究しています。それにしても、先生、どうやってインフルエンザ・ウイルスの流行を予測しているんですか?その動きは、アトランタ・メルボルン・ロンドン・東京を中心に、世界中で常に見張られているのです。流行すると予測されたウイルスは、データワクチン株」として全世界に送られ、世界中でワクチンが製造されます。「ワクチン株」は、Aソ連型・A香港型・B型のウイルスからそれぞれ1種類ずつ発表されます。注目の今年は、Aソ連型はニューカレドニア、A香港型はニューヨーク、B型は上海のウイルスがワクチン株として、それぞれ選定されています。日本では、WHOの発表を元に、国立感染症センターがワクチンの製造法を検討し、4月にワクチンの製造を決定します。インフルエンザ・ワクチンとは、データ特殊な薬を使って身体に害を及ぼす力だけを弱めたウイルスです。ワクチンを摂取すると…、身体は免疫という働きによって抗体という物質を作ります。この抗体は、ウイルスの棘になっているような場所にくっついて、ウイルスが細胞の中に侵入できないようにします。一度、抗体ができると、本物のウイルスが入ってきた時に、この抗体がすぐにウイルスの棘にくっつデータいて、ウイルスが細胞に侵入するのを防ぎます。しかし、ウイルスの型が変わり、棘の形が変わると、抗体が働かなくなってしまいます。そのため、毎年新しいワクチンを打たなければいけません。今年のワクチンには、Aソ連型・A香港型・B型のそれぞれの「ワクチン株」が全て入っています。中山先生は、今年、製造したワクチンが、身体の中で正しく働いて、抗体を作っているか、ということを日々調べています。データたくさんの窪みがあるトレイ。ここには、あらかじめワクチンを打って抗体ができている血液が濃度を変えて入っています。ここに、インフルエンザ・ウイルスを加えてゆきます。ワクチンが身体の中で上手く機能しているかどうかは、赤血球で判断します。このように赤血球が集まって、真ん中に赤い塊ができていれば、データワクチンは上手く働いています。ワクチンが、上手く働いていない場合は、赤血球が集まらないので赤い固まりはできません。ところで、少しずつ濃度を薄めていった血液でワクチンの働きを調べるのはなぜでしょう?ワクチンの働きは、抗体がどれだけたくさん作られたかによって判断されます。薄い血液の中でも、赤血球が集まっていれば充分な抗体が作られていて、ワクチンが正しく働いているということになります。今年のワクチン作りはうまくいっているそうです。ところで、中山先生、もう12月も半ば。まだ、ワクチンを接種してない人でも、間に合いますか?十分有効性はあります。今からでも受けることをお勧めします。

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