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2005年11月27日(日)、12月4日(日)
テーマは『筋肉の運命』

今週のドクター
今週のドクターは、
順天堂大学 スポーツ医学
桜庭 景植先生


【略歴】

 

順天堂大学医学部卒業
現在同大学スポーツ健康科学部スポーツ医学教授
日本オリンピック委員会強化スタッフ(スポ―ツドクター)
シドニーオリンピック パーソナルドクター

【ドクターの一言】
筋肉は身体を動かす動力となるものです。人は身体を動かさないと老化します。健康な長寿生活を送るためには、活き活きした筋肉が必要です。無理なく頑張って筋肉とうまく付き合っていきましょう。

【著書】
「ヒューストンクリニックスポーツ現場の医療
マニュアル(訳)」
  ライフサイアンスインターナショナル。 1999年
「今日の整形外科治療指針」第4版 分担執筆   医学書院
2000年
「スポーツ外傷学W」第1版 分担執筆   医歯薬出版 
2001年
「今日の治療指針」2001年度版 分担執筆   医学書院 
2001年

〈素朴な疑問〉
〜たまに運動すると 何故次の日筋肉は痛いの?〜

データ久しぶりに激しい運動をして、珍しく体を使った!重い荷物を運んで、普段使わない筋肉を使った!すると、その次の日!体のあちこちがイタタタタ!この筋肉痛!皆さんも経験がありますよね。でも、激しい運動をしたり、重い荷物を運ぶと、なぜ筋肉が痛くなるの?東京大学・大学院 石井直方先生。は運動生理学の権威の御一人。筋肉を始めとする、体の運動機能を、遺伝子レベルで研究されています。『筋肉痛はですね、多くの場合激しいデータ運動をした後に、筋線維という筋肉を作っている細胞に小さな小さな傷ができるのがキッカケになります。』私たちの筋肉。それは、無数の筋線維が束になって作られています。筋線維は、全て一つの細胞。太さは約50ミクロンと髪の毛程度です。長さ10センチデータ物もあるなど、体内では神経細胞に次ぐ長い細胞です。激しい運動をすると、小さな小さな傷ができてしまいます。そこに現れるのが白血球。白血球は活性酸素を出して、傷ついた部分を取り除こうとします。これが、筋肉の炎症反データ。やがて痛みを引き起こします。『炎症が起きているときは白血球から痛みを感じさせる物質が作られます。そうすると筋肉の中に入っている感覚神経を、痛みを出す物質が刺激をして痛みが起こる、というわけです。』筋肉の感覚神経は、筋繊維にそって、伸びています。データ白血球が出す痛みを感じさせる物質。その刺激をキャッチするのは、感覚神経の末端部分です。感覚神経の末端にその物質が触れると刺激が脳に届き、痛みを感じる、という訳です。でも先生どうして痛みは次の日に起こるのですか?徐々に白血球がやってきて炎症反応が起こります。実際に傷ついたときより遅れて痛みが起こるのは、炎症が徐々に起こるからです。』でも若い頃は運動などの直後に筋肉痛が起きるのに、年をとるに従って、それが2〜3日後になるのは何故ですか?歳をとると身体の全身の反応速度というのが落ちてきます。なので免疫反応、炎症反応が進む速さもそれなりに落ちてきますので、若いときより筋肉痛が起こるのも少しずつ遅くなってくるデータと言うふうに考えられます。』20代で翌日。40代では、翌々日に痛みがでる。それは身体の反応速度が遅くなるからだったんですね。ところで痛みの原因となる筋肉の損傷を起こしやすい動作もあるとか。『筋肉をブレーキとして使った場合です。筋肉をモーターとして使った場合と比べて、ブレーキとして使うと筋肉に傷がつきやすいということが分かっています。』データ何かを持ち上げる時などは、力を入れて腕の筋肉を縮めながら持ち上げますよね,これは、筋肉をモーターとして使う動作といえます。一方、何かを下ろす場合は、徐々に力を抜き筋肉を伸ばします。これが筋肉をブレーキとして使う動作。筋肉を傷つけやすいのは、こちら。筋肉は力を入れるときよりも抜くときのほうが負担がかかり、傷つきやすいのです。筋肉痛。その原因は筋肉が傷ついて起きる炎症にあります!そして、次の日に痛む理由は炎症反応の表れ方にあったのです。
『筋肉』とからだ
データ私たちの全身を覆っている筋肉。その一番の役割は体を動かすこと!もし筋肉を全く動かさないままでいると…機能がどんどん低下、筋肉は衰えてしまいます。これは筋肉の運命。筋肉が出せる最大の能力を100%とした場合、そのデータ20%程度は毎日使っていないと、何と筋肉が衰えてしまうのです。たとえば、全力で走ると、脚の筋肉の能力は ほぼ100%発揮されます。その20%分を毎日ちゃんと使うには、歩く事が最適!特に、高齢者は老化によって筋力が低下しやすく要注意!身体の中で最も大きいのが太ももの筋肉。20代では1キロ当り25グラムもあります。しかし、データ70代では平均15グラムに減り、更に衰えて10グラムを下回るようになると…ちゃんと歩けなくなってしまいます。高齢者の皆さん、 筋力維持するためには1日30分以上ちゃんと歩きましょう!しかしムリは禁物。あまり動かしすぎると筋肉が疲れてしまうことに。それが筋肉疲労です。歩きすぎて足が疲れた。腰が重い!データこれらはみんな、筋肉が疲労しているサイン!ではどんな仕組みで、筋肉に疲労が起きるのでしょう?実は、疲労物質・乳酸が筋肉に溜まるためなんです!筋肉を動かす。すると、筋肉の中に疲労の原因となる乳酸が発生します。この乳酸は筋肉から血液の中へと入りこみます。すると、それを脳が察知。脳の中枢が「体を休ませろ」という指令を出させます。その指令により、足が疲れたり 腰が重いと感じるのです。ところで、筋肉を動かさなくてもデータ疲れてしまうことがありますよね。たとえば、椅子に座って長時間同じ姿勢でいると次第に肩が凝ってきたりしませんか?この肩こりも、実は筋肉疲労の症状なのです!長時間筋肉を動かさないでいると…。筋肉は強張り血管が圧迫された状態になります。そもそも血液とは、血管の周囲の筋肉が収縮するポンプ作用により、血管の中をスムーズに流れて行くもの!そのため筋肉が強張り、収縮が弱まると、血液もスムーズに流れなくなります。すると、血流の停滞から、酸素や栄養が筋繊維に届かなくなります。こうなると、動きすぎた場合同様、筋肉に疲労物質の乳酸が発生。疲れを起こさせるのです。皆さんも肩が凝った時に、肩を動かしたり揉んだりすると、データ凝りが和らぎますよね。これは強張った筋肉を動かしたり、揉み解す事によって、血流が回復したため。乳酸の発生も止まるだけでなく、既に筋肉に溜まっていた乳酸も、回復した血流が洗い流してくれるのです。
セルフメディケーションポイント!  
『筋肉』と病気

データ毎日のようにしなければならない水仕事。でも…腰が痛〜い!こうした腰痛も、肩凝りと同様に筋肉の疲労から起こるのです。腰痛は骨の異常が原因では?そう思っている方も多いようですが、実は腰痛の中で最も多いのが、筋肉の疲労からくるこの筋膜性腰痛。このタイプの腰痛は、腰の筋線維の回りにある筋膜が、データ何かしらの刺激を受けて発生します。筋肉の感覚神経は、筋膜に沿って走っています。長時間の疲労で、筋線維がパンパンに膨らむと、周囲の筋膜を圧迫。その際、筋膜にある感覚神経も、刺激を受けて痛みが起こる訳です。また、痛いからといって、そこをかばってばかりいると、更に別の場所の筋肉に負担がかかり、痛みは拡がります。こうなると、なかなか腰痛が良くならない悪循環に陥ります。また、老化などが原因で、 筋肉が衰えると骨にその影響が出る事も!私たちの体、それは決して骨の力だけで支えられている訳ではありません。体中の骨の周りに筋肉があるからこそ、体全体の骨組も固定されているのです。そのため、筋肉が衰えると必要以上の負担が骨にかかります。特に、データこの負担の影響を受けやすいのが、体重のかかる膝の関節部分。しばしば「変形性関節症」とよばれる病気を発症します。事実、この病気は、脚の筋力が低下してしまったお年寄りに多く、患者さんのほとんどが、50歳以上というデータも出ています。でもなぜ、筋肉が衰えると、骨が変形してしまうのでしょう?関節部分の筋肉が衰えると、関節は正常な位置で保てなくなります。するデータと関節の動きにゆがみが生じ軟骨の部分が磨り減ってしまいます。この動きがが長期に渡って続くと、やがて骨の部分まですり減らすことに!ここまで来ると、もう普通には歩けません。更に、筋力の衰えが、ある骨の病気の進行に拍車を掛けてしまう場合もあります。データその病気が骨粗鬆症。骨粗鬆症になると、骨の中がスカスカになり、骨全体が脆くなってしまいます。もともと、骨粗鬆症は、閉経後の女性におこるホルモンバランスの異常や・・高齢者に多い、骨を作る機能の低下から起こる病気!しかし、骨粗鬆症の進行を早める原因の一つとして、 筋肉の衰えが挙げられるのです!骨をガッチリと固定して保護してくれる筈の筋肉が衰え、筋力も低下してしまうと骨粗鬆症になった骨データを十分に庇えません。そこに強い衝撃が加わると、骨が押し潰され、骨折をしてしまうのです!もしも、骨粗鬆症を起こした背骨に骨折が起きれば・・・最悪の場合は寝たきりになってしまうことも多いのです。
セルフメディケーションポイント!  

セルフメディケーション
〜からだにいい生活〜
データ痛〜い 筋肉痛。更に肩こり、腰痛の原因ともなる筋肉疲労。そして骨にまで異常を及ぼす、高齢者には深刻な筋力の衰え。これを予防するにはどうすればいいのでしょう?早稲田大学スポーツ科学学術院・福永哲夫先生は、お年寄りのための筋力低下予防プログラムを開発。そのプログラムは現在、多くのお年寄りが実行しています。先生、筋肉痛や筋肉疲労は、どうすれば防げるのですか?『筋肉に力を入れた後十分のばしてあげるストレッチ、これを10分実行するとかなりの部分防げます。』運動などによってデータ筋肉を激しく動かす。すると、その後の筋肉は萎縮した状態になっています。この萎縮した状態をそのままにしておくと乳酸が発生して血流が滞り、筋肉疲労を起こしてしまいます。また、筋肉が傷ついていると、少し経ってから、酷い筋肉痛が起きる事も少なくありません。そこで、福永先生に、筋肉痛や疲労を防ぐストレッチを教えて戴きましょう!データまずは、体を動かす筋肉のうち、80%を占めている下半身から。特に歩きすぎた後などは、しっかり脚を伸ばして疲れを溜めないようにしましょう足首をもって後ろに引っ張るストレッチを約20秒間。 ころばないように机や椅子など安定した物で、身体を支えながら行ってください。続いて、腿とデータふくらはぎのストレッチ。しっかりと筋肉を伸ばすため、なるべく腰を落とすようにするのがポイントです。これも、左右両足で20秒間ずつ行います。少しきついくらいがちょうどいいんですよ。次は上半身のストレッチデータ壁から約80センチ離れて立ち、手を壁に付けて行います。これは、胸の筋肉と背中から肩にかけての筋肉、両方を伸ばせるストレッチ。特に肩こりの方に効果的です。続いては、高齢の方でも簡単に出きる筋力維持のトレーニングをご紹介します!椅子や机で身データ体を支えて足の筋肉を鍛えるトレーニング。このようにして膝を曲げ、伸ばしを繰り返します。最初は曲げる角度を小さく。馴れてきたら、徐々に大きく曲げるようにしましょう!脚全体に効果のあるトレーニングですが、特に腿の筋力維持に最適!腿の筋肉の衰えは、躓きやすい「摺り足歩行」を生み、ころんで骨折の原因にもなるからです。続いては、腕立て伏せで、 データ腕と胸の筋肉をトレーニング。膝を床につけて行うため、高齢者でも無理なく行えるのが特徴です。手の位置を遠くすれば、より大きな負荷もかけるグレードアップも可能です。腰が反りすぎないように注意して行ってください。『80歳の人でもちゃんとしたトレーニングをすれば筋肉は鍛えられ、力もつきます。日常生活が影響する老化傾向をゆるくすることは十分可能なんです。』

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