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2005年10月16日(日)、23日(日)
テーマは『糖分』

今週のドクター
今週のドクターは、
高輪メディカルクリニック 院長
久保 明先生


【略歴】

 

慶應義塾大学医学部卒 医学博士

  米ワシントン州立大学医学部留学
  内分泌学会、内科学会、糖尿病学会の専門医
  亜細亜大学客員教授。日本抗加齢医学会理事

【ドクターの一言】
生活習慣病の統合医療とエイジング・抗加齢医学を中心に“最新情報を最前線の診療に生かす”がモットー。


【著書】 単著
「快体心書」   産能大出版
「内分泌代謝疾患クリニカルガイド」   HBJ出版局
「健康おもしろブック
     ”あなたの脂肪を科学する”」
  中央労働災害防止協会
「糖尿病・安心への戦略」   廣済堂出版
「セルフケアハンドブック」   厚生省共済組合
「生活習慣病・成人病がわかる本」   法研出版
「「心のカゼ」の処方箋」   光文社社出版
/カッパブックシリーズ
「健康寿命ドック」   勁文社

共著

「スポーツ医学からみた
    年代別・性別スポーツ指導」
  文光堂
「体力アップレシピ」   法研出版
「フットセラピーで美しく」   廣済堂出版
「走って走って 歩いて歩いて 痩せる!」   辰巳出版
「あなたのベストサプリメント 
    vol.1、2、3、4」
  (株)ドラックマガジン
(発売元)
「実践予防医学ー理論と実際ー」   診断と治療社
「女性のためのパーフェクトサプリメント
    ブック」
  主婦の友社


〈素朴な疑問〉
〜やっぱり砂糖は身体に悪いの?〜

データ砂糖たっぷりの甘〜いケーキ!大人になっても、甘いものには目がない・・・という方は多いはず。クッキーにチョコレート・・・。スイーツを食べると、なんだか幸せな気分が味わえます!しかし!甘いものは身体に悪い!砂糖は、健康を損ねる!などと思って、食べたいのを我慢していませんか?甘さの元、砂糖って、本当に身体に悪いのでしょうか?浜松医科大学 名誉教授高田 明和先生の専門は、大脳生理学。栄養素が、脳を中心とした身体の働きとどのように関係しているかを研究しています。高田先生、砂糖は本当に身体に悪いんですか?「砂糖が身体に悪いなんてとんでもない話ですよ。甘いものをとるというのは、使われたデータエネルギーがすぐ供給され、疲労が回復するんです。特に、脳の疲労回復にはいいんですよ」砂糖は、小腸で消化吸収されますが、驚くのはそのスピード。口にしてから、わずか数10秒後にはブドウ糖となって血液中に現れます。このブドウ糖が、肝臓を通って、脳や筋肉など、全身に運ばれるのです。特に脳のエネルギー源はデータ、ブドウ糖だけです。これが、その、ブドウ糖。なんと脳は、1分間に、ひとつまみ分、0.1グラムのブドウ糖をエネルギーとして使っています。つまり、1日で144グラム、手の平一杯分ものブドウ糖を使ってしまうのです。そんなブドウ糖の補給には、砂糖が一番。しかし、私たちの身体の中で、ブドウ糖に変わるものは、ほかにもあります。例えば、ご飯やパン等の穀類や芋類、そして・・・果物に入っている「糖質」が、身体の中でブドウ糖に変わります。数ある糖質のなかで、データブドウ糖に変わるのが一番速いのが砂糖。砂糖は、ブドウ糖2つと果糖1つがくっついたもの。食べて数十秒後に小腸つく頃には、すぐに吸収されるブドウ糖1個に切り離されているのです。一方、ご飯に含まれる糖質は、ブドウ糖以外の糖や食物繊維などがたくさん結びついています。これでは、1個のブドウ糖に切り離されるまで、時間がかかってしまいます。つまり、砂糖に比べて、ブドウ糖になって、小腸で吸収されるまでに時間データがかかるのです。糖質はすぐに分解されてブドウ糖になります。ブドウ糖が小腸で吸収されると身体の中でアデノシン三リン酸になります。もしも、ブドウ糖が十分にないと、アデノシン三リン酸がなくなって、私たちはいかなる活動もできなくなってしまうんですね。それは大変!血液によって全身に運ばれるブドウ糖が行き着く先は、ひとつひとつの細胞です。ブドウ糖は、それぞれの細胞の中に入って、クエン酸サイクルという働きによって、アデノシン三リン酸という物質に変わります。アデノシン三リン酸こそ、脳をはじめ、身体すべてが活動するためのエネルギー。このアデノシン三リン酸は、体内に常に100g程度、蓄えられています。では、その100gのアデノシン三リン酸が私たちのデータ身体を動かしているんですか?もし私たちが一日2400kcalのエネルギーを使うとすると、なんとアデノシン三リン酸が61kg必要なんです。アデノシン三リン酸は身体に蓄えてある分では全然足りないんですね。つまり私たちは常にブドウ糖を摂取し、新しいアデノシン三リン酸を作り続けなければいけないんです。エネルギーを効率よく作るためには、食べ物としてブドウ糖、とくに砂糖を摂るということが非常に大事になります。これから頭が疲れたとき、勉強したり、大変な仕事をする時は甘い物を食べて下さい。
『糖分』とからだ
データ健康診断や人間ドックなどでおなじみの項目、血糖値。血糖値とは、血液中に含まれる糖分、ブドウ糖の濃度のことです。食べ物を食べると、通常、血液中にブドウ糖が増えます。つまり、誰でも、血糖値は一時的に高くなりますが、データしばらくすると元に戻ります。血糖値は、食前の空腹時が最も低く、食後に上昇し始め、約1時間でピークに。その後、2時間ほどで元の値に戻ります。血糖値は、空腹時から食後まで、1デシリットルあたり、70〜160ミリグラムの範囲で調節されています。この血糖値の調節に大きく関係しているのが、すい臓から分泌される、インスリンです。インスリンは、肝臓や筋肉の細胞に血液中のブドウ糖を取り込んで、細胞の中でエネルギーに変えるための指令を出します。データこうして、インスリンのおかげで、血糖値は下がっています。血糖値が上昇しはじめると、上がり過ぎないようにするため、インスリンの量が一時的に増えて、血糖値を下げています。もし、甘いものの食べすぎで血糖値が下がらなくなるとどうなるのでしょう?たくさん甘いものを食べると血中のブドウ糖はあっという間に増加します。このとき急に増え過ぎたブドウ糖を処理しきれなくなります。こうして本来、細胞に入ってエデータネルギーになるはずだったブドウ糖は血液中に残ります。この状態が高血糖。血糖値が、空腹時で126 以上、食後1〜2時間で200 以上になると、糖尿病です。血液中にだぶついてしまったブドウ糖は、何と、全身の至るところに溜っていくのです。一体どんな風に溜まるのでしょうか?血液中にだぶついたブドウ糖は、なんと、タンパク質にくっつきますデータタンパク質は、私たちの身体を作る材料。ブドウ糖がくっついたタンパク質は、身体の一部としての、本来の役割を果たせなくなります。赤血球や白血球や血管の壁を作るのもタンパク質。そのタンパク質にくっついて、ブドウ糖は全身に溜ってゆくのです。例えば、赤血球。このタンパク質にブドウ糖がくっつくと、「酸素」を運べなくなります。また、血液中でだぶついたブドウ糖は、神経にもくっつきます。すると、神経は、身体の情報を伝えるという、本来の働きができなくなり、手足の感覚が鈍くなってしまいますデータさらに、血液中にだぶついたブドウ糖は、活性酸素を取り除く物質とくっついてその働きを奪います。その結果、活性酸素が大量に発生し、細胞を次々と酸化させます。細胞は、酸化すると、壊れてしまうのです。細胞が壊れるとがんが発生しやすくなったり老化が進みやすくなったりします。このように食後の血糖値だけが高いという人も要注意。ブドウ糖が少しずつたまり生活習慣病を招きやすい身体へと変えていくのです
セルフメディケーションポイント!  
『糖分』と病気

データ日本人の平均寿命。男性が78歳、女性は85歳。この寿命を10年も縮めるという恐ろしい病気…、それが、糖尿病です。糖尿病で怖いのは、全身を蝕む合併症失明の原因第一位の糖尿病網膜症。腎臓の働きが低下し、腎不全に至ることもある糖尿病性腎症。そして、手足の感覚が鈍くなる糖尿病性神経障害。こデータれらは、糖尿病から起こる3大合併症です。この合併症の原因こそ、血液中にだぶついているブドウ糖。全身の細胞を作っているタンパク質にくっついて、本来の働きを奪ってしまうのです。もっとも影響を受けるのが、全身の細い血管!例えば、血液中に増えすぎたブドウ糖は、赤血球のタンパク質と次々にくっつきます。その結果、本来の役割を失ったデータ赤血球同士がくっついてしまい、血液の流れを妨げるのです。さらに、ブドウ糖は、赤血球以外のタンパク質ともくっついて、血管の壁に入り込み、動脈硬化を起こすこともあります。実は、この血管の異常が、最も出やすいのが、目や腎臓なのです。糖尿病網膜症は、網膜の毛細血管の異常。糖尿病性腎症は、腎臓の毛細血管の異常によって起こります。その上、血液中でだぶついたブドウ糖は末梢の神経にもくっつきます。そこでデータ起こるのが、糖尿病性神経障害。素足でも、靴下を履いているような感じやいつも手袋をしているような感じなど、徐々に手足の感覚が鈍くなっていくのです。この病気が進むと、痛みすら感じなくなるため、ちょっとした傷を放っておいて、どんどん悪化させることがあります。この状態の時、ほとんどの場合、タンパク質とくっついたブドウ糖によって、すでに血流が妨げられています。そのため、傷口に栄養が送られず、修復能力が衰えています。血液中にだぶついたブドウ糖は、本来、細菌などの外敵を攻撃する白血球のタンパク質にもくっついて、その働きを奪います。つまり、傷口は、雑菌も繁殖しやすくなっているのです。そのため、ひどい場合は壊疽を引き起こします。このような恐ろしい合併症は、糖尿病がかなり進行してから起こります。チェックを怠らないようにしてください。
セルフメディケーションポイント!  

セルフメディケーション
〜からだにいい生活〜
データ日本人の主食であるごはんや旬の果物、そしてイモ類など、糖質を含む食べ物をバランスよく摂りたいですね。理想的には、糖質で、57%〜68%のエネルギーを摂取するのが良いのです。とはいえ、主食のほとんどに糖質が含まれていては、あっという間に摂り過ぎになってしまいますね。女子栄養大学の三浦理代先生。は、生活習慣病を防ぐ、“正しい食事”について研究しています。どうしても摂り過ぎてしまう糖質を体内で有効活用し、溜めないようにするためにはどうすればよいのでしょうか?データ身体の中でブドウ糖を使ってエネルギーを効率よく作るためにはビタミンB1が必要です。ビタミンB1は豚肉にたくさん含まれています。細胞の中の発電機を働かせてくれる、というビタミンB1は、豚肉100gの中に0.66mg含まれています。同じ肉類で比べると、牛肉や鶏肉のほぼ6倍データそしてビタミンB1は胚芽米にもたくさん入っています。甘いものが好きな人や、ご飯をたくさん食べる人は主食に胚芽米を少し混ぜて食べるようにすれば、ビタミンB1が摂れますね。ビタミンB1を効率よく摂るには、ネギ、ニラが必要です。ネギやニラの香りの中にはアリシンという成分があります。データアリシンがビタミンB1と結合するとアリチアミンというものに変わります。これが小腸からの吸収を高めてくれます。ビタミンB1をはじめとする、ビタミンBの仲間には、B2、B6、B12などがあります。実は、ビタミンB1は、これらビタミンBの仲間と一緒に働くと強力になります。では、ビタミンBの仲間が一度にたくさん摂れて、データビタミンB1が有効活用されるメニューをご紹介しましょう。『豚肉とあさりの卵とじ丼』。ここに、ビタミンBの仲間がたっぷり入っているんです。B1の豚肉と、B2,B6たっぷりのあさり卵にはB12、そしてB1の吸収を助けるネギ。このメニューで、摂り過ぎたブドウ糖を、有効に活用しましょう。さて、血糖値が気になる人や、データ甘い物を我慢できない人のために、お勧めなのが「低カロリー」や「ノンカロリー」と表示された甘味料です。最近良く見かけますよね。普通の砂糖のようにブドウ糖となって小腸から吸収されません。つまり血糖値が上昇しにくい、または上昇しない甘味料なんです。どうすれば有効に活用できますか?「たくさんの種類があります。お砂糖の代わりに使うんですが、個々に全部性質が違います。例えば加熱すると分解してしまうなど、様々なものが市場に出ておりますので、表示をよく読み、データそれに従って料理に使うことができます。」長時間加熱できる甘味料は、煮物などに便利加熱すると壊れてしまう甘味料は、料理に使わず、コーヒーや紅茶などに入れましょう。甘味料の表示をよく読んで、正しく使うことが大切です。

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