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2005年6月26日(日)、7月3日(日)
テーマは『水分』

今週のドクター
今週のドクターは、
貴友会王子病院 院長
窪田 実先生


【略歴】

 

順天堂大学医学部卒
メルボルン大学医学部大学院卒
専門領域は電解質代謝、Caと骨代謝、腎臓疾患、透析療法
特に腹膜透析領域に精通している

【ドクターの一言】
水、ナトリウム、カリウムなど電解質の代謝は人体では精密に調節されていますが一度破綻をきたすと様々な症状が出ます。この番組で異常事態に対するノウハウを得て頂き健康な生活に努めて下さい。

〈素朴な疑問〉

データ私たち人間をはじめ、ありとあらゆる生命の源、それは海。そう、全ての命は海の中で生まれ、育ちました。その後、私たちの遠い祖先は陸上へと進出。この進化は体内に海、つまり水分を蓄えることができたからこそなのです。何と私たちの身体は60%が水分!体重が70キロの人なら、体内にはおよそ42リットルものデータ水があるのです。でもそう言われて、思い当たる体内の水分は、血液や尿くらい!しかし皮膚や体内の臓器にも、大量の水分が含まれているのです。例えば脳。脳の実に75%は水分で出来ています。心臓は、実に79%が水分。同様にも79%が水分!全く水分と縁のなさそうなにさえ、22%も!!体内の至るところにある水分。でも、体の中の水分は、一体何をしているのでしょう?北里大学 医学部・河原克雅先生は、腎臓生理学の第一人者。腎臓によってコントロールされる水の動きや病気との関わりを調べ続けていますデータ。まわりの気温が急激に上がっても、逆に急激に下がっても私達は体温を一定に保っています。水分があるおかげで、体温を約36度5分に保つことができるのです。さらに!もう一つ水分は大切な働きをしています。体内の水分は、身体が必要とする酸素や栄養素を運ぶためになくてはならない存在でもあるのです。例えば、肺で取り込まれた酸素は血管の中を流れる水分、血液によって体中に運ばれます。血管はいわば体内の高速道路。体が必要とする酸素や栄養素を素早く、全身に送るのが血液の役目!但し、身体の細胞には血管が通っていない所もたくさんあります。データ実は、血管が通っていないところに酸素が送られるのも体内の水分が関係しています。これは、細胞の拡大写真。丸い核を中心に、細胞は水分で満たされています。そして、細胞と細胞の間に隙間があるのが分かりますか?実はここにも水分があるのです。細胞と細胞の間にある水分は、一つ一つの細胞に酸素や栄養素を運ぶための言わば「水の道」。血管で運ばれる酸素は、その後血管から細胞の間の水分内へ、そしてゆっくりと各細胞まで運ばれるのです。体の隅々までに栄養素を運ぶ体温を一定に保つ。私たちの体にとって、水分とは、掛け替えのない存在なのです。
『水分』とからだ
データ私たちの体内にある水分。もし、この水分が急激に減るようなことが起こると… 身体に様々な異常が発生!例えば、全身のおよそ2%の水分が減少すると、喉の渇きを感じます。およそ6%の減少で血圧の低下や、頭痛、立った時のふらつきが起こります。もし、およそ10%以上データ水分が減少するようなら、筋肉痙攣が起こり、それ以上の水分を失うと、意識がなくなり、しまいには命の危険に陥ります。体の水分の6%以上が失われる。それが脱水症なのです!脱水症を起こす原因。それは短時間に大量の汗をかくこと!たとえば、炎天下でスポーツをして、身体を激しく動かしたり・・お風呂に長時間入ったりすれば、大量の汗をかきます。汗腺から出た汗は気化します。気化する際、汗は体の熱を奪います。いわゆる、気化熱のシステムで皮膚を冷却。こうして私達の体は体温が高くならないようにしています。しかし、汗の量が短時間の間に急激に増えたのに気づかず、データ水分補給を怠っていると脱水症の元!そして、気温がどんどん高くなるこれからの季節、カンカン照りの屋外で、最も気をつけないといけない病気。それが熱中症!熱中症は暑さで体温が急上昇して起きます。若者ならば、炎天下で長時間、労働や、スポーツをしている時が危険。また幼い子供や高齢者の場合は、運動量に関わらず、気温の高い所に長時間いるだけで、熱中症になってしまうことがあります。この熱中症で恐ろしいのは、水分の急激な低下から、体温が急上昇、脳が破壊され死の危険にさらされること!
セルフメディケーションポイント!  

お年寄りだと、身体の水分が減少しても、喉の渇きに気付かず、脱水症になる危険もあります!3時間おきにコップ半分程度の水分を補給しましょう!そしてもう一つ、脱水症を起こすものがあります。お腹をこわして下痢を起こした。実はそんな時も、脱水症に陥りやすいのです。私達の体内では、食べ物から摂取した水分の他に、一日に何と7リットルもの消化液が分泌されています。その水分は、大腸で吸収され、残った水分だけが便として排出されます。しかし、下痢になると!水分は大腸から吸収される前に、体外へと排出されてしまいます!その結果、体内の水分が減少。脱水症を引き起こします。この下痢による脱水症は、自覚症状が現れ難いのが特徴。知らないうちに、発症している場合も多いのです。
セルフメディケーションポイント!  
『水分』と病気

データ私たちは毎日、飲み物や食べ物から、身体に必要な水分を摂っています。でも、日によって食事や飲み物の内容はかなり違います。つまり身体に入ってくる水分量も、実は毎日バラバラ。それでも、身体の水分量は、一定に保たれています。この体の水分量を一定に保っているのが腎臓!腎臓はいわば、水分のコントロールセンターです!ではもしも、この腎臓に異常が起こったら!?データもっとも代表的な腎臓の病気、それが急性腎炎です!腎炎とは、血液を濾過し、尿を作る腎臓内の毛細血管の固まり、糸球体に炎症が起こる病気。糸球体が炎症を起こすと、血液中の毒素や老廃物を濾過する機能が低下します。急性腎炎の原因、それは細菌感染によるアレルギー。免疫異常です。感染する細菌は溶血性連鎖球菌や肺炎菌、ブドウ球菌。これらの菌は、喉や気管に侵入・感染します。すると進入した外敵を排除しようと、まずは、免疫細胞が抗体をつくります。この抗体が病原菌に取り付くため、データその後やっかいなことが!!病原菌と、抗体のかたまりは、血液と共に腎臓に入って糸球体に沈着。今度は白血球が、このかたまりを排除しようと、攻撃をするため、糸球体に炎症が起きるのです。腎炎になると、突然、尿が減ったり、時には血尿が出る事もあります。水分を体外に出せなくなって、体にむくみも現れます。病気の進行に連れて、体の表面だけではなく、内臓にもむくみが!これは、体外に出せなくなった水分が内臓の細胞内に入り込んで細胞が膨らんでしまうため。また、肺の場合は細胞内だけでなく、肺胞の中にも水分が溜まることに!すると、十分に空気を吸い込むことができず、息苦しさに襲われます。急性腎炎は小学校の低学年から、思春期の子供に起こりやすいのが特徴。もし、成人が発症すると慢性化する事もあり、データその場合、腎炎の症状で、一年以上に渡って苦しむ事になります一方、こんな病気も!皆さん、これが何かお分かりですか?これは、腎臓内に出来た石、腎臓結石です。尿を作るため、糸球体が血液を濾過する時、血液中のカルシウム量が何らかの理由で多くなっていると、カルシウムが固まって、結石を作るのです。ではその症状は?腎臓に結石がある段階では、痛みは感じられません。そう、腎臓結石は自覚症状が少ない病気なのです。しかし時には、カルシウムの結石が、腎臓一杯の大きさになってしまう「サンゴ状結石」ができる場合も!こうなると、正常に尿を作り出すことも無理なら、データ膀胱へ尿を送り出すことも困難。腹痛や血尿が出はじめます。そして近年、日本で増え続けている腎臓病が「糖尿病性腎症」です。糖尿病によって、糸球体が徐々にダメージを受けてしまう。これが糖尿病性腎症です。ダメージによって糸球体からタンパクが漏れ出すと、むくみや高脂血症の引き金となります。更に、この糖尿病性腎症が進行すると…「腎不全」を起こす可能性も!腎不全で腎機能が大きく低下すると正常な尿が作られなくなり、老廃物の排泄や体内の水分コントロールが不可能になります。すると、血液中に様々な尿毒素が増え、尿毒症を併発します!やがて、尿毒素が体中を巡ってしまうこととなり、死に至る危険性も出てきます。腎不全が進行。腎臓の機能が大きく悪化して、生命を維持していけないと判断された場合、透析療法が行われます。現在、透析療法には血液透析と腹膜透析、二つの方法があります。血液透析は、血液を血管から体外に取り出し、データ人工腎臓を通す事で、毒素や老廃物、余分な水分を濾過して体内に戻す方法。一方、腹膜透析はお腹の中に透析液を入れることで血液中の毒素や老廃物、余分な水分を排除する方法です。まず、おへその下、1、2センチ程の所から、お腹の中に細長いカテーテルを入れて、透析液を約2リットル注入します。すると浸透圧の作用で、腹膜から透析液の方に毒素や老廃物、水分が入ります。後はこの液を排出するだけ。腹膜透析は現在注目されている治療法です。
セルフメディケーションポイント!  

セルフメディケーション
〜からだにいい生活〜
データ身体の水分バランスを保つ、そのためには、シッカリとした水分補給をしなければなりません。水分補給を考える上で、重要なタイミングがあります。そのタイミングとは?女子栄養大学の工藤秀機先生は人間の身体と水分、そして血液の関係を、研究されています。また同時に、先生は腎臓内科の臨床医でもあります。データ水分補給を考える上で最も重要なタイミング。それは、朝起きた直後。寝ている間に、汗などで身体から水分が出てしまうと、血液中の水分が減少。血液はドロドロの状態になります!これは血液中に血栓を作りやすい状態。もしも、血栓が出来てしまい、心臓の冠動脈に詰まれば心筋梗塞!脳の血管に詰まれば、脳梗塞を起こしてしまうことに!そこで水分補給に、先生オススメの飲み物があります!野菜ジュースには、水分が含まれているのは勿論、酸性に傾いた血液を、元に戻す作用もあります。実は、血液中の水分が減少すると、血液のペーハーは少し酸性に傾きます。この血液のpHを元に戻すためにも、野菜ジュースは最適という訳です!データ更に、野菜ジュースに含まれているブドウ糖には、脳の働きを良くして、寝起きの頭をスッキリさせてくれる作用もあるのです。そして温度10度は、吸収しやすさのキーワード!素早い吸収、それには早く胃を通過して、小腸へ移動させたい!実は水分は約10度の際に、胃を一番早く通過出来るのです。そして寝る前の水分補給にも、データ先生オススメのものがあります。麦茶はカフェインが少ないため、胃に優しく、寝る前でも寝付きが悪くなりません。しかも、普通の水より、吸収されやすいのです!寝る前は麦茶、起きたら野菜ジュース。この二つがおすすめです!更に先生から、こんな注意が!下痢や短時間に大量の汗をかいた場合、血液中の水分と共に、塩分も排出されます。このとき大量の水を飲むと、一旦は血液中に水分が入ります。しかし、細胞内の水分の方が塩分濃度は高いため、血液中の水分は細胞に入ってしまい、結局、血液はまたデータ水分不足に陥ってしまうのです。それを防ぐ方法はありませんか?そう、大切なのは、身体の水分に最も近い濃度の塩水を飲む事です。その目安は塩分濃度0.8%。たとえば、コップ一杯、250mlの水に塩2グラムを溶かすと、0.8%の食塩水になります。この水なら、細胞内の塩分濃度と変わりなく、血液の水分が細胞に取り込まれずに済む訳です。データさて、これからの夏場、大汗をかいた後、何か水分補給にいい食べ物はないでしょうか?スイカは90%が水分。いわば甘い水の固まり。さらにスイカに塩をふりかけて塩分も補給できれば万全です!睡眠の前後には、麦茶や野菜ジュース。激しい下痢を起こしたり、スポーツで大汗をかいた時には、0.8%の塩水。日頃から水分補給には気を使って生活しましょう!

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