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2005年5月15日(日)、22日(日)
テーマは『紫外線』

今週のドクター
今週のドクターは、
旭川医科大学 皮膚科
飯塚 一先生


【略歴】

’73年

北海道大学医学部卒業

’74年 米国マイアミ大学研究員
’78年 北海道大学医学部皮膚科助手
’86年 同大学医学部皮膚科教授
専門は皮膚悪性腫瘍、角化症、など
日本皮膚科学会理事

【ドクターの一言】
患者さんは、本当に言いたいこと、聞いて欲しいことをなかなか話せない状況にある、ということを忘れないようにしています。


【著書】
「最新皮膚科学大系」   中山書店
「皮膚科専門医テキスト」   南江堂
「NEW皮膚科学」   南江堂
「今日の治療指針:皮膚科疾患責任編集」   医学書院

〈素朴な疑問〉
〜紫外線って何?〜

データ容赦なく照り付ける厳しい日差し。日焼けは勿論、シミ、ソバカスなどの原因になるのが紫外線!今から夏の終わりにかけての長い間、女性の皆さんが外出する時、特に気をつけているのは…そう、紫外線対策です!日傘をさしたり、帽子を被る。そうした事で、陽射しを防ぐことは可能。でも、日傘だけでは、降り注ぐ紫外線の50%程度しか防げないんですよ!紫外線は、陽の光が差さない所にも、実は潜んでいます。紫外線は空から、真っ直ぐ降り注ぐだけではありません。空気中で、水や酸素の分子とぶつかって散乱したり、地面で反射しています。例えば、紫外線がアスファルトやコンクリートに当たると、データその約20%が反射!また、芝生や土に当たっても、約10%の紫外線が反射します。そのため日傘や帽子で直射日光を遮っていても、紫外線の約50%は我々の体に届いてしまうのです。光の差さない涼しい木陰。ここにも日向の40〜50%の紫外線が、届いているのです。ところで近年、天気予報でも、毎日の紫外線の強さを予報していますね。でも、紫外線は目に見えないはず。データどうやって計っているのでしょう?東海大学総合科学技術研究所 佐々木政子教授「ここでは太陽から地上に降り注ぐすべての光を測っています。センサーでUVBを測っています。」地上に降り注ぐ紫外線には、波長の短いUVB、波長の長いUVAの二種類があるのは、皆さん、データもうご存知ですよね。紫外線は、UVA、UVB、それぞれ別々のセンサーで計測しています。更に黒いバンドで直射日光を遮ったセンサーで、散乱や反射した紫外線も測定します。センサーが捉えた紫外線の量は解析され画面に映し出されます。日の出から次第に紫外線量が増大します。データ太陽が一番高い位置にくる11時〜12時ごろが最も紫外線の多い時間帯。ところでUVAとUVBは、波長以外にどんな違いがあるのでしょう?私たちが浴びている紫外線。実はそのうち90〜95%を、UVAが占めています。このUVAに当たると、皮膚の細胞でデータ色素のメラニンが作られます。このメラニンの発生によって、肌が日焼けを起こしたり、更には、シミやシワも出来てしまうのです。このUVAは窓ガラスを簡単に通り抜けます。そのため家の中にいても、知らないうちに紫外線を浴びてしまうのです。でも、そんなUVAより遥かに恐ろしいのがUVB!「UVBは私たちの体をつくっているDNAを壊してしまいます。」UVBの大半は、地球を取り巻くオゾン層に吸収されるため、実際に地上に届く量は、データ紫外線全体の、僅か5〜10%程度に過ぎません。しかし、UVBはUVAの何と1000倍以上も有害!!UVBが当たると、その部分の皮膚細胞のDNAに、傷がついてしまいます。すると、恐ろしい皮膚がんができます!目に見えない紫外線の恐怖。でも実は、大がかりな測定器がなくても、紫外線の強さが簡単に分かるものが、ありました。それがこのフリスビー!勿論、ただのフリスビーではありませんよ!「これは紫外線をはかる道具、紫外線発見フリスビー。」データ表面に塗られた特殊な塗料が紫外線に反応。ほんの数秒で、紫色に!紫外線が強いとこの色はもっと濃くなるんですよ!例えばブラインドの隙間からさしている光に当たれば、光の当たった所だけが変色してマダラ模様になります。紫外線の量が分かりやすいこのフリスビー、紫外線への警戒意識が強い、アメリカで、市販されています。シミや皮膚癌の原因として、近年完全に悪者扱いの紫外線!でも、生きてゆくため、実は紫外線を利用している生き物もいます。しかも、何とその生き物には、紫外線が見えるのです!その生き物とは?横浜市立大学理学部 蟻川謙太郎教授「我々人間には紫外線は見えません。データしかし紫外線を見ることが出来る動物は沢山います。鳥、とかげ、魚、昆虫などです。紫外線が見えるということには、それぞれの生物にとって意味があります。昆虫ですと、花から蜜を集めるときに紫外線を一つの色として見て、その紫外線のパターンが作り出している模様を見るということが考えられる。」私たちの眼には、データ黄色にしか見えない花が、紫外線フィルターを使って、撮影すると、花の中心、蜜のある所は白く映り、そのまわりの花びらは黒く見えます。蝶には花がこのように見えています。実はこれ、花が蝶に蜜のある場所を教えるサイン。白い部分には紫外線を反射する物質があり、蝶はこれを見て蜜のある場所を特定しているわけです。「蜜蜂は特に空の紫外線を見て飛ぶべき方向を探しているとい事がわかっています。トカゲですと、体の一部に紫外線をよく反射するところがあって、その同種を別の固体(仲間)を見つけるのに役にたっています。」人間の体にとっては、危険な影響の方が大きい紫外線。しかし多くの生き物にとって、紫外線とは、生きて行く上で欠くべからざる存在でもあったのです。
『紫外線』とからだ
データ絶えず降り注いでいる紫外線。それは私たちの身体に、どのような影響を与えているのでしょう?紫外線には、体にいい働きも実はあるのです!最初のよい働きは「骨をつくる手助けをする」こと!実は、ビタミンDの合成をする働きが紫外線にはあります。我々が食物から摂れるビタミンDは、身体に必要な量の僅か半分。残る半分は、紫外線の働きにより、皮膚の細胞で合成されます。このビタミンDは、骨を作るために必要な成分!そう、データ紫外線はビタミンDの合成を通じて、骨作りの手助けをしていたのです。但し、無理に日光浴をする必要はありません。ビタミンDの合成には、ふだんの生活で浴びている量の紫外線で、十分なのです。紫外線の良い働きその二。皮膚病の治療に効果がある!紫外線の中でも波長の短い紫外線には、リンパ球を殺す特徴があります。この性質を利用。リンパ球などの自己攻撃によって、データ皮膚の細胞が異常に増殖してしまう乾癬や・・重傷のアトピー性皮膚炎の治療に効き目を発揮しています。しかし!深刻なのは紫外線に身体を害する働きがあるということ!最初の悪い働きは「肌にシミを作ること」一度に大量の紫外線を浴びると、皮膚は日焼けを起こします。日焼けは医学用語では「日光皮膚炎」。つまり、太陽光線による「やけど」ですね。日焼けして赤くなった皮膚は、やがて黒ずんできます。これは紫外線を受けて、皮膚の表皮細胞が色素細胞に、「黒の色素メラニンを作れ!」という指令を発するため。色素細胞で作られたメラニンは、次第に周辺の表皮にまで広がります。それが定着すると、「シミ」になるという訳です。ところで、シミが若い人より、データお年よりに多いのは何故でしょう?紫外線を若い頃から長年浴びてきたお年よりは、色素細胞が異常を起こし、本来の反応以上にメラニンを作ってしまうのです。つまり、若い人と同じ量の紫外線を浴びても、メラニンの生産量が多いため、直ぐにシミになってしまうのです。悪い働きの二つ目!深いシワも実は紫外線が犯人!長い間、データくり返し日光を浴び続けていると、肌がくすみ、皮膚の弾力も失われ、深いシワが出来てしまいます!それが「光老化」によるシワ。歳を取ったため、自然に出来るシワとは全く違います!でも何故、紫外線で深いシワが出来るの?紫外線が表皮の奥にある真皮まで達すると、そこである酵素が作られます。この酵素が作用して、皮膚にハリや弾力をもたらしているコラーゲンやエラスチンなど、大切な繊維を切断していきます。そのため皮膚がたるみ、元に戻らなくなって、深いシワが出来てしまうのです。
セルフメディケーションポイント!  
『紫外線』と病気
データ強い紫外線が原因となって起きる、最も危険な病気!それは・・・「皮膚癌」。最初は黒いシミ状だったものが、進行するとご覧のような潰瘍になってしまいます。皮膚癌は従来、肌の色の薄い欧米人に多い病気。そう言われてきました。しかし、環境破壊で紫外線を吸収するオゾン層が減少したため、近年は日本人など黄色人種でも、 発症の確率が高まっています。では、何故 紫外線によってがんが出来るのでしょう?紫外線の中のUVBによって、まず皮膚細胞の遺伝子に沢山のデータ傷がつきます。この異常な細胞が増えると、悪性腫瘍になります。但し私たちの体内には元来、たとえ癌細胞が発生しても、これを破壊するリンパ球があり、癌を防いでくれます。ところが紫外線は、何とこのリンパ球を破壊してしまうのです。つまり、紫外線は癌を作り出すばかりでなく、癌細胞の増殖を抑える体内のシステムまで破壊。皮膚癌を発症させやすくデータしてしまう訳です。紫外線によって発症する皮膚癌。そのうち、近年、中高年世代に急増しているのが、基底細胞癌(きていさいぼうがん)です。このがんが出来やすいところは、目の下から唇にかけて。進行すると中心が潰瘍となり、そこから出血する場合もあります。ただし痛みやかゆみなどの症状は出ません。この基底細胞がんは転移することは殆どありません。最近、特に40歳以上の発症が増えているので、中年の方は注意して下さい。データ一方、高齢者に発症しやすい皮膚癌が有棘細胞癌。(ゆうきょくさいぼうがん)この有棘細胞癌は頬や耳、下唇、手の甲などに、出来やすいのが特徴です。また、発症した皮膚の表面を触るとザラザラしたり、進行すると潰瘍になることがあります。この有棘細胞癌も、見た目以外の症状はありません。但し、基底細胞癌と違い、リンパ節から内臓に転移する危険性を持っています。この癌は、患者さんの半数以上が70歳以上のお年寄り。高齢者の皆さん、お気をつけ下さい。
セルフメディケーションポイント!  
セルフメディケーション
〜からだにいい生活〜
データシミやシワをはじめとして、紫外線対策や予防を考える場合、何よりもまず大切なのは、常日頃の生活を見直す事です!例えば、元神戸大学の市橋教授からは、こんな研究結果も報告されているのですよ!毎朝東向きに通勤通学する人は、常に紫外線を真正面から受ける事になりますよね。更に午後の帰宅時に、今度は西日の紫外線を、真正面から浴びる事になります。データこれを毎日毎日繰り返していると…気づかないうちに、皮膚細胞の遺伝子が破壊されてしまいます!こうした危険性から身体を守るためにも、帽子や日傘は不可欠ですね!ところで近年、紫外線対策に、日傘は黒が良いと言われてきました。しかし!東海大学・佐々木先生の測定結果によると、紫外線のカット率は、黒い傘も白の傘も、ほとんど変わらないのです!ですから、熱い夏場などは、データ熱を吸収しなくていい、白い日傘の方が寧ろ涼しくてお勧めです!紫外線カットに重要なのは日傘の材質!綿や麻の日傘もありますが、佐々木先生の計測によると、紫外線を一番カット出来るのはポリエステル製。含まれるポリマーが紫外線を吸着するのです。但し、日傘で防げる紫外線は、あくまでも50%程度。そのため、日傘と組み合わせて使うことで紫外線の予防効果を高めるのが…日焼け止め「サンスクリーン剤」がオススメ!サンスクリーン剤には通常、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤が入っています。紫外線吸収剤は、紫外線を吸収します。そして吸収した紫外線を熱に変え空気中に放出することで紫外線から肌を守ります。一方、紫外線散乱剤は紫外線を跳ね返します。データところでサンスクリーン剤を使っている皆さん、アナタは、正しく効果的に使っていますか?実は、それぞれの肌のタイプによって、サンスクリーン剤を使い分ける必要があるのですよ!日本人の肌は大きく分類すると3タイプに分かれます。日焼けで直ぐ赤くなるものの、メラニンの合成が少ないため、黒くはならないデータ日本人の17〜18%が、この「スキンタイプT型」。そして、日本人のおよそ70%を占めるのが「スキンタイプU型」。日に当たった直後、多少赤くなり、そのあと、褐色に変化するタイプです。残る13〜14%の方は、日焼けしても余り赤くならないのに後で黒みが強くなります。これが「スキンタイプV型」。貴方が、紫外線の被害を最も受けやすい「スキンタイプT型」なら紫外線吸収剤の含有量を現すSPF値が10〜50が最適!SPF値とは、何も塗らない肌より、日焼けを何分の1に抑えられるか、を表した数値。SPF値が10なら、データ日焼けは10分の1に抑えられる訳です。スキンタイプU型の方なら、SPF値が10〜30のサンスクリーン剤を、スキンタイプV型の方は、SPF値が5〜20のサンスクリーン剤が肌に適している訳です。紫外線の強い日に外出するときには、サンスクリーン剤を塗って、出かけるようにしましょう。そのときに目安となる紫外線情報。実は2005年5月からWHOによって決められた、UVインデックスという指標が使われるようになりました。この指標は紫外線の強さを1〜13までの数値で表します。数値が3以上なら紫外線対策の必要があるのです。日頃から素材に注意して、帽子や日傘を上手に選び、更に、自分の肌の特質を確認して、サンスクリーン剤は正しく使う。それが、この季節、紫外線から肌を守る基本です!

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