冠動脈に血液が流れていれば、狭心症の発作は起きません。そこで、狭まった血管に代り、血管の元になる患者自身の細胞を
心臓に移植、健康な
冠動脈を新たに
生み出す、という研究が進んでいます。今年7月、九州大学の研究チームでは、特に血管になる可能性が高いとされている「
CD34+」という細胞に注目しました。「CD34+」は元々
骨髄の中の白血球にあり、血液や血管へと育って行く細胞です。しかし、骨髄から取り出すたためには
全身麻酔を行うなど、患者の
負担が大きいのがこれまで難点でした。九州大学では「
G−CSF」という薬を使い、「CD34+」を含む白血球を、患者の
一般的な血液の中で増やす事に成功しました。次に体の外に循環装置を設置。患者の血液を一度その機械に通して
白血球をろ過。「CD34+」だけを取り出して集めます。そして「CD34+」を
心臓に注射。こうして冠動脈が
新しい血管を生み出すのを助け、血液の流れを回復しようという訳です。これまで
高齢者や
貧血症の人など、体力の不足している患者へは、細胞移植は負担が大きすぎて無理でした。しかし、今回の研究でそれらの患者さんへの
治療も可能になりそうです。