「アテローム性動脈硬化」の場合、治療のポイントは狭くなった血管を広げ、正常な血流を確保する事。しかし、カテーテルを使った手術の場合、動脈硬化を解消しても、
手術後何ヵ月かたつと、
再び同じ場所の血管が狭くなってしまう事があります。これを「
再狭窄」と呼びます。この再狭窄が起きてしまう原因。それは私たちの体の中にありました!「
E2F」と呼ばれる血管中膜の筋肉を増殖させる因子と、「
PCNA」と呼ばれる、細胞増殖を調整する遺伝子群が
結合すると、血管の壁が異常増殖。再び血管がせまくなる「再狭窄」を引き起こすのです。但し、二つの結び付きを
阻止しさえれば「再狭窄」もおきません。そこで考案されたのが囮を使う「デコイ療法」この治療は大阪大学で研究されています。「E2F」因子と反応しやすい
人工DNAを開発。この人工DNAを血管内で「PCNA」より先に「E2F」と接触させ、再狭窄が起きるのを防いでしまおうという訳です。まず、人工DNAを
生理食塩水に溶かします。この溶液を
バルーンに塗り、カテーテルで血管に挿入します。そしてバルーンを使って血管を広げた後、人工DNAが
上手く作用すれば、再狭窄が起きなくなるのです。まだ実験段階とはいえ、再狭窄を防げるというデータが確認されています。臨床試験の許可が下りたばかりですが、
動脈硬化治療後の
再狭窄を防ぐ方法として、大きな期待が寄せられています。