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2002年11月17日(日) テーマは『動脈硬化』

今週のドクター今週のドクターは、
順天堂大学循環器内科講師
杢野 浩司先生


【略歴】

’84年 順天堂大学医学部を卒業後、内科医師となる。
米国留学を経て現在に至る。専門は循環器病学・脂質代謝学。

【ドクターの一言】
薬物治療が主体の現代医療において、薬のみに頼らず患者さん自身の病気に対する理解・姿勢が重要であり、その指導に常に心掛けている。病気はなにより予防が大切。


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム
データ脳梗塞や狭心症、心筋梗塞、腎不全。これら死につながる病気の原因の一つが動脈硬化。そう、動脈硬化という病は数多くの恐ろしい病気の元となっているのです。動脈硬化が起こると、血液の通り道が狭くなり、やがて血管の中に血栓が出来て血液が十分通わなくなってしまいます。狭くなった血管は血液の流れが悪くなり、体の細胞に必要な空気や栄養を送り込めなくなります。このダメージがやがて、様々な病気を引き起こすのです。動脈硬化にもいくつかの種類があります。人間の血管の壁は、実は三つの層に別れています。中膜は筋肉組織の一つ平滑筋細胞で出来ており、血液の流れが生む血圧などによって血管が伸び縮みする際に必要な、弾力を生み出しています。しかし、年齢につれて体全体の筋肉と同じように、血管中膜の筋肉も衰え、文字通り弾力のない堅い血管になってしまいます。しかし、このタイプの動脈硬化はあくまでも老化現象の一つ。深刻な病気を引き起こす物ではありません。問題なのは「柔らかい動脈硬化」なのです!血管の壁の一番内側の内膜は血管壁を守る重要な働きがあります。内膜についたから動脈硬化は始まります。傷の出来る原因は色々ですが、高血圧など血圧の変化によって、血流が血管の壁にぶつかることまた、体内で作られるホモシステインという物質も原因の一つ。これは人間の体が代謝活動をする際、アミノ酸から作られる副産物ですが、体質や生活習慣で体内に大量に残ると、血管の内膜を傷つけてしまうのです。データこうして出来た傷に集まるのが、血液中のコレステロール。本来、コレステロールは細胞膜を作るために必要な材料。正しく使われれば問題はありません、ところが、血液中のコレステロールの量が多いと、傷口に過剰なコレステロールが集まります。これがやがて活性酸素によって酸化され、「変性コレステロール」となります。血管の壁にくっついて廃棄物となった「変性コレステロール」を取り除こうと、白血球の中のマクロファージがやってきます。元々、マクロファージは体内に侵入した細菌など、異物を食べるのが役目の掃除役。データマクロファージが近づいてくると変性コレステロールは血管の内膜の傷からさらにその下にもぐり込みます。するとマクロファージも追いかけて、血管の中に入り込みます。血管壁の中で、コレステロールを食べたマクロファージがどんどん大きくなります。やがて、自分で処理できないほど食べ過ぎてしまったマクロファージコレステロールと交じって、お粥のような泡沫細胞に変化します。これが、血管の壁を持ち上げて、血液の通り道を狭めてしまうのです。やがて泡沫細胞は弾け、血管の中に出てこびりつく。これが「柔らかい動脈硬化」のメカニズムです。データこのタイプは「アテローム性動脈硬化」と呼ばれています。「アテローム性動脈硬化」によって引き起こされる危険な病気のうち、近年、ASOという病気が急増している事を、皆さんはご存知でしょうか。ASOで言うと、下肢閉塞性動脈硬化症のこと具体的には、下半身に向かう動脈に「アテローム性動脈硬化」が起こり、足に血液が行き届かなくなります。その結果、下半身に様々な障害が現れる、という訳です。ASOが進行すると、百メートル歩いただけで足に痛みや痺れが現れ、歩行困難になります。やがては、筋肉や皮膚が壊死する脱疽にもつながってゆきます。「アテローム性動脈硬化」を進展させ。様々な病気へ導く原因とは何でしょう?それは例えば、喫煙の習慣やストレスの多い生活。栄養の摂りすぎによる、肥満高脂血症など。生活習慣の中の危険因子が増えれば増えるほど動脈硬化が進み恐ろしい病気を引き起こします。動脈硬化による病を防ぐか進めるか、それは貴方の生活習慣にかかっているのです。
アテローム性動脈硬化のメカニズム
血管の壁に傷ができる
(原因:血圧、感染、ホモシステインなど)
傷口に集まったコレステロールが変性する
変性コレステロールをマクロファジーが取り込んで泡沫細胞になる
集まった泡沫細胞が血管の壁を
押し上げて血管腔が狭くなる

アテローム性動脈硬化の危険因子
改善できないもの
老化・性別(男性)・遺伝(家族歴)
改善できるもの
高脂血症・糖尿病・喫煙
高血圧・肥満・ストレスなど
EXAMINATION 検査
【血圧脈波検査】
両手、両足に血圧計、両手首に脈波計をつけます。胸に心音マイクをつけて年齢・性別・身長・体重を入力し検査開始します。
ABI = 足首最高血圧/上腕最高血圧
0.9以下だとアテローム性動脈硬化の疑いあがあります。
PWV = 脈の伝わる速度から血管壁の硬さがわかります。
【血管内視鏡検査】
内視鏡の直径は、1.1mm。血管内部を観察するため、バルーンで血流を止める必要があります。30秒間のみ観察が可能です。
触診 ASOが疑われるときに行う
太もも、膝のうら、足の動脈に触れる
血圧脈波検査 上半身と下半身の血圧比
動脈の狭窄がわかる
脈波伝播速度
血管壁の硬さがわかる
CT・MRI検査/
血管造影検査
動脈硬化の場所や状態を調べる
血管内視鏡検査 血管内視鏡で直接血管内の状態を調べる

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【血圧脈波検査】
 
【血圧脈波検査】
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【血管造影検査】
 
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【血管内視鏡検査】
 
【血管内視鏡検査】
MEDICAL TREATMENT&MEDICINE 治療と薬
運動療法 / 薬物療法
カテーテルを使って血管腔の狭窄を解消する
 ・バルーン バルーンバルーンによる血管拡張
 ・ステント ステント狭窄部位を押し上げる
 ・DCA 狭窄部位をカッターで切り取る
 ・ロータブレーター ロータプレーター狭窄部位を削り取る
バイパス手術
人工血管や体内の動脈を使って、狭窄部位を迂回するバイパスを作る
【ステントを使った治療】
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データ【バイパス手術】
広い範囲で血管が狭まってカテーテルでは対応しきれない場合に行います。
FRONTIER 最先端技術
データ「アテローム性動脈硬化」の場合、治療のポイントは狭くなった血管を広げ、正常な血流を確保する事。しかし、カテーテルを使った手術の場合、動脈硬化を解消しても、手術後何ヵ月かたつと、再び同じ場所の血管が狭くなってしまう事があります。これを「再狭窄」と呼びます。この再狭窄が起きてしまう原因。それは私たちの体の中にありました!「E2F」と呼ばれる血管中膜の筋肉を増殖させる因子と、「PCNA」と呼ばれる、細胞増殖を調整する遺伝子群が結合すると、血管の壁が異常増殖。再び血管がせまくなる「再狭窄」を引き起こすのです。但し、二つの結び付きを阻止しさえれば「再狭窄」もおきません。そこで考案されたのが囮を使う「デコイ療法」この治療は大阪大学で研究されています。「E2F」因子と反応しやすい人工DNAを開発。この人工DNAを血管内で「PCNA」より先に「E2F」と接触させ、再狭窄が起きるのを防いでしまおうという訳です。まず、人工DNAをデータ理食塩水に溶かします。この溶液をバルーンに塗り、カテーテルで血管に挿入します。そしてバルーンを使って血管を広げた後、人工DNAが上手く作用すれば、再狭窄が起きなくなるのです。まだ実験段階とはいえ、再狭窄を防げるというデータが確認されています。臨床試験の許可が下りたばかりですが、動脈硬化治療後再狭窄を防ぐ方法として、大きな期待が寄せられています。
SELF MEDICATION 自己管理














データ
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アテローム性動脈硬化の始まりは血管に出来る傷。この傷を作るのが、体内でアミノ酸から作られるホモシステインです。ホモシステインは元来、人が生きて行く上で必要な代謝活動によって生じる物質。しかし、その生産量は個人の体質によって差があります。つまり、その産出量を減らせば、アテローム性動脈硬化の予防にもつながる訳です。ホモシステインを体内から減らしてくれる栄養素が「葉酸」です。では、葉酸はどんな食物に含まれているのでしょうか?
【葉酸を含む食品】
葉酸はレバーホウレンソウモロヘイヤなど、意外と身近な食物に多く含まれている栄養素なんです。 動脈硬化が原因となる病気が、社会的な問題となっているアメリカでは、(FDAが)オレンジジュースや穀物に葉酸を添加する事を奨励しているほど!
【ビタミンB6、B12を含む食品】
その一方、ビタミンB6やB12の摂取が不足すると、体内でホモシステイン増加する事も分かっています。ビタミンB6を含むサバサンマそら豆。ビタミンB12を含むシジミアサリタラコ。ふだんから適切に摂取するよう心掛けましょう。
動脈硬化の発症や進行は我々の日常と密接な関係あり!
生活習慣
に気をつけて、動脈硬化から身を守りましょう

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