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2002年8月11日(日) テーマは
前立腺肥大症

今週のドクター今週のドクターは、
井口腎・泌尿器科 院長
井口 靖浩 先生


【略歴】

’87年 鳥取大学医学部卒業。同年、東京女子医科大学腎臓病
   総合医療センター入局。
’90年 同大学泌尿器科助手を経て、
’01年 医療法人社団 弘仁勝和会 井口腎・泌尿器科 開院。

【ドクターの一言】
移植医療も含めた腎不全医療全般に深い経験と知識を持ち、“腎臓を守ろう”をスローガンに予防医学を含め、日夜、懸命に地域医療に励んでいる。


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム
最近、オシッコの出が悪い。全部出しきった筈なのに尿が残ったような不快感がある。貴方がもし50歳を越えた男性なら、それは前立腺肥大症の可能性あり!前立腺は男性特有の臓器。膀胱の真下で重さ15〜20グラム。 大きさはクルミくらい、真ん中を尿道が通っています。
前立腺肥大症とは、前立腺が大きく肥大して、膀胱尿道圧迫、その結果、尿がスムースに出なくなり、 排尿の異常や障害を起こす病気です。全ての男性は早いと30代から前立腺は肥大しだし、やがて50歳を過ぎた頃から自覚症状が現れます。
【前立腺肥大症の症状】
第1期
睡眠中に尿意で何度も目が覚める
尿の出が悪い
第2期
さらに尿の出が悪くなる
残尿
第3期
極端に尿の出が悪くなる
大量の残尿
EXAMINATION 検査
【前立腺肥大症の検査】
【IPSSスコア】
質問(過去1ヶ月間の平均)
・排尿後に尿が残っている感じがありましたか。
・排尿後2時間以内にもう一度トイレに行かなければならないことがありましたか。
等7問の質問事項からなり、採点を行い自覚症状のチェックを行います。

【直腸内指診】

【血液検査】

【尿流量検査】

【超音波診断】

【X線診断】

【X線診断】

MEDICAL TREATMENT&MEDICINE 治療と薬
【前立腺肥大症の薬物療法】
α-1ブロッカー 交感神経に作用するs
抗コリン剤
膀胱自体の緊張をやわらげる
ホルモン剤
男性ホルモンを制御する

【前立腺肥大症の治療】
永久的前立腺内ステント
金属性のステントで尿道を広げる
経尿道的高温度治療
肥大部分をマイクロ波で焼く
内視鏡的前立腺
レーザー切除術
肥大部分をレーザーで切り取る
経尿道的前立腺内
ニュードルアプレーション
肥大部分にニードルを刺し
高温で細胞を蒸発させる
経尿道的前立腺
切除術(TURP)
肥大部分を電気メスで削り取る

【永久的前立腺内ステント】

【経尿道的高温度治療】

【切除術(TURP)】
FRONTIER 最先端技術
前立腺肥大症の治療薬として、近年注目を集めているのが「5α還元酵素阻害剤」。この薬は「抗男性ホルモン」の一種で、現在すでにアメリカでは使われています。
前立腺の肥大はホルモンの「ジヒドロテストステロン」、DHT作用して起きるもの。このDHTは、生殖器に働く男性ホルモン「テストステロン」が元になっています。
精巣で分泌された「テストステロン」は、前立腺の細胞内に移動してから「5α還元酵素」という酵素の働きで、「ジヒドロテストステロン」に生まれ変わります。 つまり、「5α還元酵素」が働かなければ、前立腺は肥大しない訳です。
5α還元酵素阻害剤」は、この「5α還元酵素」の働きを阻害する薬なのです。 この薬の作用により、前立腺細胞の中のDHTが80%から90%も減少した研究結果もあり、肥大の抑制に、今後更に効果が期待されています。
また現在、泌尿器科の学者たちは前立腺肥大症治療の新しいアプローチとして「エタノール注入療法、EIP」の確立に取り組んでいます。
「EIP」は内視鏡を用いて、尿道から肥大した前立腺の細胞に「無水エタノール」を注入する手術。「エタノール」が前立腺に注入されると、その作用で細胞内の水分は失われます。そのため、肥大した細胞が潰れて前立腺が縮小するという訳です。この治療のメリットはあまりお金がかからず、治療自体も手軽に出来るという事!
この治療法は、元々肝臓の治療で行われていたものですが、近年、前立腺肥大症の治療にも使われて結果を出せるようになり、大きな期待を集めています。
SELF MEDICATION 自己管理









前立腺肥大の初期、夜間頻尿が起きると、どうしても水分を摂らなくなってしまいがちになります。しかし、これが実は大間違い!わたしたちは定期的に排尿する事で、実は、尿道や膀胱にはびこるバイ菌を洗い流しているのです。
しかし、水分の摂取が足りなければ排尿も少なく、結果バイ菌が繁殖して尿道炎・前立腺炎・膀胱炎を招く恐れが高まります。
但し、水分としてビールを沢山飲むのは、尿量が増えて一見よさそうですが、アルコール類は前立腺を充血させる作用があるので感心出来ません。また、いくら水分の摂取が大切でも、夜8時以降は夜間の排尿回数を抑えるため、水分は控えるべきでしょう。
前立腺肥大症が進んで夜間頻尿が酷くなると、睡眠不足になり、抵抗力も低下します。この場合、夜8時以降は水分を摂るのを控えるだけでなく、夕食の塩分を控える事も大切!塩分を摂りすぎると、どうしても喉が渇き、必要以上に水分を摂ってしまうからです。食事の塩分はなるべく控え、水分の過剰な摂取を防ぐよう、細かく注意しましょう。
事務職や文筆業などの人は運動不足になりがち。長時間座っていると体重の圧迫で前立腺は鬱血してきます。
すると、前立腺肥大が早く進行する恐れが出てきます。
予防のため、適度な運動を、毎日20分〜30分行う習慣をつけましょう。特に下半身が冷えると血液循環が悪くなってしまい、前立腺も鬱血します。
体を温めるにはお風呂が一番!ぬるめのお湯にゆっくり浸かり、十分に全身を温めて下さい。

辛い食べ物も前立腺を刺激して充血させる元。特に第二期や第三期の症状の場合は、その刺激が、突然の「尿閉」をもたらす危険性もあるので、気をつけましょう。
前立腺肥大症は元来、欧米に多い病気でした。しかし、ここ数年、日本でも病気の発生率が高まり、将来的にも発症は増加を続けると考えられています。このように前立腺肥大が日本でも増えた要因の一つは食生活にあり!欧米の食生活は繊維質が不足しがちで、便秘になりやすいもの。するとその際、直腸内に溜まった便は前立腺を刺激して、肥大を招く恐れあり!
前立腺の肥大は全ての男性に起こる現象ですが生活や食事に気をつけることで、症状の発生や進行を防ぐことが出来るのです。

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