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2002年7月21日(日) テーマは『熱中症』

今週のドクター今週のドクターは、
東京医科大学病院 救急医学
佐々木 博一先生


【略歴】

’91年 東京医科大学医学部卒業。同大学救急医療センター入局
’92年 川崎市立川崎病院心臓外科で研修。
’98年 より現職。

【ドクターの一言】
モットーは「病を憎んで人を憎まず」救急医療の患者さんは突然の
発病等心の準備がないままでの入院治療です。患者さんや家族の状況・立場を考慮し辛抱強く病状の説明をし治療する事を心掛けます。

【著書】
 「標準治療(分担執筆)」 日本医療企画
 「Emergency Bible(分担執筆)」 メディカルレビュー社


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム
熱中症は一過性の軽い病気と考えがちですが、腎臓肝臓などの内臓や血管を痛め、血液の循環に問題を起こし、さらには、に重大な障害を与えてしまうこともあります。
処置が遅れれば取り返しのつかないこともある恐ろしいもの死亡する例もあります。
熱中症が増えるのは、最高気温30℃以上、平均気温26℃以上。
【熱中症の種類】
I度
日射病 軽度の失神、脈拍が速くなり拍動が弱くなる
熱痙攣 手足や腹筋に痛みを伴った痙攣が起こる
II度
熱疲労 めまい、疲労感、頭痛、失神、吐き気、嘔吐などの症状が同時に起こる
III度
熱射病 意識障害、臓器障害、発汗の停止

熱中症は体温調節のトラブルです!!
EXAMINATION 検査と応急処置
【熱中症の応急処置】
1.意識の確認
(意識確認内容)
名前
日付
場所
2.熱中症の手当て
※下表参照
休息
冷却
水分補給

3.痛覚刺激

胸骨の上を拳で押す
【熱中症の手当ての基本】
(1)休息 木陰やクーラーの効いた涼しい場所に移動し、衣服を緩める
(2)冷却 濡れタオルや缶ジュースなどで冷やす
 ・目の周りや耳の後ろ
 ・わきの下、首、太ももの付け根など
(3)水分補給 水分だけでなく塩分を一緒に補給する
※意識がはっきりしているときだけ行う

MEDICAL TREATMENT&MEDICINE 治療と薬
【熱中症の治療】
体表冷却

冷却マットを使用して体温の調節を行う

体腔冷却 胃に冷却した生理用食塩水50ccを3回送り、
温まったらもう一度抜き取り、新しい食塩水を送る
血液浄化法 人工透析器を使用し、血液の浄化・冷却を行う
栄養補給の点滴も冷却したものを使用する


FRONTIER 最先端技術

暑さに強いたんぱく質
アメリカ軍兵士達が熱中症にかからないようにするため、考え出されたWBGT
WBGTとは暑熱指標のことで、人間の体にかかる熱ストレスを、気温湿度、光反射で起きる熱である輻射熱から数値化したもの。
近年、このWBGTを簡単に計測できる暑熱環境計が開発された。スイッチを押すだけでその場の危険値が0〜50℃で表される。
日中にこの暑熱環境計をかざす。
例えば28℃は激しい運動を避けなさいという目安。労働現場の許容基準例によると30.5度から軽作業、32.5度から極めて軽い作業にとどめなさいという事になっている。
またスポーツでは、31度以上で運動は原則中止という具合。このように熱中症を予防する目安を簡単に知ることができる。

【労働現場の許容基準例】

WBGT ℃
許容作業
32.5
極軽作業

30.5

軽作業
29.0
中等度作業(1)
27.5
中等度作業(2)
26.5
重作業

【スポーツ活動の例】

WBGT ℃
許容作業
31℃以上
運動は原則中止

28℃以上

激しい運動は中止
25℃以上
積極的に休憩
21℃以上
積極的に水分補給
21℃未満
適宜に水分補給
SELF MEDICATION 自己管理
【直射日光を避ける!】
外出するときには直射日光を避けるために必ず帽子をかぶるか日傘をさす事を忘れずに。
 
【水分と塩分の補給!】
当然、水分補給も大切。のどが乾いてからの水分補給ではちょっと遅いくらいです。1時間に1回を目安に水分、そして塩分の補給もしましょう。

水よりも塩分やミネラルの入っているスポーツドリンクが最適!!
20cc〜50ccの水分をこまめにとる。


【室温の調整!】
エアコンで室温を整えるのも大事。エアコンが嫌いだという人は、少なくとも窓を開けて空気を入れ換え、室内の気温や湿度が上昇しないように注意しましょう。

【体重管理!】
そしてもう一つ体重管理も大事です。夏場は、外出する前と外出した後で体重を量って下さい。
少しの外出でも予想外に水分を失っているものです。体重は健康のバロメーター、こまめに体重をチェックし、水分の喪失を知っておきましょう。
また、体重があまり減っていると、体力が低下し、熱中症にかかりやすくなるのでご注意を。
自分の体調をしっかり管理して、熱中症をよせつけないように心がけましょう!

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