今週のドクターは、 順天堂大学循環器内科講師 杢野 浩司先生
【略歴】 ’84年 順天堂大学医学部を卒業後、内科医師となる。 米国留学を経て現在に至る。専門は循環器病学・脂質代謝学。
【ドクターの一言】 薬物治療が主体の現代医療において、薬のみに頼らず患者さん自身の病気に対する理解・姿勢が重要であり、その指導に常に心掛けている。病気はなにより予防が大切。 【著書】 からだの科学「動脈硬化と心臓病」 日本評論社 私のガイドライン「コレステロール」 メディカルレビュー社
動脈硬化は、悪玉コレステロールが酸化して、酸化LDLが血管の壁にたまってしまうことで起こります。 これまでは、血液検査で総コレステロール値を測り、そこから計算で割り出して、LDLコレステロール値を出すことは できました。しかし、動脈硬化を引き起こす酸化LDLを測ることができません でした。 岡山大学大学院医の松浦助教授らは、この酸化LDLを直接測る方法を確立しました。 彼らは、血液中に流れているLDLが酸化されるとβ2グリコプロテイン1というタンパク質が、酸化したLDLにくっつくことを発見しました。 この反応を利用して今まで測定することができなかった、酸化LDLの量を測定することができるようになったのです。 この測定法とは、患者の血清に酸化LDLとβ2グリコプロテイン1だけに反応を起こす物質を入れます。 血液中の酸化LDLの粒子が多いと、黄色が強く出ます。つまり、酸化LDLの量が多い証拠となるのです。
現在、酸化LDLを測定する機械は アメリカと日本で共同開発されていますが、まだ日本では、実際に酸化LDLを測定するこができません。 将来、日本で、この測定法が使用できれば、動脈硬化の治療を大きく前進させることとなるはずです。
【体重を毎日測る!】 体重が増えると、中性脂肪が高くなり、コレステロール値も自分の体重を細かく意識することで、太ることにプレッシャーを感じ、体重がふえなくなるのです。 【食事日記をつける!】 普段の食事内容を見直すことができます。 メモをみて、野菜不足を感じたら・・野菜をどんどん食べましょう!野菜に含まれる食物繊維は、腸の中でコレステロールを吸着して、排泄する働きがあります。 野菜にはビタミンCも多い。ビタミンCには、悪玉コレステロールの酸化を抑える効果がある! 1日にとりたい野菜の量は300gですが、1回の食事でとる野菜の量の目安は生野菜なら両手に山盛り1杯。火を通した「野菜炒め」なら両手に平らに1杯。ゆでたおひたしは片手に山盛り1杯。 メモを見て、肉料理が多いな、と思ったら魚料理に切り替えましょう。肉の脂身は飽和脂肪酸と呼ばれ、コレステロール値を高くしますが、魚の油に含まれる不飽和脂肪酸にはコレステロールを下げる働きがあるのです。 ただし、だからといって、不飽和脂肪酸だけに頼ることはできません。血栓ができるのを抑え、動脈硬化を防いでくれる不飽和脂肪酸ですが、酸化しやすいのが難点。 【運動をする!】 運動は、コレステロールと中性脂肪を減らして善玉コレステロールを増やす。これ、医学的にも立証されているのです。運動をすることで、たくさんの酸素が体の中に入りますが、酸素は、中性脂肪の分解を活発にして血液中の中性脂肪を減らすのです。 アメリカにおける調査によると、1週間におよそ2000カロリーを運動で消費した人が、動脈硬化の発症率が一番少ないことがわかりました。一日に換算すると、300カロリー消費すればいいことになります。これは・・・軽いジョギングなら56分間ウォーキングなら75分間にあたります。
単位[mg/dl]
4000〜5999歩