「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#385 時が止まった街 ハバナ(キューバ) 2018/3/7 O.A.

時が止まった街 ハバナ

今回の舞台はカリブ海に連なる島の一つキューバの首都ハバナ。コロニアル様式の建物が立ち並ぶ旧市街を中心に巡ります。1日目は首都ハバナの街を余すところなく堪能。アメ車のタクシーに乗って革命広場に出ると、キューバ革命の英雄チェ・ゲバラのモニュメントがありました。アメリカの影響を強く受ける政権を打倒し、社会主義国家となるきっかけと作ったキューバ革命は、キューバ人の生活とも強い結びつきがあります。民営カフェのコーヒーはなんと1杯4円!これは驚かずにいられませんでした。道すがら出会ったアメ車の手入れをするタクシードライバーや靴の修理屋さんで教えてもらったのは、この国には物が少ないということ。新しい物を手に入れる機会はあまりないからこそ、物はダメになるまで何度も修理して使うのだそうです。ハバナの人々の暮らしに触れながら、楽しい街歩きの最後にモロ要塞に立ち寄れば、街と海を茜色に染め上げる夕日が待っていました。

ハバナ郊外で見つけたキューバの宝物

2日目。街中で、大きな箱を持った女性と出会います。バースデーケーキを買って帰るところだったという彼女に誘われ、乗り合いタクシーに乗ってハバナ郊外へ。中心街から離れた地区の配給所では、お米や砂糖、肉などを安く手に入れようとする人々でにぎわう姿を目にしました。現代の日本人にとっては縁遠い配給も、社会主義国であるキューバでは家計の力強い味方です。買い込んだ物を持って帰宅する彼女についていくと、待っていたのは誕生日を迎えるおばあさんのために準備されたお祝いの料理の数々。その席にご一緒させていただき、キューバの家庭の食事を楽しみました。キューバ人にとって一番大切なもの、それは家族なのだそうです。「私たちキューバ人は何も持っていません」「きっと全てを手に入れられたら大切な物を見失ってしまうわ」聞かせてもらったお話に、日本人が忘れているかもしれない家族の絆、温かさを感じることができました。

ヘミングウェイが愛した絶景へ

3日目はハバナ近郊の港町、コヒマルを訪ねます。世界的に有名な小説「老人と海」のモデルとなったこの地は、作者であるアーネスト・ヘミングウェイがキューバで最も愛した場所。長きに渡る滞在期間中、彼は仲間たちと共にここで幾度となく釣りに興じ、酒を酌み交わして過ごしたそうです。海岸にはヘミングウェイの銅像が、コヒマルの海を眺めるように建てられていました。彼自身の船のいかりを溶かして造られたといわれる像には自然と人々が集まり、青空の下で思い思いに過ごしています。そんなコヒマルでは今も漁師たちが小さな船を操り、魚を獲って暮らしていました。旅の最後に待っていたのは、キューバの海を鮮やかに彩りながら沈んでいく夕日。どんな時でも明るく前向きな心を忘れず、笑顔と優しさを絶やさずに生きる人々の心を表すような太陽が、波に揺れる水面を穏やかに彩っていました。