「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#266 雲海のグランピアンズ(オーストラリア) 2015/7/24 O.A.

ヴィクトリア州の州都・メルボルン

今回の絶景の舞台は、オーストラリア南東部に位置するヴィクトリア州。まずは、旅の出発点となる州都メルボルンを散策。国内第二の規模を誇る都市というだけあって、街はとても賑やかです。目抜き通りから細い路地へ踏み入ると、両脇の建物の壁一面に、ストリートアートが施されていました。スプレーなどを使って描かれた大胆且つ繊細な絵の数々は、訪れる人を飽きさせません。建物の主の許可さえ得ていれば、誰でも自由に絵を描くことができるのだそうです。芸術に寛容なメルボルンを垣間見ることができ、楽しい路地裏巡りになりました。

海に佇む奇岩

いよいよ絶景を求め、メルボルンを出発。日帰りバスツアーに参加し、“十二使徒”という海に佇む奇岩を目指します。波によって削られた岩壁が、やがて陸から切り離されて形成されたという岩の尖塔。キリストが12人の使徒をじっくり選んだその「慎重さ」を、果てしなく長い年月をかけて波が奇岩を形成したことに例えたことが、その名の由来なのだとか。海沿いの景観が美しい街道・グレートオーシャンロードを走り抜けた先に、その奇岩群を一望できるスポットがありました。灰色の空が、海から突き出した岩と切り立つ岩壁の風景をより一層引き立てます。そこで出会ったプロの写真家に、夕日を見るのに打って付けの場所があると教えられ、近くの浜辺へ向かうことに。こんな曇り空で美しい夕日を見られるのだろうかと疑いながらも、この地域の天気は“1日に四季がある”といわれるほど移り変わりが激しいという言葉を信じ、その時を待ちます。すると、空を覆い尽くしていた厚い雲の隙間から、じわじわと光が漏れ始めました。さっきまでの灰色の風景が嘘のように、ようやく顔を出した太陽に照らされた空と海そして岩が、刻一刻と表情を変えていきます。この海岸線の写真を25年間撮り続けているという彼が、シャッターを切ることに夢中になるほどの光景です。この地でこの瞬間にしか見られない、劇的なクライマックスでした。

グランピアンズ国立公園

その次に訪れたのは、グランピアンズ国立公園。州内でも最大級の広さを誇るこの公園は、多様な動植物や雄大な山々が見られる、美しい風景の宝庫なのだとか。電車とバスを乗り継ぐこと約4時間、グランピアンズの玄関口の町・ホールズギャップに到着しました。そこからは地元ガイドさんの運転で、公園内を巡ることに。森林火災による被害から幾度となく再生した木々、勢いよく流れ落ちる奇麗な滝、悠久の時を経て砂が堆積して形成されたという岩山。豊かな自然を体いっぱいで感じられるこの公園。壮観な風景にただただ圧倒されます。そして翌朝、グランピアンズで一番美しいという朝日を見に、公園内の最高峰ウィリアム山の頂上へ。目の前には真っ白な雲海が広がっていました。どこまでも続く峰々に沿って、純白の雲がまるで波のようにゆっくりと流れていきます。雲の海が朝一番の太陽に照らされる光景は、まさに圧巻の一言。ヴィクトリア州の壮大な自然に魅了された旅でした。