「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#151 アラブの風紋 ワヒバ砂漠(オマーン) 2013/3/29 O.A.

南オマーン 乳香の里・サラーラ

東京から14時間かけてやってきたのはアラビア半島東部の国、オマーン。その南端の町サラーラです。中東と言えば、砂漠というイメージがありますが、オマーンは水が豊富な国。空港の周りも、ヤシの木、可愛らしい花々、バナナの果実と緑豊かな風景に包まれています。「幸せ」の意味を持つ、「サイードさん」がこの町のガイドさん。まずは、街で一番賑やかだという市場へ。のんびりと散策していると、小さな王冠のような物を並べているお店がありました。乳香というお香の台なんだそうです。乳香は南オマーンの特産品。その甘い香りはアラブの行事では欠かせないもので、その昔、一粒がゴールドと同じくらいの価値を持っていたそうです。南オマーンの最後を締めくくるのは、サイードさんの生まれ故郷・タカ。真っ平らに広がる青い海と白い港町が目の前に飛び込んできました。

オマーンの最高峰 ジュベル・シャムス

サラーラから一気に北上し、内陸の街、ニズワに入ります。かつて、ここにオマーンの都があったという城壁の街は、四方をゴツゴツした岩山に囲まれています。ここからのガイド、アリさんと共に、まずは、オマーンの最高峰、ジュベル・シャムス(3075m)を目指します。オマーンで一番最初に日の出を浴びる、「太陽の(シャムス)山(ジュベル)」。深い渓谷の道を走ること2時間、強い風に削り取られた断崖絶壁が山の頂です。荒々しい景色の中、気を許すと断崖の奈落に落ちてしまいそうな、危険な美しさのある山頂でした。山を満喫した後、立ち寄ったのが、アル・ハムラ村。ヤシの農園に囲まれた小さな村は、アリさんの実家があるのです。年長者を敬う、厳しくも礼儀正しい作法で、楽しいランチをいただきます。裏にはナツメヤシ農園が。熟れた実が沢山連なっている中で、アリさんがとっておきの物を探してくれました。食後の贅沢なデザートです。

ワヒバ砂漠の夕日

旅のクライマックスは、オマーンで一番美しいとされるワヒバ砂漠へ。山岳地帯から一気に下山します。目の前に見えてくるのは、クリーム色に波打つ大砂丘。オフロード運転が得意というアリさん。立ちふさがる砂の土手も、一気に駆け上がります。ジェットコースター気分で楽しんだ砂漠サファリ。その先に、大きなラクダが見えます。良く見ると、砂漠のあちこちに。この辺りのラクダはみんな、遊牧民の持ち物で、自由に放牧させてるとのこと。車社会が発達した砂漠において、ラクダは今でも、大切な輸送手段であり、貴重なミルクを与えてくれる存在でもあります。アリさんが、砂漠の丘の上まで連れてきてくれました。日が落ちてきて、風が強くなってきました。風が砂を吹き飛ばし、何とも言えない砂のアートを作り出します。まるで、いつか見た夢の世界にポツンと取り残されたような気持ち。砂の絨毯にオレンジ色の太陽が沈んだ後アリさんが優しい言葉をかけてくれました。「沈んでは浮かぶあの太陽のようにオマーンはいつでもあなたを待っています」。