コラム
第4回
オーストラリアとの終盤までもつれる試合を制した日本が決勝進出を決める

 前回大会同様にオーストラリアとの対戦となった「FIBA 女子アジアカップ2021」の準決勝。日本は出だしでオーストラリアに連続で得点を許したが、すぐにオコエ桃仁花(富士通レッドウェーブ)、林咲希(ENEOSサンフラワーズ)らが入れ返すと、東京オリンピック3x3女子日本代表でもある馬瓜ステファニー、山本麻衣(ともにトヨタ自動車アンテロープス)らが持ち味を発揮。その後も得点を重ね、20-13とリードして第1クォーターを終えた。

 しかし第2クォーター、高さで優位に立つオーストラリアが徹底してインサイドにボールを集め、ペイントエリア内のシュートを次々と決めていく。インサイドにディフェンスが集まれば3ポイントシュートも適時に沈めたオーストラリアに対して、日本は3ポイントシュートの確率が上がらない。そのまま主導権を握られ、36-31と逆転を許して試合を折り返した。

 「第1クォーターで3ポイントシュートがよく入ったのは、ディフェンスが良かったからで、それでオフェンスにも良い流れがきていました。でも、第2クォーターでは、オフェンスのリズムが悪くなった時にディフェンスも緩くなってしまいました」と恩塚亨ヘッドコーチ。

 そのため、ハーフタイムでは「ディフェンスのマインドセット。ディフェンスから流れを作るように」と指示をしたという。その通り、後半に入ると日本はディフェンスから本来の動きを取り戻し、第3クォーター中盤には一時7点のリードを奪う。しかし、地力のあるオーストラリアに高さを生かしたシュートで追随を許すと、第3クォーターは53-55と2点ビハインドで終了した。

 出だしから1点を争う展開となった第4クォーター、日本は序盤でミスが重なり、得点チャンスを逸してしまう。しかし、対するオーストラリアも日本の機動力の前に疲れからかプレーの精度が落ち、決定力を欠く。互いに我慢の時間帯となったが、「リバウンドとルーズボールを徹底しようという気持ちがありました。そこを頑張れば自分たちのペースに持っていけると思いました」とキャプテンの林が言うように、日本はハードなディフェンスやダブルチームで相手のミスを誘うと、残り3分半、馬瓜のフリースロー2本で1点リードとする。その約30秒後には宮崎早織(ENEOS)がドライブからのジャンプシュートを沈めてリードは3点に。粘るオーストラリアに3ポイントシュートを許して同点とされたものの、残り2分を切ったところで赤穂がインサイドでシュートをねじ込むと、これが決勝点となり、終盤のオーストラリアの攻撃もしのぎいだ日本が67-65で勝利した。

 「最後の局面はギアが上がっていました。第4クォーターを10点に抑えることができたのはフルコートからのディフェンスの成果だと思います」と試合を振り返った恩塚ヘッドコーチ。

 中国との決勝戦に向けては、「オフェンスでは効率良く期待値の高いシュートを選択していくこと。ディフェンスではパスでインサイドに入れるのが相手の強いオプションなので、パスではなくドリブルさせるように、終始プレッシャーをかけていきたいです」と抱負を語った。

 史上初の5連覇がかかる決勝戦。若き日本の選手たちは、チーム一丸となってその偉業達成を目指す。