コラム
第3回
赤穂ひまわりが、攻防においてエースの働き。日本は3連勝で準決勝進出を決める

 「FIBA女子アジアカップ2021」の予選ラウンド最終日、第一試合に登場した日本は、韓国と対戦した。

 全勝同士の対決となったこの一戦、日本は宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)、オコエ桃仁花(富士通レッドウェーブ)の連続得点で好スタートを切る。終盤には得点が停滞する時間があったものの、第1クォーターは24−18と6点のリードを奪った。

 しかし、第2クォーターでは日本と同様にスピードと外角シュートを得意とする韓国に3ポイントシュートを立て続けに決められてしまう。追いつかれた日本は、シーソーゲームの苦しい展開の中、赤穂ひまわり(デンソーアイリス)がフリースローに3ポイントシュートにと得点を重ね、日本を支える。終了間際には中田珠未(ENEOS)のリバウンドシュートが決まり、前半は37−36と日本がかろうじて1点リードで終えた。

 後半に入ると、さらに接戦の様相に。「3ポイントシュートが立て続けに入った時に対応できなかった」(林咲希/ENEOS)というように、日本は韓国に3ポイントシュートを許し、一時は7点のビハインドを負う。

 だが、ここでも赤穂がフリースローなどでつなぐと、第4クォーターではポイントガードの宮崎が自らリングにアタックしドライブ加点。林の3ポイントシュートでリードを8点に広げると、そのリードを保ちながら試合を進めていく。残り2分を切って1点差に詰められたシーンはあったものの、疲れの見える韓国を前に、「我慢の時間に走れたのが大きい。最後の方でディフェンスから走ることができました」(赤穂)と、スタミナが落ちなかった日本が最後は67−62で接戦を制した。

 この試合、宮崎とともにチーム最多の18得点を挙げた赤穂。特筆すべきは6本中4本を沈めた2ポイントのシュートが66.67パーセント、3ポイントシュートは2本、フリースローは4本すべてを決めて100パーセントと、高いシュート確率を維持したこと。「決めなくてはいけないシュートは入れられたと思います」と本人は控えめにコメントしたが、7本とリバウンドでもチームの窮地を救う働きを見せた。これには恩塚ヘッドコーチも「スーパーヒーローでした」とコメント。さらに得点だけでなく「ディフェンスでは相手の嫌なところでプレッシャーをかけてくれて、リバウンドも取ってくれた。落ち着き払った振る舞いもチームにいい影響を与えています」と指揮官も手放しでエースを称えた。

 だが、赤穂自身は予選の3試合を振り返り、「決して調子が良かったとはいえないですが、個人の調子が悪くてもみんなが助けてくれて勝つことができているので、もっとチームに貢献できるように頑張りたいです」とやはりここでも控えめなコメント。

 それでも「結果がすべて」と語る赤穂は、「日本はハーフコートのバスケットより走った方が強い。走るためにもリバウンドを取らないといけないし、それが課題です」と準決勝以降の戦いをしっかりと見据えていた。

 3試合を終えて日本は予選ラウンドのグループAを1位で通過。10月2日の準決勝へと駒を進めた。対戦相手は明日30日に行われるオーストラリアとニュージーランドとの勝者となる。