新・地球絶景紀行
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#13<再放送> モスクワ行き 忘れじのシベリア鉄道 後編
2020年4月29日放送

①「奇岩の森 ストルヴィ」へ
世界で一番、深く、透明度の高い、巨大なバイカル湖を、最も有名な港町で堪能。再びシベリア鉄道に乗り込み向かったのは、シベリア屈指の大都市クラスノヤルスク。全長5075kmの大河、エニセイ川の川岸に開かれた工業都市です。
ロシアではエニセイ川にかかる美しい橋と丘の上の教会は知らない人がいないほど有名。なぜならこの二つは、10ルーブル札に描かれているから。そして、もう一つ。最近、特に大自然が好きな観光客の人気を集めているのが、郊外の秘境に広がる奇岩の森、ストルヴィ。街から約60キロ離れた奥深い森林にその秘境はありました。ここは政府に保護された保安林の中にあり、政府機関で働くレンジャーさんに連れて行ってもらいました。気温マイナス10度のシベリアの森の中を歩いていると、その絶景は突如現れます。高さ20メートルを越す巨岩や奇岩が林立。まるで神様が作ったかのような、奇岩の大地に圧倒されます。
その奇岩にはそれぞれにユニークな名前もつけられていました。ライオンに似た、「ライオン岩」や「王子様」、そして願いを叶えてくれる「祈りの岩」・・・。
何より驚いたのが「鳥の羽」と呼ばれる奇岩。高さ40m以上。その名の通り細く尖った岩が何本も天に向かって伸びています。その昔、巨大な鳥が落としていった羽根が、この巨岩に変ったという伝説の岩。いてつく森に眠る、いくつもの奇岩の森は、まさに大自然が作った彫刻ギャラリーです。
そして、またここからシベリア鉄道に乗り込み世界遺産の街に向かいます。
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②世界遺産の街 カザン
ウラジオストクを出発して12日目。シベリア鉄道で出会った人々に散々、「ゆっくり見た方が良い」と言われたのがここカザンの街。駅に到着したのは朝早かったので、まずは中央市場へ。さすがは庶民の台所。朝から活気があります。この街は、昔からイスラム教徒が多く、肉売り場など一般の食品コーナーと分けられて販売しています。買い物中の人々も売っている品物もヨーロッパ風でありながら、エキゾチック・・・、なんか楽しい市場です。そして街の中心へ。昔から変わらぬの美しい石造りの家並みが続くメインストリートを抜け、世界遺産で知られるカザンの有名なクレムリン(要塞)へ・・・。ここは本当にロシア?イスラムの寺院、そしてロシア正教のキリスト教会が仲良く立ち並び、それぞれの街角に特異な雰囲気を醸し出しています。その美しさに圧倒されてしまいます。ここカザンは古くからイスラム文化を許されてきた特別な街。北の大地だけでなくペルシャの匂いもする独特の空気が流れている気がします。ロシアには22もの共和国があり、200近い民族がいると言われていますが、その巨大さを実感しました。実は、この街、夜になるとまた全く違う顔を見せるのです。
メインストリートはもちろん、寺院、教会、すべての建物がライトアップされ、まるでおとぎの国に迷い込んだよう・・・。列車で出会ったロシア人に「カザンを見てから、ロシアを語れ」と言われたことを思い出しました。
夜10時16分、最後の途中下車、カザンの駅を出発。シベリア最終ゴール、一路モスクワへ!
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③終着駅 モスクワ
夜明けとともに、巨大な街がだんだん明るくなってきました。
ついにシベリア鉄道で9300キロを走破。終着駅の首都、モスクワ(ヤロスラヴリ駅)に到着。さすがは世界一の大国ロシアの首都モスクワ。駅のホームの数も多いけど、人が多い!しかし駅の外に出ると・・・思ったほど欧州最大の大都会!っていう感じではないんですね・・・。ここから地下鉄に乗り換えて、最新の高層ビル群、モスクワシティーへ。ロシアのイメージとはかけ離れた摩天楼。その中の最も高いビル、フェデーレーションタワーの89階にはパノラマ360と呼ばれる新しい展望台があります。ここからモスクワの街が一望できるのです。東京とはまた違った大都会のパノラマに圧倒されます。驚いたのは1930年代から50年代のスターリン時代に建てられた古い高層ビル。「スターリンの7姉妹」と呼ばれるソ連時代の置き土産です。その白い摩天楼は夕日を浴びて輝いていました。
100年以上も前に開通したシベリア鉄道で9300kmも駆け抜けた、ロシアの旅。アジアとヨーロッパ。大都会と大自然。ロシアの素顔と可能性、そして知られざる絶景に出会った旅でした。でも、変貌し続けるこの国が、まだ見ぬ本当の絶景を見せてくれるのは、これからなのかもしれません。
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