新・地球絶景紀行
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#21 ヨーロッパ 祝いの情景
2020年3月11日放送

①ギリシャ 笑顔あふれる「小麦粉戦争」
今回はヨーロッパの3つの祭りを訪ねる特別編!
人々が日常を忘れ、歓喜に沸く、祭りの日。
そのルーツには、知られざる歴史や、街の誇りがあります。
ギリシャの港町・ガラクシディでは「小麦粉戦争」という名を持つ、異色のお祭りがありました。
町を歩いているとあちこちの家でビニールのシートをかける姿が。それもそのはず、「小麦粉戦争」とは町中で小麦粉を投げ合うお祭り。
お店では様々な色の小麦粉が売られていて、小麦粉を所構わず投げ合います。15世紀、イスラムの国、オスマン帝国の支配下にはいったギリシャではキリスト教の祭りを禁じられます。すると人々は小麦粉を顔に塗り、姿を偽って祝ったのです。それが小麦粉戦争の由来。キリストの復活を祝う復活祭の40日前に行われ、200年続く伝統行事です。
町の中心部にいくと派手に飾ったお祭り仕様の車がずらりと並びます。車から小麦粉を投げたり、投げられたり。町全体が粉っぽくなるほど。
この一日で本当にたくさんの笑顔に出会いました。
遊ぶ時は、とことん遊ぶ!お祭りの原点に出会った気がしました。
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②スペイン 春の訪れを祝う熱狂カーニバル
続いてはスペイン本土から南へ1000キロ、カナリア諸島にあるテネリフェ島へ。
サンタクルスという町で、春の訪れを祝う熱狂的なカーニバルが行われます。
カトリック圏で春先に開かれるカーニバル、「謝肉祭」。世界中から100を越えるチームが参加します。
断食や苦行をする前に、肉を食べ陽気に騒いだのが始まりで、主に仮装パレードを行います。島では、戦争や独裁政権下で途絶えそうになりながら、懸命に伝統をつないできました。
始まる前に45年以上欠かさず参加してきたという地元のチームの拠点を訪ねました。チームは家族や友人、隣人などを中心。自分の本業をこなしつつ、踊りや楽器の練習など毎年9ヶ月かけて練習を重ね、小道具や衣装も全部手作りで用意します。
島の人たちがなによりも大事にしているのが、このカーニバル。
親から子へ、子から孫へ、何世代もかけて受け継いできたのは、形ではなく、記憶に残る、かけがえのない「時間」と「喜び」。
人々が脈々とつないできた、手作りの絶景に心が熱くなりました。
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③フランス ブルゴーニュのワイン祭り
最後はフランスのブルゴーニュで毎年行われるワイン祭りへ。
ブルゴーニュ地方はボルドーと並ぶ、ワインの世界的な名産地。
ワイン祭りは毎年ブルゴーニュの町が持ち回りで開催しますが、今回はジュヴレ・シャンベルタンという町。最高級ワインを生む「黄金の丘」の一角にあります。ブルゴーニュのワイン祭りは、毎年1月の「聖ヴァンサンの日」の週末に開かれます。
聖ヴァンサンは、ワイン農家の守り神。ブルゴーニュじゅうのワイン農家が集まって、旗をかざしたり、持ち込んだヴァンサン像をかついで、町を練り歩きます。
80年以上の伝統をもつこのお祭りが始まったきっかけは第一次世界大戦。戦争で農家の働き手が不足すると、ワイン作りのノウハウがとぎれそうに。そんな危機を祭りで村同士の絆を深め合い助け合うことで乗りこえてきたそうです。
ワイン祭りの最大の魅力は、この時、ここでしか飲むことができない特別なワイン。醸造家たちが選び抜いたブドウをブレンドし、お祭りのためだけに作った限定品です。ボトルでは販売しないので、飲むには、お祭りに参加するしかないのです。試飲コーナーでは20ユーロで、8回分の試飲チケットと特製のグラスがもらえます。
農家とワイン好きが集まって、ただワインを楽しむだけのワイン祭り。
食べて、飲んで、おしゃべりをして、そしてまた、次のワイン作りに全力を傾ける。自然が与えてくれる、豊かな土壌と太陽の恵みをただ享受するのではなく、たゆまず努力を続けることで、ワイン作りの腕を磨いてきました。
作り手とワイン好きたちの、満ち足りた笑顔。それこそが、ワイン祭りの一番の絶景でした。
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