新・地球絶景紀行
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#20 ロシア 世界遺産 氷湖の教会へ
2020年3月4日放送

首都モスクワ 世界遺産クレムリンの教会
旅のスタートは欧州最大の都市モスクワ。
まずは観光客なら誰もが訪れる赤の広場、そしてその奥にある美の殿堂クレムリンへ…。クレムリンは「要塞」という意味で、1147年モスクワ建都の時に作られた要塞が今のクレムリンの原型。その後、13世紀にモンゴル人の襲来を受け暗黒時代を迎え、さらにそこから様々な激動の時代を見つめてきました。現在は大統領府など政治や経済の中枢でありロシアの権力の象徴。そして今もその場所に残っているのが歴史的な教会群。ほとんどが16世紀から18世紀に作られたきらびやかな建物。その中心はロシアで最も古い広場「聖堂広場」です。教会はどれも個性的で、日本でよく見かけるヨーロッパ調の教会とは少し違います。色も作りもとにかく派手。特に目立つのは当時ロシアで最も権威のあったウスペンスキー聖堂。17世紀に描かれた巨大なフレスコ画がかかる外壁。歴代皇帝の戴冠式も行われたそうです。そして広場にたたずむ鐘楼は高さ81m。16世紀まではモスクワで最も高い建物でした。当時の皇帝はこれ以上高い建物を建てることを禁止していたからです。ロシア正教では鐘は欠かせない存在。時間を知らせるだけでなく祈りの一つと考えられ特別なものなのです。鐘楼のすぐそばには18世紀に作られた世界最大の鐘も展示されていました。
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「黄金の環」スーズダリで聞いた鐘の音色
次は古都や世界遺産群が輪を描くように並んでいる「黄金の環」と呼ばれる、モスクワ郊外の名所へ…。今回はその代表的な古都、スーズダリを訪れました。車でモスクワから3時間。スーズダリのクレムリンに到着。ここは11世紀に建設され、かつて華やかだったスーズダリ公国の都の中心部で、モスクワのクレムリンと同様、様々な美しい教会が立ち並んでいます。ロシアには通常「冬の教会」と「夏の教会」があり、暖房も使える小さめの教会が「冬の教会」。一方、冬は使えない「夏の教会」はメインの大きな教会をこう呼ぶことが多いそうです。さすが北の大国ロシア。さらに言えばロシア教会独特の、玉ねぎ型ドーム屋根は一説では大雪が多いため。屋根の色が青いのは神のシンボルの色だからだそうです。そしてスーズダリのクレムリンから車で10分。美しい鐘の音で有名な修道院へ。建物に入るなり響く鐘の音。鐘楼守(もり)と呼ばれる鐘をつく職人が、20個以上もの鐘を全身で叩いています。彼によると鐘は大きさも形も様々で、時代や作った場所によって音色が変わります。ロシア製はヨーロッパ製よりも大きく、遠くまで響くのだそうです。ロシアの鐘は16世紀から人々に時間を伝えるだけでなく、祈りの一つであり神に捧げる音・・・。鐘楼守は常に神の気配を感じながら叩くそうです。 ロシアの鐘は祈り・・・。初めて知りました。
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世界遺産 キジ島の木造教会
次はとてつもなく美しい木造教会があると聞き、モスクワから列車で9時間。さらに船に乗って、北極圏にも近い酷寒の湖に浮かぶ島。秘境、キジ島へ…。
ロシアはまだ秋なのに一気に寒波に襲われ、道路も、湖の水も全てが凍りついています。地元の女性ガイドさんとともに、凍りついたキジ島へ。あと一週間もすれば湖が凍って渡れなくなるそうですが、逆にタイミング良かったかも。なぜなら観光客は他にいないので、ロシア屈指の世界遺産が独り占めです。
キジ島は、全長7キロの小さな島。元々は先住民族の聖地でしたが、12世紀にロシア人が入植し村を作り、今は島全体が博物館になっていて島民はいません。様々な教会がここには残されていますが、全ては木造。十字架も、玉ねぎドームも全て森から切り出した木で作られているのです。
この島のシンボルというべき三つの建物があります。夏の教会、冬の教会、そして鐘楼。アンサンブルとも呼ばれる、その建物群はロシアが誇る木造教会の最高傑作。凍てつく湖面に向かって建てられています。この三つの建物はどの角度から見ても美しく見えるよう作られています。この教会を建てた大工が島民の願いを聞き入れ工夫して作ったそうですが、大工はこれ以上美しい教会が作られないよう完成した後に道具を全て湖に投げ捨てたという伝説も残っています。
教会の中には祭壇もあり、今も祈りの場所として、この島を訪れる多くの人々が手を合わせます。そして今も年に一度のお祭りの時にだけ、鐘の音が響き渡るそうです。この島に、まだ人が暮らしていた、あのころのように・・・
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