2020年1月22日放送 モロッコ南部 ベルベル人の世界を巡る 旅の出発地は、モロッコ南部の街・タルーダント。古くから西アフリカ諸国との交易で栄えた商都です。ここでは、スーク(市場)がアラブ人のものと先住民族・ベルベル人のものに分かれています。ベルベル人が多く暮らす街ならではのことだそうです。ベルベル・スークのオリーブ店の人に聞くと、「でもアラブ人とベルベル人は昔から兄弟のように仲良く暮らしているんだよ」と教えてくれました。 |
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旅人と商人の街・ワルザザートを中継して、目指すは“モロッコの背骨”アトラス山脈。 “カスバ街道”を走ります。カスバは、土レンガで造られたベルベル人の伝統的な建物。モロッコ南部には、巨大な要塞から一家族が住む小さなものまで、幾千ものカスバが残っています。 道中、目に飛び込んできたのは緑豊かなオアシス。足を踏み入れると、それまでの土色の世界とは一変して瑞々しい緑が溢れます。アトラス山中のトドラ渓谷から流れる川沿いにできたオアシスでした。 大きなカスバの集落には、人の気配がありません。通りかかった男性は、このカスバで育ったそうですが、いまは新しく建てたコンクリートの家に住んでいるとのこと。伝統的なカスバで暮らす人はもうほとんど居ないそうです。「もう住まなくなったけど、それでもカスバは大事だよ」と男性。 取り壊されずに佇むカスバは、廃墟ではなく、ベルベルの人たちの大事な原風景です。 |
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オート・アトラス(高アトラス)山脈、その険しい岩山のなかに現れるトドラ渓谷。たくさんの人の暮らしを支える“命の水”が流れ出します。川辺にいたベルベル人の女性は、2時間歩いて水を汲みに来ていると言います。水場を求め、季節によって砂漠と岩山を行き来するノマド(遊牧民)の人でした。 素晴らしい景色が見られると、彼女が暮らす山の上へ案内してくれました。岩山の間にテントを張っただけの簡素な家。ここで家族6人で暮らしているそうです。 真昼の山頂から見えたのは、まるで人を拒むような険しいアトラスの表情と、その下で輝く緑と街。 与えられた自然に感謝して暮らす人たちの、かけがえのない風景に出会いました。 |
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