THEナンバー2

毎週木曜よる10時オンエア

綺羅星の如く、日本史を彩る名将たち。 私たちがよく知る歴史の表舞台、 その陰には常に「ナンバー2」の存在がありました。いわばそれはもうひとつの「歴史物語」。

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河井継之助

ゲスト: 童門冬二

武装中立を唱えた男

1868年に勃発した戊辰戦争。新政府軍と旧幕府軍の戦いが繰り広げられるなか「武装中立」という新たな路線を築き上げようとした長岡藩。この発想を藩主に主張したのが、河井継之助です。さらに、14万両の負債を抱えていた藩の藩政改革に挑み、幕末の動乱のなか孤軍奮闘した男の生き様に迫ります。

影響を与えた「陽明学」

河井の人生に影響を与えたのは、儒学者・王陽明(おうようめい)が提唱した中国哲学のひとつ「陽明学」でした。陽明学のスローガン「知行(ちこう)合一(ごういつ)」は、「知識と行動はひとつになるべきだ」という意味を持ち、河井の考え方の基盤になりました。1852年、26歳となった河井は江戸へ遊学します。ここで、ある本と出会います。それは「李忠定公集」。このなかの一文が河井の目に止まります。それは“経済とは、経世済(きゅうせいさい)民(みん)の略。すなわち、乱れた世を整え、困窮している民を救うことこそ経済の本質”これに大きく感銘を受けた河井は、14万両の負債を抱えた長岡藩を立て直そうと立ち上がります「藩のために、藩の民のために、藩政改革を行いたい」継之助の熱い想いはやがて藩を動かしていきます。

御目付格評定方随役に抜擢されるが・・・。

藩の民を思う河井にチャンスが訪れます。河井が書いた意見書が藩主・牧野忠雅の目にとまり、御目付格評定方随役(おんめつけかくひょうじょうかたずいやく)に抜擢されたのです。これは、藩の首脳部に意見を言うことができる役のこと。しかし、異例の抜擢をよく思わない人物に邪魔され意見は聞き入れてもらえませんでした。現代の官僚政治にも通じる悪しき慣行。そこで河井は2か月で辞任し、西国への遊学を決意します。その決意の背景に、備中松山藩家老・山田方谷に会う目的があったのです。山田は、藩の莫大な借金を8年で返済した藩政改革の達人。“目で見て学べ”山田は具体的な改革方法を教えてはくれませんでしたが、この西国への遊学で河井が見たのは驚くべき速さで富国強兵が進む姿でした。今の幕府が立ち向かえるはずがない。継之助は再び藩政改革を行うべきだと藩へ訴えます。河井の考えは「中立」の立場をとること。河井は、政治のながれから無縁になり「藩と民が豊かに暮らせる政治を行う」ことを目指していきます。

河井の藩政改革

贅沢の禁止、禄高の改正など藩政改革を進める継之助。その多くは下の者に手厚いものばかり。「新しい社会では数の多い下々の者が活躍するようになる」その結果、長岡藩は活気づき、借金を返済。さらに10万両の剰余金を生み出したのです。

戊辰戦争勃発 「中立」として最後の交渉

1868年戊辰戦争勃発。新政府軍が各地の戦いに勝利し、長岡に迫ってきます。
この時、江戸にいた継之助は藩邸を処分し、外国商人から当時日本に3本しかなかったガトリング砲を2本購入するなど武器を買い集めます。さらに銅銭を高値で売りさばき、資金を得て長岡に戻ると、新政府軍に恭順を求める命令が下されますが、これを黙殺。新政府軍が本陣を構える慈眼寺へ向かいます。目的は戊辰戦争の中止を訴えること。河井は最新の武器と資金があれば武装中立という考えの元、戦争を止めることができると信じていました。交渉の相手は軍監・岩村清一郎。だが、願いは聞いてもらえず、交渉は決裂してしまいます。この小千谷談判のあと、長岡藩は奥羽列藩同盟に加盟。北越戦争が開戦。新政府軍と対等に戦う善戦を繰り広げますが、長岡城は陥落。河井自身も左膝に銃弾を受け負傷。この傷がもとで死を迎えます。享年42。誰よりも藩の民を思い、武装中立という稀な立場をつくりあげた男のはかない最期となってしまいました。


ザ・ナンバー2のアシスタントを担当させていただくようになり、歴史の知識も深まりつつある私。感想などをのべてくださる方もいて、「次はだれに注目するんですか?」なんて聞かれることもしばしばです。弊社のメイクさんにも番組のファンの方がいてくださり、なんとも嬉しい限り。

先日「次は河井継之助ですよ。」とその方にお伝えしたところ、「…?」とあまりピンときていなかったようです。正直に申し上げて、恥ずかしながらこの私も今回の放送まで河井の存在を知らなかったのです。いやはや…。

しかしながら彼が「いかにすごい男であるのか」、熱弁をふるわせていただきましたよ! あの時代に「中立」という新たな発想を藩主に主張した人物。当時、日本に三本しかなかった最新兵器ガドリング砲を日本も購入した巧みなセンスを持つ人物! …すべて今回童門先生から教わったことをそのまま引用させていただきましたが笑。

この番組は本当に観る人を「物知り」「熱弁家」にしてくれますね。

勉強勉強!