毎週月曜22時オンエア
綺羅星の如く、日本史を彩る名将たち。 私たちがよく知る歴史の表舞台、 その陰には常に「ナンバー2」の存在がありました。いわばそれはもうひとつの「歴史物語」。
TOPへ戻るゲスト:井沢元彦 / リポーター:前川泰之
4回目は戦国の世に「茶の湯」を完成させた男として今なお伝説的な存在、千利休。しかし彼はただの茶人ではない…
茶の湯を通して世の中を支配。後には天下人秀吉を茶の湯によって影で支え、豊臣政権のフィクサーの顔を持つまでに到ったのです。
天下を支配した秀吉と茶の湯を支配した千利休、この二人の出会いから悲劇の結末に到るまでの真相をあぶり出す。
17歳の秋、茶の湯で名を馳せる堺の豪商武野紹鴎に入門を願い出る千利休。 紹鴎は利休に庭掃除を命じます。しかし、そこはちり一つ落ちていない完璧な掃除が行き届いた庭でした。そこで利休は突然、庭の木を揺らし、木の葉を散らし始めたのです。
「ちり一つない庭はさびしすぎて侘びがない。落ち葉が少々散っているほうがいい。」
そこには今までになかった美のセンス、利休独特の新しい価値観が示されていました。狭い茶室は密談の場。現代の政治家が使う料亭のような場所。鉄砲の産地でもある堺の商人たちは、この密室で武将達と武器の売買を行ってきました。茶の湯に目をつけた信長は、質のいい茶道具を国の値段に匹敵するような金額で買い集め、戦で武功をあげた家臣に与えました。忠誠心を高価な茶道具を与えることによって引き出していたのです。さらに、茶の湯を許可制にすることでステータスを上げるなど、権力の演出装置として、時の権力者たちに巧みに利用されてきたのが「茶の湯」なのです。
「内々のことは利休に、公の事は秀長に」といわれ、秀吉政権の両輪となっていた二人の
関係をよしとしていなかった石田三成は、利休をおとしめるべく動き始めます。
そして三成は、利休に対する秀吉の怒りに火をつけることに成功。黒い茶碗に侘びの極致を感じる利休。一方、黒は陰気だと派手な赤い茶碗を好む秀吉。美意識の決裂。利休は命をかけて己の世界を守りきろうとするのです。
信長、秀吉という両英雄の相談役となり戦国の世に茶の湯を完成させた千利休。
現在 茶道というと伝統文化の一部分となった感がありますが 当時の茶の湯とは政治経済になくてはならない社交場だったそうです。
茶室の中では武士や商人という身分を越えて対等になれ、人脈を築き商談密談を行う。
また娯楽の少ない当時としては 趣向をこらして人をもてなす、という茶の湯が楽しみでありステータスだったのでしょうね。
利休は秀吉のフィクサーとして 天皇、武将、庶民にむけそれぞれ「秀吉の世」を知らしめるための仕掛けを実行し成功、二人の関係はうまくいっていたように見えたのになぜ 利休はその秀吉の命令で切腹するまでにいたったのか…….
キーワードは 「朝顔」と「黒い茶碗」
そこには絶対に曲げられない利休の美意識があったのです。
でも命を捨てることになっても曲げられない美意識って?!
ガサツな私には正直ちょっと想像つきません(^_^;)
お茶室に入ったときの心地よい緊張感。
そこに今も利休のストイックさが生きているような気がします。