東京都で初の日本遺産。関東平野の西の縁に位置する八王子市は、“世界一登山客の多い”高尾山で有名。年間300万人が通る登山道は実は、開創1300年にもなる聖域でもある。八王子のまちと高尾山は、江戸時代以来、互いに支え合いながら歩んできた。首都東京に潜む知られざる歴史に迫る。
「阿波踊り」が、「藍」の染料に源流があることをご存じだろうか?
徳島県吉野川流域は、「藍」の染料「蒅(すくも)」の生産で全国シェアの多くを占める。流域はしばしば氾濫に見舞われるが、それが染料の原料、タデアイには好都合だった。「藍は藍より出でて藍より青し」。まさにそのことわざを体現する藍の不思議と歴史に迫る。
国引き神話で有名な三瓶山は島根県で唯一の活火山。3つの瓶を並べたような山頂の裾野には様々な不思議がある。最たるものは高さ20メートルにもなる杉林が地面の下から発見されたこと。そのほかにも神の御業かと思える不思議な地形や奇岩がある。太古の火山は“石見”の名を世界に知らしめた「石見銀山」の銀も作った。
日本の西の玄関、関西空港を抱える泉佐野市。昭和時代、宮内庁で古い日記と絵図が見つかり、市内に中世の荘園があったことが判明した。記録をたどると今ある寺社や地形がぴたりと絵と重なり、失われた荘園文化がいきいきと蘇ってくる。そんな泉佐野市の山間部には、いにしえと変わらない荘園風景が奇跡的に残っていた。
火山の国、鹿児島。かつて薩摩藩島津家は、他の諸藩にないやり方で領土を守った。200箇所もあった戦国時代の山城の麓に、配下の武士を分散居住させ軍事・政治の要としたのだ。西郷隆盛や大久保利通など明治維新の志士たちは「麓」から輩出された。「麓」を訪ね、日本を明治維新に導いた薩摩の力強さの秘密を探る。
信州上田市では、3つの聖域が直線上に並んでいる。レイラインだ。東に古代の国府がおかれた「信濃国分寺」。西に仏教と温泉が融合した「別所温泉」。そしてその2つを結ぶ中心に、大地と国土の神を祀る「生島足島神社」がある。それが何を意味するのか?それぞれの聖地の成り立ちを紐解きながらレイラインの謎に迫る。