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2015年3月21日放送

今週のドル円相場は、FOMCの結果発表を受けてドル安が進む場面も見られたが、概ね121円台を中心に推移した。16日は2月米鉱工業生産などが市場予想を下回ったことから121.09円までドルが売られ、17日には2月米住宅着工件数が予想を下回ったために121.11円まで下押しする場面が見られた。しかし、すぐに買い戻しが入るなど下値は限られた。ただ、FOMCの結果が公表された18日は荒い値動きとなる。声明文のフォワードガイダンスから「辛抱強く(patient)」との表現が削除されたものの、同時に公表された「経済・金利見通し」で、FF金利見通しとGDP見通しが引き下げられると一気にドル売りが加速。ドルは、119.29円まで売り込まれた。しかし、その後は、急落した反動もあって120円台を回復し、翌19日もショートカバーが先行すると一時121.04円まで値を戻している。

注目を集めたFOMCの声明文。市場が予想していた通り、フォワードガイダンスから「(利上げに)辛抱強く(patient)いられる」との文言が削除され、「さらに労働市場が改善し、インフレが中期的に目標の2%に向かうとの合理的な確信が持てた時、金利の引上げを行うのが適切である」とされた。そして、「次回4月のFOMC会合での可能性は低い」ことも付け加えている。この結果、現時点では6月FOMC以降の利上げが予想されるわけだが、ここでもう一つ注目ポイントがある。

それは、声明文と同時に公表された「経済・金利見通し」で、2015年末のFF金利見通しが、昨年12月時点の1.125%から0.625%へと大幅に下方修正された。経済成長率の見通しも引き下げられていて、市場では、利上げのタイミングが9月にずれ込むとの見方が台頭している。また、政策金利の引き上げが行われる際も、0.25%の小幅な利上げを年2回行う、との見方が強まっている。

こうしたFOMCの判断の背景には、アメリカの景気が堅調ではあるものの、力強さをやや欠いているとのメンバーの認識や原油価格の下落などがあるのではないか。また、アメリカ以外の国が軒並み金融緩和の方向へ政策をシフトしている中、アメリカとしては利上げに慎重にならざるを得ない、という面もあるのではないだろうか。

来週のドル円は引き続き底堅い動きとなりそうだ。下値では、一目均衡表基準線の120.12円が目先の目処として意識されているほか、19日の安値119.67円や18日の安値119.29円がサポートレベルとなっている。50日移動平均線の位置する119.08円もポイントだ。上値では、12日の高値121.67円や10日の高値122.04円がとりあえずの目処となっているが、2007年6月22日の高値124.14円がレジスタンスレベルとして意識されている。

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