今週のドル円は一進一退。23日は米10年債利回りの上昇を受けて欧州序盤に一時119.35円まで上昇したものの、その後に米10年債利回りが低下に転じたため一転して118.74円まで下落した。もっとも、翌24日は、東京市場から買い戻される展開となり、目先の上値目処として意識されていた17日高値の119.42円を上抜けると、一時、119.84円まで上値を伸ばしている。ただ、イエレンFRB議長が、半期に一度の議会証言で、「フォワードガイダンスを変更しても、FOMCが、その後の数回の会合で利上げをすると理解するべきではない」などと利上げに慎重な姿勢を見せたことで、ドル売りが強まり、翌25日には一時118.62円まで売り込まれた。その後はしばらく方向感に乏しい値動きが続いていたが、26日のNY市場で買い戻しが優勢に。1月米CPIや1月米耐久財受注額が市場予想を上回ったことから、ドルは119.51円まで買い上げられている。
今週は24と25日の2日間にわたって、イエレンFRB議長が、米上院銀行委員会と米下院金融委員会とで、議会証言を行った。
24日の上院銀行委員会での証言では、「景気回復が続けば、いずれかの時点で利上げについてFOMC毎に検討するようになる。それまでにフォワードガイダンスを変更する。しかし、フォワードガイダンスを変更しても、FOMCが、その後の数回の会合で利上げをすると理解するべきではない」と述べた。これは、時期がくれば利上げを検討するものの、その前にフォワードガイダンスを変更すること。そして、その変更が即座に利上げに直結はしない、ということを強調したものだ。さて、市場では、イエレン議長は相変わらず利上げには慎重と見られながらも、これは利上げへの道筋を示したものとし、次回3月のFOMCでフォワードガイダンスが変更されるのでは、との見方も出ている。3月のFOMCでフォワードガイダンスを変更し、6月以降のFOMCで利上げを検討というシナリオだ。
ただ、イエレン議長は、「労働市場は改善しつつあるが、早い時期に利上げを行えば、こうした動きが阻害されるリスクがある」とも発言していて、利上げに慎重な姿勢を崩していないことがわかる。また、今後、利上げに踏み出す条件として「労働市場が引き続き改善し、インフレが中期的に2%という目標に向かっていると自信を得られた時」などとしている。
翌日の報道では、「イエレンFRB議長、利上げへの道筋を示す」とするメディアがある一方で、「利上げ遠のく、ハト派的な議会証言」との見出しも多く見受けられ、評価がわかれている。
来週のドル円は底堅いとなりそうだ。上値では、24日の高値119.84円が目先の目処となっているほか、11日の高値120.48円や12月23日の高値120.82円がレジスタンスレベルとして意識されている。また、このレベルを上抜けた場合には、12月8日に付けた高値121.86円が視野に入ることになる。下値は20日安値の118.30円や16日の安値118.11円が下値目処となっているほか、一目均衡表雲下限の位置する117.84円がサポートレベルとして意識されている。3月6日に2月米雇用統計が発表される。今回もかなり注目が集まることになろう。