今週のドル円相場は、行って来いの動きとなった。週明け9日は、119.20円まで上昇したものの、6日の米雇用統計後につけた高値119.23円が意識されると上値が重くなり、一時は、118.33円までドルは売られた。しかし、10日には株高を手掛かりにしたドル買いが優勢となり、翌11日もドル高基調が継続。目先の目処とされていた1月8日の高値119.97円を上抜け、一時、120.48円まで値を上げている。ただ、12日には一転して下落。一部通信社の報道などをきっかけに日銀の追加緩和への期待が後退し、118.72円まで急速に値を下げた。その後は、1月米小売売上高が市場予想を大幅に下回る弱い数字となったことも手伝ってドルは売られ、週末13日のアジア市場では、一時、118.42円まで値を下げている。
今週のドル高円安局面をつくったのは、先週末に発表された1月米雇用統計だ。非農業部門雇用者数が25.7万人の増加となり、市場予想の23.4万人の増加を上回った他、12月分が25.2万人から32.9万人の増加、11月分は修正値の35.3万人から42.3万人へ上方修正された。また、前月マイナスに転じていた平均時給は、今回、前月比で0.5%の増加となった。こうした労働市場の回復振りを物語る数値が、早期の利上げ期待を強め、米10年債利回りは一時2%の大台を回復。これを受けて、ドルもしっかりと買われて上昇した。
一部からは、3月のFOMC声明文で、フォワードガイダンスの「patient(辛抱強く)」との文言が変更されるのでは、と見る向きも出てきている。もしそうなれば、6月FOMCでの「金融正常化」の可能性が一層高まることになる。
今週、FOMCメンバーであるウィリアムズSF連銀総裁は、「1月の賃金上昇ペースが予想を上回った」ほか、雇用も「非常に力強い」ことから、「金融当局は利上げに益々近付いている」との見解を示している。
来週のドル円は引き続き神経質な動きとなりそうだ。下値では、9日の安値118.33円や一目均衡表基準線の位置する118.16円がサポートレベルとして意識されている。また、上値では11日の高値120.48円が目先の目処として意識されているほか、1月2日の高値120.745円や12月23日の高値120.82円がレジスタンスレベルとなっている。来週は、週明け16日にユーロ圏財務相会合が予定されている。ギリシャの債務問題の行方を見守りたい。また、17-18日には日銀金融政策決定会合が開催される。