今週のドル円はもみ合いとなった。週明け2日のオセアニア市場では、一時、116.64円までドルが売り込まれる場面が見られたが、その後は下落して始まった日経平均が下げ幅を縮めるにつれて買い戻され、ドルは117.88円まで値を上げた。翌日も株価の下落を受けて116.87円まで値を下げたものの、次第に下値を切り上げる展開となり、翌4日には、一時、118.00円をつけている。もっとも、ECBが、ギリシャ国債に付与していた「適格担保条件不適用」の特別優遇措置の撤廃を決定すると、一転してドル売りが加速。5日には一時117.02円まで再び下押ししている。その後は117円台で方向感の無い展開となっている(2/6東京市場まで)。
「Grexit」を巡るゴタゴタは、混迷の色を深めてきた。
今月4日、ギリシャのファロファキス財務相は、まずECBのドラギ総裁と会談した。その終了後、ファロファキス財務相は「素晴らしい会談だった」と語っていたが、ECBは緊急理事会を開催し、ギリシャの民間銀行に低利での資金調達を可能にしていた「特例措置」の撤廃を決めた。ECBは、安全資産である国債などを担保に、民間銀行に対し低利で資金を供給している。ギリシャ国債は、本来なら担保として認められないが、ギリシャの銀行の資金繰りを助けるため、これまで特例として認めてきた。この特例鉄板の決定は、反緊縮を打ち出しているギリシャ新政権への圧力と受け取れる。なお、ギリシャの中央銀行から資金の供給を受けるELA(緊急流動性支援)は引き続き認められている。
続く5日、ファロファキス財務相は、ドイツのショイブレ財務相と会談。その後で開かれた記者会見では、ショイブレ財務相が「不一致だということで合意した(agree to disagree)」と表明し、これに慌てたファロファキス財務相が「不一致という合意さえなされなかった(did not even agree to disagree)」と返してみたものの、その立場を逆転させることはできなかった。
こうした動きを受けて、市場では、ユーロドルを中心に乱高下している。今後は、次第に落しどころを探る展開となるだろうが、まだまだ収拾するには時間がかかりそうだ。ユーロドルやユーロ円中心に難しい相場展開が予想される。
来週のドル円は、神経質な動きとなりそうだ。長らくレンジ相場が続いていることもあり、きっかけ次第では方向性を持った展開も期待出来る。上値では、1月20日の高値118.87円が目先の目処として意識されているほか、一目均衡表雲上限の位置する119円台前半がレジスタンスレベルとなっている。1月8日の高値119.97円もポイント。また下値では、3日の安値116.87円や2日の安値116.64円がとりあえずの目処として意識され、更に、1月16日の安値115.85円がサポートレベルとなっている。来週は週明けからG20財務大臣中央銀行総裁会議がイスタンブールで開催される予定。声明文の内容などに注意したい。12日には1月米小売売上高が発表される。米国経済の力強さを占う上でも重要な指標となっている。