今週のドル円は118.00円を挟んで方向感のない動きとなった。週明けは、ユーロ円のユーロ売り円買いにつれて、一時、117.26円までドル売りが先行。しかし、27日には、日経平均先物や米長期金利が上昇を受けて118.66円まで値を上げている。ただ、20日の高値118.87円が戻りの目処として意識されると、その後は、ドル売りが優勢となり、更には、12月米耐久財受注額が市場予想を下回ったことや、FOMC後に米長期金利が急低下したことなどから、ドルは、117.25円まで売り込まれている。ただ、翌29日に株が買い戻されると、再びドル買いの流れに。一時、118.50円まで値を戻している。今週は、日替わりで方向感が変わる難しい相場展開が続いた。
28日にFOMCが声明文を公表した。その内容は、インフレへの認識を大幅に下方修正したものの、事実上のゼロ金利を「相当な期間(considerable time)維持する」との文言を削除するなど、計画通り「金融政策の正常化」=「利上げの開始」へ向かう、と読み取れる内容になっている。
以下、今回の声明文の変更点をまとめてみた。先ず、景気の現状認識については、前回の「穏やかな(moderate)なペース」から、「堅調な(solid)ペース」で拡大していると上方修正。労働市場も「しっかりとした(solid)」から「強い(strong)」に修正。最近のエネルギー価格の下落についても、家計の購買力を高めたと、プラスの評価をしている。しかし、エネルギー価格の下落をインフレへの影響という視点で見たときには、「一部(partly)」としていた前回から、今回は「大きく(largely)」に変更され、いわば下方修正されたかたち。市場ベースのインフレ指標も、中長期的には2%に向かうとしながらも、短期的には更に低下するとしている。
そして、フォワードガイダンスについては「辛抱強く(patient)なりうる」という表現を維持。その一方で、事実上のゼロ金利を「相当な期間(considerable time)維持する」との文言は削除された。また、政策変更を考慮する要因として「国際情勢(international developments)」が追加されている。
今回の声明文は、上記のような変更が加えられたが、全体としては、今年の半ばまでに利上げが開始される、との見方が強くなったのではないだろうか。
ドル円相場は、21日の安値117.18円から20日の高値118.87円に挟まれたレンジ相場が続いているが、来週も、これまでのレンジを中心とした神経質な動きとなりそうだ。ただ、きっかけ次第では、このレンジから抜け出す可能性があり。その場合、ドルの上値では、12日の高値119.32円が目先の目処として意識されているほか、8日の高値119.97円や2日の高値120.74円、12月23日の高値120.82円がレジスタンスレベルとなっている。ドルの下値では、21日の安値117.18円が目先の目処として意識されているほか、19日の安値116.92円がサポートレベルとなっている。日足の一目均衡表雲上限が118円台半ばに位置していることから、この水準を上抜けることが出来るかどうかが目先のポイントとなりそうだ。