今週のドル円は、底堅い動きとなった。週明け19日は、上海株式市場の急落を受けて売りが先行。一時116.92円までドルが売り込まれる場面もみられたが、その後は欧州株高などを背景に117.79円まで買い戻された。翌20日も、株価の上昇につれて一時118.87円までドルは値を上げている。もっとも、21日には日銀金融政策決定会合で政策の維持が決定されると、再びドル売りが強まり一時117.18円をつけている。そして、22日、ECB=欧州中央銀行が、量的金融緩和を決定するとドル買いが加速。ドルは、118.82円まで買われた。
なお、ユーロドルでは、ユーロ売りが加速し、目先の下値目処として意識されていた16日の安値1.14595ドルを下抜け、一時1.1316ドルまで売り込まれている。
ECBが、ついに量的緩和政策の導入を決定した。その資産買い取りプログラムの総額は、1兆億ユーロを超える見込みで、事前の市場予想5500億ユーロを大幅に上回った。これに対し市場は、素直にユーロ売りで反応している。
ECBが導入する「資産購入プログラム」は、月額600億ユーロ(約8兆円)のユーロ圏の国債及び民間部門債券(ユーロ建て)などを各国の中銀が購入するというもの。期間は、今年3月から2016年9月までの19か月に及ぶ。ただ、総選挙を控えているギリシャ国債は、買い取りプログラムのスタート当初は購入対象になっていない。今後、条件付で実施するとしており、返済プログラムの見直しなどを掲げる急進左派連合などを牽制する内容となっている。ドラギECB総裁は、量的金融緩和の決定を披露した記者会見で「期待というものは確固たる信用があってのもの。我々は本日その信用に値するものを披露している」と満面の笑みを浮かべながら述べている。
来週のドル円は、不安定な動きが続くものの、ユーロドルを中心にドル買いの流れが強まっていることから、底堅い動きとなりそうだ。下値では、21日の安値117.18円が目先の目処として意識されているほか、19日の安値116.92円がサポートレベルとなっている。16日の安値115.85円も重要なポイントだ。上値では、12日の高値119.32円がとりあえずの目処となっているが、8日の高値119.97円がレジスタンスレベルとして意識されている。また、日足の一目均衡表雲上限が118円台半ばに位置しており、この水準を維持できるかどうかも、目先の方向性を探る上で注目している。
ユーロ円は、ECBの大規模な量的緩和を受けて売られやすい状況。2015年10月16日の安値134.15円が重要なサポートレベルとして意識されている。頭の重い動きが続きそうだ。