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2014年11月1日放送

今週はドル高が進んだ。週明けの27日こそ、一時、107.60円まで値を下げる場面も見られたが、翌28日のNY市場で10月の米消費者信頼感指数が市場予想を大幅に上回ると、一転、ドル買いが強まる展開に。そして、29日に公表されたFOMC声明文が「労働市場の未活用が次第に減少してきた」と労働市場の認識を上方修正すると108.97円まで買い上げられた。今週のクライマックスは31日。日銀が追加金融緩和を決定するとドルが急騰(円が急落)した。市場参加者の多くは、今回の金融政策決定会合では、追加緩和は見送られると見ていただけに、完全に裏をかかれたかたちとなり、この日の東京市場のドル最高値は111円52銭。また、東京17時の時点では111円22銭だった。公的年金の運用を行うGPIFが、運用比率の見直しを決めたこともドル高円売りをサポートした。

29日、米連邦公開市場委員会(FOMC)が声明文を発表。「量的緩和第3弾(QE3)」の終了を予想通り決定している。また、フォワードガイダンスとして「相当な期間(considerable time)、FF金利を現在の目標範囲に維持することが適切である」としており、注目の「相当な期間」という文言はそのまま残された。更に、FRB保有債券の満期分の再投資は、今後も継続することが決定している。

一方、大きく変更した点もある。それは労働市場に対するFOMCの認識で、前回は「広範な労働指標はかなりの労働資源の未活用が未だに存在していることを示している」としていたところを、今回は「広範な労働指標が、労働資源の未活用が次第に減少していることを示している」へと改めた。イエレンFRB議長が、繰り返し指摘してきた「労働市場のたるみ」が次第になくなってきていることを示唆している。また、利上げの時期については、「経済指標が予想しているより速いペースで改善していることになれば、我々の見通しよりも早めに利上げを開始するが、反対に指標が予想よりも遅いペースでの改善となれば、利上げ時期はより遅くなる」としている。

そして、実は「これが一番のサプライズ」との声も聞かれたように、今回の声明文に反対したのは、タカ派で知られるフィッシャー米ダラス連銀総裁とプロッサー米フィラデルフィア連銀総裁ではなく、ハト派のコチャラコタ米ミネアポリス連銀総裁であった。これまでのFOMCでは「タカ派の代表格」が反対票を投じていたが、今回は「ハト派の代表格」が反対に回った。

来週のドル円相場は底堅い動きとなりそうだ。GPIFなど年金資金の本格出動が予想されること。依然として本邦長期資金や本邦輸入勢など実需の買い意欲が強いこと。そして、日米の金融政策の方向性の違いが更に明白となったことが、ドル高を支えそうだ。エボラ出血熱などによる過度の不安心理は解消されており、株価動向をにらみながらドルの下値は切り上がると予想している。

ドルの下値については、これまで上値の目処となっていた2008年8月15日の高値110.67円や1日の高値110.09円が目先の目処として意識されている。30日の高値109.47円はサポートレベル。ドルの上値では、2007年12月27日の高値114.66円がレジスタンスレベルとして意識され、その先は2007年10月15日の高値117.95円がポイントとなってくるだろう。

来週は、4日に米中間選挙が実施されるが、今のところ市場への影響は限定的となりそうだ。

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