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2013年8月31日放送

21日に公表されたFOMC議事要旨(7月30-31日分)では、「バーナンキFRB議長が示した資産買い入れ規模の縮小に向けたロードマップに、ほぼ全てのメンバーが支持を表明した」ことが判明。市場では議長の考え通り、9月17日のFOMCで量的緩和縮小の日程が決定されるとの観測が広がっている。

FRBは現在、毎月850億ドルの債券を購入しているが、この額を100億ドルから150億ドルずつ減額させていくのではないかとの見方が多い。米10年債の利回りは既に、この動きを織り込む形で上昇している。

FOMC議事要旨の公表を受けて、新興国市場では、通貨だけでなく、株式や債券でも売りが強まる展開となった。特にインド・ルピーやトルコ・リラなどは対ドルで史上最安値を連日更新する展開となった。

インド中銀は潤沢な外貨準備を使って連日のドル売り介入を実施。ブラジル中銀も21日に大規模な介入計画の詳細を発表した後、28日には政策金利を0.5%引き上げた。また、インドネシア中銀は29日に政策金利を0.5%引き上げると同時に、日銀と為替スワップ協定の拡大に調印している。

ただ、対応が後手に回ったのがトルコ。20日には翌日物貸出金利0.5%引き上げたものの、政策金利は据え置きとなった。これを受けて、27日のアジア市場では米ドル・トルコリラ相場が急騰。来年に総選挙を控えているエルドアン政権が利上げに反対の意向を示しており、中央銀行と政府の認識の違いが市場参加者のリラ売りを加速させた。またシリア情勢の緊迫化も、地政学リスクを一番受けるトルコ売りを加速させた。

このように、米国の量的緩和の規模縮小は、実施前から新興国市場の動揺につながっている。しかしFRBの政策変更は、こうした新興国の事情とは関係なく進められることになるだろう。しかしこうした副作用は、巡り巡って欧米や日本経済にも影響を与える可能性がある。

ただ、当面のドル円相場は全般的にドルの底堅い動きを予想している。1ドル=97円台がドルの底値となってきたことから、目先のテクニカルな抵抗線となっている99円台前半を抜けて円安ドル高が進めば、100円を試す展開になる可能性もある。

来週は日銀の金融政策決定会合やECBの理事会が予定されているほか、米国では地区連銀経済報告(ベージュブック)と8月の雇用統計が発表される。週末にかけてはロシアでG20首脳会議も開催されるなど、重要イベントが目白押しとなっており、市場への影響に注意が必要だ。

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