夏休み前には量的緩和の出口戦略の時期が話題になった米国では、FRBが景気認識を下方修正するなど、むしろ〝ハト派〟色を強めている。
直近の景気認識については、「moderate」(緩やか)な回復から「modest」(穏やか)な回復という表現に変更。若干の下方修正となったほか、目標のインフレ率2%を持続的に下回るディスインフレ状況が経済活動に及ぼすリスクにも言及した。また、住宅セクターの活動についても「一段と強まっている」との表現から単に「強まっている」に下方修正された。
ただ、FRBが異例の低金利継続のメドとしている失業率6・5%、インフレ率2・5%については、変更されていない。ハト派色が強まったからといって、金融政策の指針について修正が加えられるほどの下方修正ではなく、資産買い取りの縮小は予定通り2013年中に始まることになるだろう。
一方のECBは「金利は長期にわたり現行水準か、それを下回る水準にとどまる」との指針を、改めて確認している。また、金利引き下げの協議は直近は行われておらず、当面は金利引き下げやマイナス金利導入の可能性はなくなったとみていい。とはいえ、欧州の金融政策のスタンス変更も、微調整の域を出ていない。
米・欧の金融政策の指針は、明らかに反対方向を向いたままで、金融政策がドルやユーロ、さらには円相場に与える影響は、夏休み以降も当面は変化しないだろう。