今週は円買いドル売りが先行したものの、7月末に1ドル=97円台半ばまで円高に振れた後はドル買い戻しの動きが強まり、一時99円70銭まで円安が進んだ。円高が97円台半ばまで進むと伸び悩むという展開が続き、この水準でのドルの底堅さが目立った。
特に週明け29日の日経平均は400円を越える急落となったにもかかわらず、円高の幅は数十銭にとどまり、市場参加者からは「どうして日経平均ばかり売られて、円高は進まないのか」と不思議がる声も聞かれた。
市場の一部では「財務省は絶対に97円50銭を割らせないと言っている」との声もあり、年金資金の買いが憶測を呼んでいる。実際、8月1日には97円50銭の手前から米国のマクロファンド勢が断続的に買い始めると、市場心理は一変。NY市場では米長期金利の急上昇という援軍もあったものの、一時99円半ばまでドルが買い上げられた。
米国では30-31日にFOMCが開催されたが、FRBのスタンスに大きな変更は加えられなかった。日米金融政策の方向性の違いは基本的に変わっておらず、株価が落ち着いた動きとなれば、日本の機関投資家の腰の入ったドル買いが今年後半に向けて断続的に入ってくると予想される。円安方向での動きが続きそうだ。
ドル円相場は、97円台半ばの“防衛線”が守られたことで、ドルの下値は既に99円のラインに変わっているとみてよい。ドルの上値では、7月8日の101円54銭を抜けられるかがカギ。仮にこの線を抜けた場合は、5月22日の高値103円74銭が視野に入ってくる。ユーロは全般的に底堅い動きとなりそうだ。