ユーロ・ドル相場は、週前半はユーロが底堅い推移となったものの、ドラギECB総裁が長期にわたり低金利政策を継続する考えを示したことを受けて、4日にユーロ売りが加速。3日の安値1ユーロ=1.2923ドルを抜けて、一時1.2883ドルまでユーロ安が進んだ。欧州と米国の金融政策のスタンスの違いが鮮明になったことが最大の原因で、ほぼ5週間ぶりの安値水準。
ECBの定例理事会では、政策金利は0.5%据え置きを決定したが、その後の定例記者会見でドラギ総裁が「金利は長期にわたり現行水準かそれを下回る水準にとどまる」との異例のフォワードガイダンス(将来の政策方針)を表明。ECBはこれまで、将来の金融政策については「予断を許さない」として言及を避けてきただけに、今回のドラギ総裁の発言は市場に驚きをもって迎えられた。さらに、政策金利の水準についても「0・5%が下限というわけではない」と述べ、追加利下げの可能性を示唆。こうした発言がユーロの急落につながった。
一方、BOE=イングランド銀行は4日、カーニー新総裁の下での初めての金融政策委員会を開催。その後、異例の「声明文」を発表し、8月の委員会でフォワードガイダンスを採用する方針を示した。これを受けて市場は、英国でも低金利政策が長期間続く可能性が強いと受け止め、ポンドの対ドルレートが急落。一時1ポンド=1.0528ドルまで値を下げ、カーニー新BOE総裁の意向が市場に一気に浸透する形となった。
ECB、BOEの金融政策が、金融緩和の継続の必要性を訴える〝ハト派〟のデュエットとなったことで、量的緩和の出口を模索する米国と欧州との金融政策との違いが鮮明になった。日米の金融政策の方向性の違いは既に明確になっており、当面はドル前面高のトレンドが続く可能性が強い。
ドル円相場は、6月期末に日本勢のまとまったドル買いが入り、再び円安が進んでいる。7月に入ると、新しい決算期に入った海外のファンド勢中心に、再びドル買い・円売りのポジションが増えている。来週は1ドル=100円台の値固めが出来るかどうかがカギとなるだろう。