7日に発表された、アメリカの8月の雇用統計にはいつも以上に注目が集まっていた。なぜなら、9月12-13日に実施されるFOMCの決定に、大きな影響を与えると考えられていたからである。
きっかけになったのは、22日に発表された8月1日分のFOMC議事録。FOMCの多数の委員は「持続的な成長がなければ、早期の追加緩和が正当化されると判断」したことを明らかにしている。さらに「米経済の成長が緩やかなため、衝撃や景気後退リスクに対して脆弱」とも指摘。「2014年終盤までとしている低金利政策の延長を支持したが、決定は9月に持ち越す」と表明している。
特に重要なのは、多数の委員が「2014年終盤までとしている低金利政策の見通しの延長」を支持したとしている点。今後の経済情勢を踏まえて、9月12-13日のFOMCで追加緩和に踏み切るかどうかを決める方針を打ち出している訳で、その政策判断の重要なカギを8月の雇用統計が握っていたことになる。
その注目の雇用統計、8月の非農業部門の就業者数は9.6万人の増加にとどまり、市場予想の12万人を下回った。一方で失業率は8.1%となり、市場予想の8.3%よりもいい数字となった。
今回の発表直後、マーケットの反応はドル売りだった。ところが直後の株価には目立った反応がなく、市場が追加の金融緩和を織り込んでいるとは言い難い。
7月の雇用統計では、非農業部門就業者数は16.3万人増と予想の10万人増をはるかに上回る結果が出ている。様々な材料が錯綜するなか、次回のFOMCに向けて様々な思惑が飛び交うことになるだろう。
次回のFOMCでどのような話し合いが行われるのか不透明だが、非農業部門の就業者数が予想を下回ったことを受けて、ドル円はドル売りが進みやすい地合いになった。一方のユーロ円は材料不足で、引き続きもみ合う展開になるだろう。