格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは今月4日、イタリア国債の格付けを3段階引き下げて「A2」とした。さらに18日にはスペイン国債の格付けも2段階引き下げて「A1」に。翌19日にはスペインの銀行5行の格付けも引き下げた。
スペイン国債をめぐってはスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も14日に従来の「AA」から「AA-」に1段階引き下げた。更にS&Pは21日、フランスを含む欧州5カ国(フランス、スペイン、イタリア、アイルランド、ポルトガル)の格付けについて、景気後退で政府の借り入れが増加すると、格付け引き下げの可能性があるとの見解も示した。
格付け引き下げラッシュの背景にあるのは、ギリシャの大規模ストが一層過激になっていること。この動きによって緊縮財政策の実行が困難であることが、浮き彫りになったかたちだ。金融市場では急激な動きは見られないものの、南欧の国債利回りがジリジリと上昇。特に4日に格付けが引き下げられたイタリア10年債の利回りは、今年の8月上旬に6%台まで上げた後、5%を割り込むところまで下げていたが、再び上昇。20日にはまた6%台に乗せていて、不安感が強まっている。
欧州の財政問題は極端に大きな変化が生じたわけではなく、今後もマーケットが急激に動き出す可能性はそれほど高くはない。ただ、予断を許さない環境であることに変わりはなく、警戒感も強く持っておきたい。
ドル円・ユーロ円ともに、相場を大きく動かすほどの目新しい材料が見当たらない。基本的に方向が定まりにくい展開で、先週同様の動きが続くと考えておきたい。